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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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箱庭の君番外 雨が雪に変わる頃1

           「雨は…嫌いなんですよ。特に…今日みたいな冷たい雨は」

               「ホラ…、雨が……………雪に変わりましたよ…」

                                  「ねぇ」


 

 私は命あるモノを殺めることを、何とも思っていませんでした。

 …そう、ほんの少しも。

 私はただ強かった。
 ただ凶暴だった。

 私は弱き者をいたぶるのが好きでした。

 私に命乞いをする者に無慈悲な行いを……致しました。

 生きたまま臓腑(ぞうふ)を引きずり出し、目の前で食い散らしました。

 そして、言うのです。

「お前も喰うか?」


▽つづきはこちら

 けれど、そんな私にも終焉(しゅうえん)と思われるときが来たのです。

 嵜国きっての退魔師・五輪刀(ごりんがたな)に“白銀の虎を打ち取れ”。

 そう、命(めい)が下ったのです。

 けれど私は鼻にかけていませんでした。

「五輪刀だと? たかが人間のクセして、たいそうな名をつけやがったな」

 その高慢さが命取りだったんですね。

 彼らは人間でしたが、なかなかの手だれだったのです。

 もう少し私が注意を払っていれば、問題なかったのかもしれません。

 でも、彼らは自らの命を文字どおり投げ捨てて刃向かってきました。

 愚かしく。
 ただ愚かしく。

 仲間をいく人失おうと、進むのをやめませんでした。

 私は油断していたので足元をすくわれたのも確かですが、その覚悟におののきました。
 そして、最後の一人を残して私は退散したのです。

 きっとあの傷では残りの一人も生きてはいなかったでしょう。

 生き残ったのは私でしたが、私は負けたのです。

 いつ生まれたのかは覚えがありませんでしたが、初めて敗走したのは確かでした。

 その日は、雨が冷たい師走の大晦日(おおみそか)。

 大量の血を流して、私はフラフラ。

 …いえ。

 それは血のせいだけではなかったと思います。
 失意していたんです。

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