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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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雨が雪に変わる頃 3

 けど、私は文句を言いつつ、結局全部いただきました。

 それで気づいたのですけど、女性は何も口にしていませんでした。

 雪をつまんで口に入れるだけ……。

 ……そうです。
 あの一杯は彼女が食べるための物だったのです。

 私などという余計な者を拾ってしまったために、彼女の分がなくなってしまったんですよ。

 でも。
 そんなの、私には関係ないでしょう?
 だって、彼女が勝手にやったことです。
 私は頼んでもいないんですよ?
 ねっ?

 そう思って、私はまた眠りました。

 朝になって目を覚まし、ぎょっとなりました。

 彼女が私の腹の当たりで丸まって寝ていたからです。


▽つづきはこちら

 なんと、私の腹を枕に…………といいますか、それ以前に驚く必要性が他にあった。
 私は妖力の消耗により、姿が元に戻ってしまっていたのです。

 ……私は、実は大きな大きな白銀の虎なんですよ。

 彼女は私の……その……つまり“中身入りの毛皮”を布団にして眠っているんです。

 とんでもない方ですよ、まったく…。

 きっと私がまだ人の姿をしている内にきたのでしょうから、このままってワケにもいきませんよねぇ?

 目覚めたら大騒ぎになっちゃいます。
 だからあわててまた人に化けました。

 そして彼女が目覚めました。


「おや、今日は虎さんではないのですね? 温かかったのに」


 私は驚きましたよ。
 だって、私の正体、わかっちゃってたんですよ?

 見抜いていたワケじゃなかったんです。
 彼女に特別な力はなかったから。

 そうでなくて、私が獣に戻った姿を見ていて、それで布団にしたんです。

 温かいだろうと思ったらしいです。

 私は呆れましたね。ホントに。

 彼女は正月を誰かと過ごすのは初めてだと嬉しそうに笑いました。


「明けまして、おめでとうございます」


 つい…私も習ってそれに従いました。

 私は傷が癒えるまで、この家にやっかいになることにしました。

 行くあても特にありませんでしたしね。

 彼女は「小雪」という名で、とても……愛らしい女性でした。

 雪のように、真っ白い心の持ち主で。

 それが災いするなんて、このときの私にはまったく思いもよらず……。

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