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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 62-4

 一つ一つ部屋を確かめてみないとならないだろうか?
 いつかもこんなことをして最後にカラクリ部屋でひどい目に遭ったんだっけと結末を思い出す。
 あのときは先生の子供っぽいイタズラだったからよかったけれど。
 迷っているとまた音がした。
 すり歩くような音と……
 ドアを叩く音?
 
メイディア「……ゔ……」
     『ちょっと……今……?』
 
 例の開かずの扉からである。

▽つづきはこちら

 家鳴りだ家鳴りだと先生は強引に説明つけていたけど、ここで毎日暮らしている身としては怪しい以外の何物でもない。
 実はこうして何度か、いや、何度も物音を聞いているのだ、あの部屋から。
 何度問いただしても家鳴りというのでそういうことにしておいてあげたが、今日はもう我慢ならない。
 あの男が潜入している可能性が少しでもある限りは。
 ひょっとしたら、今までの家鳴りとやらもあの男が実は潜伏していて、わかっていない先生は、メイディアの訴えを面倒くさいから家鳴りだと言って適当に受け流していたのではないか?
 ふいに考えが突飛な方向に及んでしまった。
 
メイディア『それはないわね。いくらなんでも気づくわ……ワタクシだって……。それに、そう。窓は板で打ち付けられているのですもの。内側から。入れるわけがない』
 
 理論武装しながらも歩みは例の部屋に向かっていた。
 ドアの前で足を止め、耳を済ませる。
 
メイディア「………………」
 
 そっと、手を挙げて杖の先でコツンと1回だけ叩いてみた。
 すると。
 どんっ! どんっ!
 2回、返答するかのように返ってきた。
……返ってきてしまった。
 返ってきてはいけないハズの返事が!
 
メイディア「……きっ!」
 
 悲鳴を挙げようとしたが、もう一度ドアが内側から叩かれて思わず止まってしまった。
 二度。
 三度。
 これはもう疑いようがない。
 誰かがいる。
 
メイディア「誰ッ! 返事をなさいっ!!」
 
 恐怖に押し負けてヒステリックに叫ぶ。
 いるとしたら、あの男しかない。
 それともとうとうダンラックか!?
 
メイディア「来いっ!! ワタクシは負けない!!」
 
 戦慄の波に飲まれて動けなくなる前にと、すぐさま呪文を唱え始めた。
 恐怖は攻撃で吹き飛ばすしかない。
 
メイディア『ワタクシには力がある! 信じる!!』
 
 しかし予想に反して、応えた声は弱々しい、子供の声だったのである。
 しくしくとすすり泣く声。
 毒気を抜かれてメイディアはぽかんと口を開けた。
 
メイディア「何をしているの?」
声「出られないの……」
 
 声は素直に応えてきた。
 メイディアの記憶に、ある光景が形を成した。
 近所の子供たちが度々、この「お化け屋敷」を見に来るのである。
 商人の妾が本妻に刺されたという事件から尾ひれがついて、本当はその妾は死んでいないし、今も元気で他の町にいるというのにこの町では死んだことになっていて、しかも屋敷に祟って出てくるというのだ。幽霊となって。
 いい加減なものである。
 子供たちの間ではこの屋敷は恰好の肝試し場所で、メイディアを遠目に見ては失礼にも妾の幽霊だと叫んで走って逃げてゆくのである。
 ようやく最近になって、リディアという少女が親戚と共に暮らしていると知れ渡り、子供たちも寄り付かなくなってきたワケだが、まだ時々はカンチガイした子が真相とやらを確かめにやってくるのだった。
 中に入ってしまって泣いているこの子供もその類だろうと思い、メイディアはがっくりうなだれた。
 緊張疲れして損をした。
 まったく、と文句を言いかけて、それもおかしいと遅まきながら気がついた。
 いつ、どうやって入ったのだろう?
 
メイディア「アナタ、どうやってそこに入ったの?」
声「わかんない……暗い。怖い。おなか減った……」
メイディア「わかんないって……もぅ」
 
 子供が泣き出してしまって、また毒気を抜かれる。
 
メイディア「ここはワタクシの家です。ちょっと語弊はありますけど、とにかくワタクシが住んでいます。勝手に入ったらダメではありませんの」
声「……ごめんなさい……」
メイディア「ふぅ。……そこには誰もいないのでしょうねぇ?」
声「…………」
メイディア「チャーリーさん? もしそこにいて、子供を捕まえているなら容赦しませんことよ? ワタクシは魔法使いですからね。今から魔法を唱えます。5を数えるうちにおとなしく出てきなさい。さもなくば、命の保障はできません。……さ、数えますわよ」
 
 この開かずの部屋。
 窓はふさがれているのだが、それを確認した最後は昨日のこと。
 今日は建物の裏側に回っていないのだ。
 いちいち窓の点検を毎日しているわけではない。
 洗濯物を干すときに裏手に回るだけだ。
 もしかしたら、チャーリーが侵入している可能性があるととっさに考えが至った。

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●Thanks Comments

わーいっ。

ドキドキ、ハラハラだっ☆子供にただ今起こされて目がさえた(笑)そしたら新しいレイメイの更新がっ。嬉しい♪
あの声は一体...何者なんだろう....わぁーいっ。気になるっ☆

From 【あっぴ】2008.08.29 03:38編集

何故に?

夜中の3時過ぎに起こされてるんですか(笑)
あはは、大変でしたねー^_^;
レイメイ、せこせこ書いてますよー。
……集中力散漫で亀の歩みなんだけど、一応、今年中に終らせるのが目標なので調子悪くてもコツコツ進めることにしてます。
今日も更新がんばりマッスル☆

From 【ゼロ】2008.08.29 09:15編集

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