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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 64-26

 コレは初の敵う相手ではない。
 いや、自分たちも敵わなかったのだ。
 奴があのとき本気だったかも怪しい。
 今ではそう思う。
 こちらを調子づかせて奈落の底に突き落とす遊びではなかったのかと。
 耳をそがれ、鼻をそがれ、まともに見る冴牙はすでに冴牙だったかも判明できないほどになっていた。
 初は恐怖を押し殺して刀を構えた。
 
冴牙「コイツはダメだ! 戦っちゃいけねぇ!!」
初「冴牙!!」
冴牙「俺のことはいい! 初……逃げろ……逃げて……偲と……」
 
 血の泡を飛び散らして叫ぶ冴牙の頭を鎮が踏みにじった。
 
鎮「……仲間想いじゃん? それとも何? あはっ、ひょっとして惚れてたりする? まぁ、わかるよ。いい女だからな、お初は」

▽つづきはこちら

冴牙「ぐっ……」
鎮「よぅし。わかった」
冴牙「……まさか……」
鎮「喜べ。初の首、お前にくれてやる」
 
 目を細めてイタズラな笑みを向ける。
 
冴牙「や、やめろっ! ……いや、やめて! やめて下さい!!」
鎮「何でさ? 隣に持ってきてやろうってのに。もっと嬉しそうにしたらどうだ? 初の無残な死を見届けるまで、テメェは生きていろ。そのために目玉は潰さずにとっておいてやったんだからな。この世の地獄、とくと味合わせて……最後にゃ偲に見せ付けてやる」
冴牙『しっ……偲に…?!』
鎮「だから俺はちゃーんと言ったんだぜ? 俺の領域にあるモノに手出しした場合は誰であろうと容赦はしないと。約束を破ったら、千の針を飲んでいただかなくては……」
 
 千の針とは自分たちのことか。
 報いを受けさせるつもりなのだ、奴は。
 改めて冴牙は戦慄を感じた。
 このままでは初も……
 
初「い、今……今助ける、冴牙!!」
 
 精一杯の虚勢を張って、構える刀の切っ先は恐怖に震えていた。
 初は村の中で女ながらに名だたる男たちを寄せ付けない強者であったが、それでもこの5人の中に入れれば見劣りする。
 攻撃力なら最強と言われた炎座も隙のない確実な戦い方に定評のある悟六もそしてそんな彼らにも引けをとらないと自負していた冴牙さえもこのありさまだ。
 そんな相手に初が敵うはずがない。
 3戦もして体力が落ちているとはいえ、敵は化け物だ。
 何とか魔力の大半を偲が封じてくれたとはいえ、化け物は化け物。
 強がらずにここは逃げの一手を選んで欲しいと切に願った。
 冴牙は初が。
 心のキレイな、澄んだ川のせせらぎのようなその女が、狂った刃に刻まれるのを見たくなかった。
 鎮と初は正反対だ。
 凛とした強さで咲き誇る純白の百合が、可憐な花に擬態する、毒の妖花に散らされることがあってはならない。
 冴牙は最後の力をふりしぼり、地獄の鬼に一矢を報いた。
 
鎮「!」
 
 折れてほとんどなくなった残りの歯で、足に食いついたのである。
 手も足も失った彼には、それしか方法がなかった。
 
冴牙『逃げろ! 逃げてくれ……!』
 
 噛み付かれた鎮が乱暴に足を振るうと、残った歯も折れて最後の武器も剥ぎ取られた。
 初は冴牙の意思を汲み取ったのかようやくきびすを返して走り始めた。
 
初「偲! 偲!!」
鎮「……………………」
 
 逃げた初の方を向いていた鎮は、冴牙に視線を戻した。
 
冴牙「フーッ、フーッ」
鎮「なるほどね」
 
 絶望に打ちひしがれた冴牙の瞳に再び生気と敵意が蘇った。
 
鎮「女を逃がすなんて、やるじゃん。そんな神経持ち合わせていないかと思ったのに」
冴牙「氷鎖女を馬鹿にするな! 里の女子供を守るのは義務だ」
 
 そう叫んだつもりだったが、歯のない口は上手く言葉を紡ぎ出せてはいなかった。
 だが相手は理解したようで小ばかにしたように鼻で笑う。
 
鎮「わかった、いいよ。見直した。ご褒美にお前を先に殺してやる。初は後から追いつくから、心配するな。カッコイイトコ見せたから、惚れてくれるかもしれないぜ?」
 
 冴牙が放って失敗し、爪の間に差し込んで剥ぐために鎮が使用した含み針をもう一度拾い上げた。
 
冴牙「………………」
 
 針が目の前に迫ってくるのを凝視しながら、冴牙は想った。
 初がこの魔物から逃げ切れればいいと。
 
 
 リクとクロエ、そして偲が剣を交差させているところへ笛の音が届いた。
 初からの信号である。
偲は何事か少し考えていたが、すぐに千切った半紙を飛ばして、蝶の吹雪を作り出した。
 
リク「うわっ!」
クロエ「これはこの間と同じ…!!」
 
 だが今度は簡単にやられはしない。
 クロエが結界を張り、リクが魔法で蝶を蹴散らす。
 
リク「いない!?」
 
 偲が姿を消していた。

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●Thanks Comments

冴牙がっ!

少し(←えっ?少しだけ?)可哀想になりました(T_T)ってか、これ本当にヒサメ先生!?かなり恐ろしく感じたのですが...冴牙、手も足もない状態まで。(T_T)最後はやはり目をくりぬかれるのだろうか....。初を逃がそうとした冴牙が少しカッコ良かった(^-^)
でも、ヒサメ先生不気味(T_T)
こんなのはヒサメ先生じゃないよ?
うん。読んでてかなり氷鎖女編怖い。でも、続きみたい☆

From 【あっぴ】2008.09.14 23:33編集

氷鎖女先生ですよー。

冴牙の株、少しUP!(笑)
鎮はキレるとヤバイっ子です(爆)
バケモノなので……^_^;

From 【ゼロ】2008.09.14 23:42編集

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