箱庭の君 本編紹介

　歴史上のどこにもない幻の国、嵜国(さきこく)。

　そこはいつまで経っても、江戸時代程度までくらいしか先に発展しない。

　実はその昔、帝の命により、選りすぐりの退魔師たちが、魔性の者たちを集めて封じ込めた地であり、歴史の闇に葬られた呪われた場所である。

　嵜国全体が巨大な封印に覆われて、次元の狭間に送り込まれた。

　現在も同じ時代を保って、次元の間を浮遊している存在。

　時折、大きな乱の前触れに、現世と嵜国を結んでいる封に乱れが生じることがあり、霊力の強い者はその亀裂の変化に気づいてしまい、迷い込むことがある。

　亀裂は目に見えるモノではなく、ただ、不自然に感じてそこに足を踏み込むと、そちらの世界にまぎれてしまったりする。

　その逆もしかりで、嵜国の住人が現代に出て来てしまうこともある。

　そこが不自然だと気づくのは、霊力の強い者に限る。

　霊力の弱い者でもたまたまそこを通過しようとして、同じ現象に見舞われることもある。

　嵜国は魔物たちを見張り、抑える立場にあり、嵜国が潰えてしまうと封印が破られ、伝説上の魔物たちは伝説ではなく、現実化して現代に蘇ることとなってしまう。

　鬼や魑魅魍魎がただの昔話で片付けられているのは、嵜国があってこそ…という設定。　嵜国には、魔物たちからそこに住まう人々や封印を守るために東西南北に四つの門を設けている。

　北の院、西の院、南の院、東の院…。

　それぞれ五輪刀(ごりんがたな)という５人の実力者・退魔師が守護している。

　その中でも鬼門にあたる北の院が一番重要で、そこがメインキャラクターたちの集う場所となる。

　嵜国の人々は、嵜国を“こっちの人”、他の時代…現代から来た人を“あっちの人”と呼んでいる。

 

　敵は鬼子と呼ばれ、死者から生まれたという悪路王・楴丞丸(ﾀﾞｲｼﾞｮｳﾏﾙ)。

　四神である白虎、玄武、朱雀、青龍を従えて、嵜国を壊そうとしている。

　表面上は、封印を解いて世界を混乱におとしめ、力を手に入れる…ということだが、本当の理由は、嵜国自体が巨大な人柱であり、都合の悪いモノ、いらないモノ（魑魅魍魎など）を捨てるゴミ捨て場とされ、切り捨てられていることが気に食わない。

　この嵜国が一手にそれらの存在を引き受けているから、あっちの世界が平和でいられる…それなのに“あっち”は“こっち”の存在をなかったコトにして、歴史の闇に葬り、今では誰も知らないということが許せなかった。

　物語は、嵜国とそこに住む人々を守ろうとする五輪刀と嵜国を壊して自分を含むイラナイ者を溢れさせようとする楴丞丸との戦い。

　最終的には、楴丞丸が敗れ、嵜国はそのまま維持。あっちから来た人は帰るなり、こっちに居着くなりしてハッピーエンド。

 

　本編タイトルは「箱庭の君」。意味は、

１，

　嵜国が人工的に作られた、箱庭のような世界で、中で生きる人々はドールハウスの人形たち…というイメージで。

２，

　ヒーロー役となる十音裏（詩腥）が、ずっと北の院に幽閉された君（身分の高い人という意味）ということで、物語中でも北の院を箱庭に立てて、「箱庭の君」というのは平民の間での十音裏の存在を指す。

３，

　けれど、十音裏だけでなく、ここに登場するメインキャラクターは、誰もが何かに捕らわれており、全員が「箱庭の君」（“あなた”の意味）でもある。

４，

　プレイヤーさんたちの作った自分のコマになるキャラクターが、この箱庭の世界にまぎれ込む…ということで、箱庭の君（“あなた”の意味）。