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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 62-6

 お化け屋敷……!
 その単語が急激に浮上してきた。
メイディア『お化け……?』
 痛いほど杖をにぎりしめる。
 肌は粟立っているのに、背中はびっしょりと汗で濡れていた。
 口を閉じ、息を殺して様子をうかがう。
 ………………
 ……………………
 …………………………。
 ……がたん。

▽つづきはこちら

沈黙が唐突に破られた。
 足音が。
 右に左に。
 多くの足音が。
 
メイディア「!??」
 
 けれど足音の持ち主の姿はない。
 こんなとき、白薔薇を専攻していれば霊や魔物を浄化させる知識を教えてもらっていたと思うが、黒薔薇にそんな授業はなかった。
 どうすべきか恐怖に支配されかかった頭の中で必死に答えを探した。
 その間にも足音たちは階段を下りていく。
 メイディアのことなど気にかけていないのだろうか。
 意を決して、後を追った。
 ……見えていないので、本当に「後」を追っているのかは定かではなかったが、足音がこれで全部だとすればメイディアが最後になるハズ。
 蝋燭とランプの頼りない明かりだけが薄暗い室内を照らしている。
 階段の途中で足を止めて上からそっと下の様子を覗いたメイディアはあっと声を上げそうになって口を両手で塞いだ。
 誰もいないロビー。
それなのに壁には長い影が映し出されていたのだ。
なんということだろう。
沢山の、沢山の影がひしめき合っている。
全員、髪が長い。女だ。
それらは玄関に集まり、ドアを叩く。
どんっ、どんっ!
 
メイディア『……出ようとしてる……! ここから……!』
 
 内側なのだから、鍵を開ければいいだけの話だ。
 なのに“彼女ら”は、戸を叩くばかりで外に出られないでいる。
 
メイディア『どうしたら……どうしたらいい? 出してしまっていいの? 彼女たちは何をしようとしているの? 何であの部屋から……』
 
 先生が家鳴りを主張していたのは、封印していた彼女たちをメイディアに知らせないためだった。
 チャーリーなどという青年が犯人だという可能性はすでに否定された。
 先生だ。
 先生が何者かを封じていたのに自分が解いてしまった!
 
メイディア『でも……だったら素直に教えてくれていれば良かったじゃない!』
 
 危険なところに一人放置して、あんまりだ。
 
メイディア『先生ってば、大事なことはすっとぼけて言わないんだからぁ~!!』
 
 部屋から幽霊があふれ出して、本当の幽霊屋敷になってしまった。
 先生が戻ってくるのは明日だ。
 自室にこもって今夜は乗り切るしかない。
 幽霊たちを刺激しないようにゆっくりと物音に気をつけて後ずさる。
 古い木の階段がギィギィと余計な鳴き声を発してくれて、心臓が口から飛び出してしまうのではないかというほど驚く。
しかし、彼女らを刺激するほどではなかったらしく、影はこちらに見向きもしない。
 
メイディア『はふぅ』
 
2階にあがりきったところで、足を止めた。
スカートがつんと何かに引っかかったからである。
階段を登ったところに引っかかるものなどない。
メイディアにはその正体が何なのかわかっていた。
そうだ。
引っかかっているのではない。
握られているのだ。
開かずの扉を開けたときに子供がスカートの端を握っていた。
それと同じ感覚だ。
つまり。
そこに、“あの子”がいる。
メイディアの存在を認識してそこに立っている。
 
声「カエリタイ……」
 
 振り返るなと自分に言い聞かせていたのに、声に反応してつい見てしまった。
 蝋燭の頼りない明かりに反射して、猫のような金色の眼が光った。
 
メイディア「イヤァッ!!」
 
 力いっぱいスカートを振り払って、メイディアは走った。
 いつも寝起きしている部屋に転がり込んで、ドアを閉める。
 
メイディア「イヤ! どっかに行って!!」
子供「………………」
 
 子供は……
 手を振り払われた子供は、その場に立ち竦んで両手を眺めた。
 どこかに行ってとドアの閉じられた向こうから聞こえ、何かにあきめたように背中を丸めてトボトボと元の開かずの部屋に戻っていった。
 
 
 ………………一夜が明けて。
 メイディアがはっと目を覚ました。
 あの状況では何があってもおかしくない。身を守るためにも眠るつもりなどなかったが、うつらうつらしてしまっていたらしい。
 頭を振る。
 完全に日が昇ったが、あの幽霊たちはどうなったのだろう。
 じっと耳を済ませていると妙なことに1階で話し声が聞こえてきた。
 
声1「貴様、何奴!? 怪しい奴め!」
声2「アンタの方が怪しいよ。仮面を取れ」
声1「なにょー!? 拙者はここの家主だ、怪しゅうないわ!」
 
 どちらも知っている声だ。
 幽霊が声真似をしておびき寄せようとしていることも考えたが、あのアホみたいな口調を真似る幽霊もいないと思い直した。
 先生が、到着したのだ。

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