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レイディ・メイディ 64-5
2008.09.05 |Category …レイメイ 64話
リク『ダメだ。トイレくらいじゃあんまり話ができない……』
戻る最中に見た感じでは、シノブ、オハツ、ゴロクの他に巨漢一人と癖の強い長髪の小柄男一人、それにローゼリッタの人間らしき者が二人。
合計七人がいた。
場所はわからない。
とにかくどこかの山の中だということくらいしか。
そう遠くないところに沢があるようだ。水の音がする。
用を足して戻るとクロエと共に木の幹にくくりつけられた。
木でできた粗末なお椀にお粥を注いだものを渡される。
▽つづきはこちら
冴牙「ヒュウ♪ いるとこにゃあいるんだねェ。キレイどころっていうのかァ?」
癖毛の……どうやらサエガというらしい男が下品な笑みを浮かべて言った。
冴牙「俺ァ、キレイなモン見ると傷つけたくなっちまうたちなんだよなァ」
小刀を抜いて、リクとクロエの目前にちらつかせる。
初「よしなされ、身分尊い方ぞ!」
鋭く初の声が飛ぶ。
冴牙「身分尊いって……西の国の話じゃねぇか。おんなじ人間だろ。俺ら外道も、姫君もよぉ。物を食うし、小便だってするんだぜぇ?」
悟六「やめておけ、冴牙。それらは大事な人質ぞ。それも大名に引き渡さねばならぬ」
初が言葉に詰まると悟六が助け舟を出した。
冴牙「ちぃっ」
炎座「はははは! 冴牙は壊すのが好きだからのぅ」
冴牙「おうよ。解体するのが好きでたまらんのさァ。特にキレイなモンをメチャクチャにするのは、楽しいでな」
抜き身の刃を舐める。
この会話だけでサエガという男の残忍性は見える。
氷鎖女同士の会話になると言葉が通じないクロエでさえも、雰囲気は伝わったようで不安げに表情を曇らせた。
初「偲……おシズは本当に来ると? もし来なければ、我々の一番の目的が果たせぬことに」
偲「……来る」
初からの問いに食事の手を休めた偲が答えた。
初「殺されるとわかっていて何のために? この者たちはおシズにとってそれほど価値のあるもの?」
偲「……ある者だ」
きっぱりと言い切る。
その頭の中には、1ヶ月前、再会した折の言葉が蘇っていた。
もしも養成所内の何かが、ただ一つでも失われるようなことがあれば、全力を持って兄を八つ裂きにすると明言したのだ。
追ってこないわけがない。
偲「それにな、お初」
初「?」
偲「シズは甘い」
言って、また食事にありつく。
初「………………」
会話を全て聞き取ったリクはクロエに視線を送ったが、通じていないのだと思い直して首を振った。
リク「シノブさん」
偲「…………」
リク「先生は来ません。来るとしても薔薇の騎士団に通報して、一緒に来ます。こんなことはやめておいた方がいい」
倭国の言葉がわかることはあまり印象づけない方が賢明だと判断したリクはローゼリッタの言葉で語りかけた。
リク「俺たちは先生にとって特別なんかじゃないんだ」
偲「…………」
人形「それはどうかなー?」
リク「特別はお兄さんなんです、判ってあげて下さい」
クロエ「そうよ、あんなに仲良しだったのに。信じてたのにあんまりだわ!」
偲「…………くすっ」
リク・クロエ「!」
『笑った……』
人形「特別だからこそでござるよ。さもなければそちらを連れ出せぬ」
初「私たちも危うくだまされたわ、偲」
わざと怒ったようになじって、座っている偲の隣を詰める。
人形「許せよ、初。敵を欺くはまず味方からというでな。ああでもせぬと疑り深いシズのこと。こちらが危ういでな」
初「でもよいのです。こうして無事、戻ってきてくれたなら……」
恋する瞳で偲を見つめる。
クロエ「気持ちを利用するなんて……そんなの酷い」
偲「…………」
人形「おシズは大軍でなど来ない。来ればそちらの命はないと承知しておる」
リク「どうして……そうまでして殺さねばならないのですか」
偲「…………」
人形「そういう、命令だから」
リク「その命令は何のために!?」
偲は答えなかったが、代わりに残忍性を帯びた男、サエガが割って入った。
冴牙「化け物だからサ」
リク・クロエ「化け物……?」
冴牙「へっ。知らねぇで先生ときたモンだ」
偲「…………」
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●Thanks Comments
リクとクロエ
が、偲兄さんによって捕まった(T_T)
今日はいっぱい更新されてて嬉しい♪(^-^)でも、ゼロちゃんの体調気になる....無理はしないでくださいね。でも、これからどうなるんだろう....。できれば、まだ偲兄さんを信じていたい。
元気です。
具合悪かったの、あの1日だけでした。一体、何だったのというカンジ^_^;
天気も関係あったのかな、気圧とか。
偲兄さん……まだあっぴちゃんから信用してもらっている……どうするんだよ、オマエー!みたいなカンジですね(笑)
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