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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 64-28

 この残虐な景色には見覚えがあった。
 6年前の惨劇!
 妹の首がケーキの上に……
 父は生きたまま焼かれ……
 母はバラバラに……
 リクは口をぱくぱくさせて空気を吸い込もうとしたが、周囲から酸素が消えてしまったかのようにのどに入ってこない。
 息苦しくなって胸を掻き毟った。
 感情が。
 抑えていた感情が心の奥底から膨れ上がってくる。
 
リク「あ……がっ……」
 
 コレをしたのが、あのシズカ=ヒサメだというのか?
 “あの”?
 思考が停止して真っ白になった。

▽つづきはこちら

 膝をついてうずくまる。
 大雨のせいで草と土の匂いが強くなり、加えて小規模の火事の後の焦げ臭さ。そして夥しい量の血の香り。
 それらが全て混ざって異臭を放っている。
 あの日、あの場面を髣髴させるには充分で、リクは瞬間、自分を見失った。
 
クロエ「リク! リク、しっかりして!! 他に行こう!! ねぇ!」
 
 胃の中の物を吐き出したクロエはいち早く意識を回復させてリクを揺さぶった。
 一秒たりとこの場にいたくなかったのである。
 
クロエ「お願い、聞いてリク! これをしたのが先生なら、まだ生きているってことだわ」
リク「……先生じゃないよ……先生であるもんか……」
 
 うわごとのように繰り返す。
 彼の中で今、家族を殺した見たことのない犯人像がヒサメ先生と重なってしまった。
 違う。
 犯人はメイディアの家庭教師だったのだ。
 断じてシズカ=ヒサメではない。
 けれど、これが本性なのだとしたら……?
 
クロエ「……そうね。先生じゃない。うん、違うわ。私もそう思う。あの先生がそんなこと、するわけないわ。他に……敵がいるのかも」
リク「敵……?」
 
 ようやく反応を示してクロエの方を向いた。
 
クロエ「そうよ。先生じゃなくて、魔物がいるの。私たちのために命をかけてくれるような先生が、こんなことをできる? 優しい人なのよ、先生は」
 
 何の脈絡もなく、第三の敵を勝手に設定するのは我ながら強引過ぎると思ったが、口に出してみるとなんだかそれらしく聞こえた。
 確かにあののほほんとした先生とそぐわないのだ。
 すぐに生徒にからかわれてしまう、おとなしい性格。
 食べ物と可愛いものが大好きで恥ずかしがり屋の先生だ。
 それがこんな血なまぐさい行動をとるとは思えない。
 不自然だ。
 ヒサメ先生を信じたいクロエはそう定義づけた。
 同じく信じたがったリクもそれに賛同することにした。
 今だけは。
 表向きだけは。
 とにかくも彼を救い出さなくてはならない。
 第三の魔物と定義づけたが、もしそれがシズカ=ヒサメという魔物なのなら、逆に兄・偲が危ない。
 
リク「ここにこの3人がいるってことは……さっきの笛、オハツとかいう人だね」
 
 ようやく少しずつ回り始めた思考で呻くようにリクが言った。
 3人が「いる」という表現よりも「ある」と言った方が正しいか。
 
クロエ「そういうことになるわね。何とかして、戦いをとめなきゃ」
   『悲しい結末なんて……そんなの見たくない』
 
 クロエが差し出した手につかまってリクが立ち上がった。
 
リク「……………………」
  『…………先生……』
 
 惨劇の場所を離れて、二人は走り出した。
 で、コケた。
 ……どうやら彼らは、決意を胸に新たな行動を起こそうとすると前の失敗をきれいさっぱり忘れてしまうトリ頭らしい……
 倒れたまま、
 
クロエ「……リク」
 
 同じく突っ伏したまま、
 
リク「うん……」
クロエ「私、名案があるの」
 
 泥にまみれた顔を上げる。
 
リク「それはスゴイね。実は俺もだよ」
 
 声をそろえ、
 
二人「走るのはやめよう!」
 
 
 魔物を内側に飼う氷鎖女 鎮は、冴牙で散々遊んだあとにのんびりと歩いて初を追っていた。
 無論、とっくに姿など見えないから先程、笛の音が聞こえた方向に漠然と進んでいるだけだ。
 いや、初はこの際どうでもよかった。むしろ、逃げてくれればそれでいいと思っていた。
 恨みつのる冴牙に対し、精神的にも苦痛を与え、ほんの一握りの救いをも奪い去ってしまうために初を追う気配を見せただけだ。
 初を同じように辱めて殺してやろうとまでは思っていなかった。
 ただし、また向かってくるなら話は別である。
 逃げるならよし。
 来るなら命を奪うまで。
 彼の最終目的は約束を破った兄だ。
 初が呼び寄せているはず。笛の音の方向へ進めば、向こうでもこちらを探している。遭遇するのはほんの近い未来である。
 千本の針を飲ませなくては。
 指切りを、したのだから。
 一方で偲と無事合流を果たした初は、胸に飛び込んで訴えていた。
 
初「冴牙がっ……炎座と悟六殿も……! おシズに!」
偲「………………」
初「冴牙が囚われておる! 助けに行かなくては! でも私だけではあのバケモノは……偲、手を貸しゃ!」
偲「………………」
初「偲!!」
 
 服をつかんで揺する。

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●Thanks Comments

シズカ 「僕を裏切ったな!」

エヴァのシンジ君の台詞を言わせてみますた。

暴走したシズカをとめられるのは、やはり偲兄さんだけか…!
って別に、初に止められると思ってたわけではないYO。

リク&クロエは一族問題に関しては部外者だから、個人的にはあまり2人に首突っ込んで欲しくない気がしてきたYO。

From 【ぱんだ】2008.09.15 10:45編集

エヴァで首ちょんぱされちゃう!

リクロエはあんま関わらない方がいい!?
ナニー!?
……わかった。
ちょっと考えてみもす。
貴重なご意見ありまとうです!(嬉)
今日もハリキッて書き進めるぜよ☆
だって早く終らせたいもそ。

From 【ゼロ】2008.09.15 11:09編集

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