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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 64-2

リク「あー、なんかおなか減ってきちゃったなぁ」
 
 手を引いた流れで身体をうんと伸ばし、大あくびをする。
 一瞬、アンの表情がこわばったが、どうやらごまかせたようだ。
腹が減ったという要求を待っていましたというように横の椅子にちょこんと座らせていたバスケットを持ち上げて見せる。
 
アン「サンドウィッチ作ってきたの。薔薇園で食べましょ」
リク「わぁ、やったね」
 
 ぱちんと両手を合わせて嬉しそうな表情を作る。

▽つづきはこちら

天気も良い昼下がり。
日曜なので人気も少ない。
だけど、敷地内にある薔薇園には沢山のカップルがいるはずだ。
アンは今日にかけていた。
女の子友達皆に後押しされて、今日こそは手をつなぐと一大決心。
できれば、甘い口付けを交わしたい。
そんな場面を想像して一人で頬を染める。
恋人になって1ヶ月以上経っているのに手もつながないなんて、確かに恋人らしくない。
友達から一歩、飛び出さなくては。
薔薇園は恋人たちが愛を語り合う恰好の場所だ。
その名の通り、色とりどりの季節の薔薇が常に咲き乱れて、中央には大きな噴水。ところどころに設置された休憩所やベンチ。
ムードは満点である。
周りのカップルたちに刺激されてそんな雰囲気に流されてもおかしくはない。
 
アン『リク君だって男の子だし、彼から付き合おうって言ってくれたワケなんだから、きっと……そっ、そっ……そういうことしたいに決まってるし……私は相手がリク君だったら……ファッ、ファーストキスとかあげちゃってもいいしっ……』
 
 二人は連れ立ってのんびりとした歩調で薔薇のアーチをくぐった。
 
アン『……木箱なし、ヒサメなし。OKだわ』
 
 どきどきどき。
 期待と不安に駆り立てられながら、ベンチに腰を下ろす。
 
リク「サンドウィチ♪ サンドウィチ♪」
 
 色気より食い気のリクは早速、おねだりしてバスケットを見つめている。
 昼食をぱくつきながらもずっとアンは機会を伺っている態度が見え見えだ。
 恋愛小説のようなワンシーンを演じてみたくて仕方がないのである。
 自然を装い、思い切ってそっと手を重ねて横を向くとそっと目を閉じる。
 これでわかってくれるに違いない。
 ……と、待っていたが。
 
リク「あ。こんにちは」
アン「……?」
 
 彼氏が誰かに挨拶をしている。
 まさかまたしてもお邪魔虫・先生ではないかと目を開けてみると、そこにはお邪魔虫・ヒサメ2号!!
 
アン「なんでお兄さんー!??」
 
 隣に座っていたハズのリクが追い出されて立っており、代わりに人形を連れた先生のお兄さんが占拠していた。
 勝手にサンドウィッチ頬張っちゃって。
 
アン「んな……!?」
 
 あんぐり。
 
偲「…………」
人形「リッくん」
リク「はっ、はい」
  『リ……リッくんて……』
 
 全然全く、これっぽっちも親しくないのに、やたらと親しげである。
 
偲「…………」
人形「お前様に偲が話したいことがあると」
リク「あの、先生は?」
アン「……ちょ……」
偲「…………」
人形「その鎮のことでござる」
リク「先生がどうかされました?」
アン「……あのぅ~……」
 
 またしても邪魔が入った!
 しかも今度は腹話術師の変なブラザーの方!
 まったくヒサメというのはどうしてこうも……
 
偲「…………」
人形「偲はもう帰らなければならぬゆえ、リッくんに頼みたいことがあるのでござる」
リク「か、帰るって……先生はそのことを?」
偲「…………」
人形「知らぬ」
リク「そんな……あんなに喜んでいたのに」
偲「…………」
人形「リッくんはシズのことをどのくらい知っておられるか」
リク「いえ……ほとんど何も……」
 
 目線を落とす。
 
アン『……リク君……』
偲「…………」
人形「鎮はあまり話したがらない……本当のことを聞いて欲しい」
リク「……俺に……どうして……俺でいいんですか?」
 
 驚き半分、それに知りたい欲求が半分、表に現れた。
 
アン『……なんであんな変な生き物のことをそんなに知りたがるの? どうでもいいのに……』
 
 邪魔が入って不服のアンは当然のことを思った。
 
偲「…………」
人形「他でもない、おシズが心寄せるお前様だからでござるよ」
リク「…………心……」
アン「…………寄せる……」
 
 リクの手が自然に動いて胸元の服を握り締めた。
 
リク「俺なんか……カンチガイですよ、お兄さん。先生は俺のことなんか多くの中の一生徒くらいにしか……」
 
 否定しながらもどこか嬉しそうである。
 
アン「……リク君……」
偲「…………」

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