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レイディ・メイディ 62-2
2008.08.28 |Category …レイメイ 62・63話
しかしお付き合いするつもりは毛頭ない。
嫁入り先で酷い目に遭ってからというもの、男の人は大の苦手である。
教官はメイディアにとって男でも女でもないからよいのだが、こちらを異性として扱ってくる男性には警戒心が先立ってしまう。
チャーリー「付き合ってる人がいないなら、いいじゃないですか」
メイディア「いなくてもお断りさせていただきたいのです」
チャーリー「どうしてだい?」
メイディア「どうしてもですわ」
チャーリー「心に決めた人でも?」
メイディア「……いいえ」
チャーリー「だったら……」
▽つづきはこちら
メイディア「チャーリーさん」
チャーリー「チャーリーでいいよ」
メイディア「ワタクシはお断りさせていただきたいと言っているの。約束をした殿方がいるいないのお話ではなくてよ?」
チャーリー「君は好きな人がいなくて、予定もないんだから……」
メイディア「……何をおっしゃっているのか意味がわかりません。失礼します」
チャーリー「ま、待ってよ」
メイディア「お放しなさい、無礼者!!」
腕をつかまれてとっさに跳ね除ける。
チャーリー「……無礼者?」
メイディア「………………」
チャーリー「アハハ、君は貴族でもないのにおかしいや。無礼者。無礼者だって?」
メイディア「女性に無断で触れるのは紳士のすることではありませんことよ」
チャーリー「借金で首が回らないくせにお嬢様みたいなこと言うな!」
フラレた腹いせなのか、内気青年は瞳に凶暴な光を宿してメイディアをどついた。
メイディア「キャッ!?」
買ったものがカゴから転がり出て、辺りに散らばる。
チャーリー「ホラ、立てよ。ぼっ、ぼっ……僕についてこい!」
メイディア「何をなさるの! もうアッタマきた!!」
立ち上がって服についた埃を払う。
チャーリー「アッタマきたのは僕だ! なっなっ……ナマイキ女め! ぶつぞっ!!」
両手を振り上げる。
メイディア「チャーリーさん」
チャーリー「呼び捨てでいいって言ったろ。君と僕の仲だからね!」
メイディア「チャーリーさん、このこと、お母様に言ってもよろしいですね」
冷たく言い放って、落ちた物を拾い集める。
チャーリー「言いつけるのか、ズルイぞ」
メイディア「……嫌ならもうワタクシに構わないで」
チャーリー「………………」
母親に言いつけるというのが利いたのか、青年は何事かぶつぶつと文句を言いながらようやく立ち去ってくれた。
メイディア「ふぅ。まったくせっかく摘んだお花、踏みにじって……嫌ですわ。気持ちの悪い方。あれでワタクシより4つ年上? ……うわ、先生と同い年ってこと!? ありえませんわ」
本来ならば魔法の一つでも食らわしてやるところだが、良くしてくれている肉屋の息子である。
できるなら関係を悪化させたくない。
貴族でなくなり、他人の施しなしでは生きられないようになったメイディアもさすがに生きるための術を学んでいる。
昔のように周りなんて関係ないという態度では通らないのが平民の世の中だ。
それに自分から悪化させようという気が起こらないのも、周りのおじさんおばさんが優しいからだ。
リディアちゃんはよくやっているねぇと皆が褒めてくれる。
できて当たり前の世界にいた彼女には、今までにはないことだった。
カゴに荷物を詰め直して、何度か後ろを振り返りつつ、ようやく屋敷に到着。
戦えば勝つとわかっていても得体の知れぬ恐怖が背中を振り向かせるのだった。
メイディア「あーあ、ただいま。お前を呼ぶことにならなくてよかったわ」
玄関入ってすぐのところに立てかけてある戦闘用の人形の頭をなでた。
この人形は鎮がメイディアのために置いていったガーディアン(守護者)である。
ダンラックの手の者が来ればすぐに反応して、メイディアを守ってくれることになっているのだった。
チャーリーから逃げおおせたというのにもまだ心臓はどくどくと脈打っている。
男の人というのはどうしてこんなに怖いものなのだろう。
恋愛小説の中ではこんな気持ちの悪い登場人物なんて出てこないのに。
急いで家中の戸締りを確認すると、気分を変えるためにまずは温かい紅茶を淹れてボロソファーに腰をうずめた。
紅茶の良い香りが鼻腔をくすぐると徐々に落ち着きがもたらされる。
メイディア「はぁ。今後もあのわけのわからない方と顔を合わせなくてはならないと思うと憂鬱ですわ……」
読みかけの恋愛小説を手にとって眺める。
メイディア「こんなステキな王子様が迎えに来てくれたらいいのに」
君だけだよと優しく囁いてくれる王子様が。
メイディア「週に一度が月に一度になってしまった魔法使いのおばあさまを待つ、ラプンツェルのようだわ、ワタクシったら。……おばあさま、今度は本当に帰ってくるのでしょうね?」
ラプンツェルだったら、最終的には王子様が来てくれるハズなんだけど、今のところ、そんな予定はまったくナシ。
とりあえず明日は魔女役のヒサメ先生が戻ってくるハズなのだけれど。
ぶすくれて小説本を読みふけっている内にウトウト眠ってしまった。
はっとして目覚めるとすでに日が傾きかけていた。
あわてて食事の支度にとりかかる。
いつものように長い長い一人きりの時間。
夜が一番キライである。
一生懸命作った夕食も一人では味気ない。
自分の気持ちを慰めるために摘んだ花は今日は踏まれてヨレヨレだ。
伯爵家にいた頃も広い部屋で一人きりで食事をしていた。
だから今更だ。
そう思いながらも、やっぱり人恋しい。
メイディア「お友達……欲しいなぁ」
ヒサメが構想したことが早く実現すればいいと思う。
クレスとリクがこの館に来れば、問題解決なのだ。
自分と先生とクレスとリクとそれからチェリーも連れてきて、皆でご飯……
さぞや楽しいだろう。
一生結婚なんかしないで、彼らと兄弟みたいに仲良くやっていければいいのだ。
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●Thanks Comments
メイディアだ☆
わーいっ、メイディアだ。なぜか懐かしい。でも、嬉しい(^-^)
新しい人物チャーリーだ☆でも、偉そう(笑)
アンがせっかくリクのために優しさをお願いしたのに...ヒサメ先生ときたら...(大笑)
おまけも笑いました。やっぱりヒサメ先生は可愛い。
メイディア登場、続きも楽しみ♪
メイディアです。
再登場、今回もロクなコトをやらかしません。
おとなしくしていられない主人公です;
鎮の優しさ、肩たたき10回分。
超安い! そしてペライ。
優しさ大安売りだよ(爆)
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