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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 62-7

 しかもどこにいたのかチャーリーをとっ捕まえている様子。
 
声1「貴様のような奴は、逆さにブラ下げて、下でサンマ焼いたるわっ!」
 
 声を聞いたメイディアはすぐさまドアを開け放って走り出し、階段の上から家主を呼ぶ。
 
メイディア「先生!」
 
 ロビーで騒いでいた鎮が顔を上げた。
 
鎮「お」
メイディア「いつお帰りに?」
鎮「今さっき」
チャーリー「リ、リディアさん!」
 

▽つづきはこちら

 縄でふん縛られているチャーリーが情けない声をで助けを求めている。
 そのすぐ側に見たことのない黒髪の男性が立っていた。
 
メイディア「?」
偲「…………」
鎮「無事か」
 
 安否を尋ねられたメイディアは一つ文句を言ってやろうと息をまいて階段を駆け下りる。
 
メイディア「先生っ! ワタクシ、先生のせいで酷い目に遭いましたのよ!!」
鎮「それはもしかしてー♪」
 
 怒鳴られてもどこ吹く風。変な音程をつけて歌いだす鎮。
 しかも一瞬のうちにチャーリーの首の後ろに手刀を食らわして気絶させる。
 ……怖い。
 
メイディア「うん?」
鎮「あれほどダメと言ったのにー」
 
 一歩近づく。
 
メイディア『んぎくっ!?』
鎮「開けたらダメと言ったのにー」
 
 二歩近づく。
 
メイディア『ぎくぎくっ』
鎮「開けちゃダメな扉を開けたからー。幽霊溢れてきちゃったのー♪」
メイディア『バ、バレてるっ!!』
 
 メイディア、後ずさる。
 
鎮「言うこと聞けない悪い子はぁ~、彼氏と一緒にさっかさづっり~♪」
 
 ロープを持って目の前で振ってみせる。
 ここでようやく怒っているのは自分よりも相手だと気がついたメイディア。
 何だか大ピンチだ。
 ごまかさなくては、この教官のことだ。
 本当にロープでくくって2階から逆さづりされた挙句に下で魚を焼くという夜にも恐ろしい拷問をやりかねない。
 
メイディア「まっ! まままま、待って! お待ち下さい、先生様!!」
鎮「前もダメって言ったのに開けちゃって。今度もダメってゆったのに開けちゃって。さぁ、どうしてくれようこのクソ娘」
メイディア「先生だって悪いのですのよ!?」
鎮「ほっほう? 今度はヒトサマのせいと申すか」
メイディア「あんなお化けが封印されてるって知らなくて、中から出して出してって子供の声が……だからワタクシ……」
鎮「子供?」
メイディア「女の子。小さい」
偲「…………」
メイディア「遊んで迷い込んだと思って開けてしまったら、沢山、女の人の幽霊が溢れてきてしまって……」
鎮「…………」
メイディア「どうして言って下さらなかったのですか?」
鎮「う。そ、それは謝ろう。怖がらせたくなかったのでござる」
メイディア「逆効果です!! ワタクシがどれだけチビりそうだったかおわかり!?」
鎮「チビるなよ」
メイディア「チビッてません! ギリギリ!!」
鎮『ギリギリて……』
メイディア「何なんですか、アレはっ!! そんなにマズイものと知っていればワタクシだって開けたりしませんわ」
鎮「フツー、あれだけ札が貼ってあれば警戒するであろうが、魔法使いのはしくれなら」
 
 呆れて肩をすくめる。
 
メイディア「警戒したけど、外からすでに開けられているのでは意味がないと思ったんですのっ! 今度はちゃんと話して下さいますね」
 
 睨んで詰め寄る。
 押しに弱い鎮相手ならば立場逆転するのは簡単だ。
 
鎮「あそこにはな、………えっと……その………悪いお化けを封じておったのでござるよ」
 
 キチンと話せといわれて鎮は口ごもってしまった。
 まさか身体に留めて置けなかった魔力(妖力)を人形に移し替えて、それを保管しておく場所だなんて言えるはずもない。
 メイディアが見たという子供はきっと自分から溢れた魔力が模ったものだろう。
 つまり、自分自身である。
 女たちも沢山いたという。
 それらも鎮自身、または人柱となって死んでいった氷鎖女の女たちだ。
 鎮本人はそんな幻を見たことがないのだが、狭い部屋に多くの魔力のこもった人形を詰め込みすぎたのかもしれないなと思った。
 本来なら、部屋のドアにも札を貼っているし、部屋の床にも封魔の魔法陣がある。
その上、人形にも札を貼ってあり、三重に封じてあるのだからドアを開けたくらいでは魔が出てこられるはずはないのだ。
部屋と封印の効果以上に詰め込んだとなれば、そろそろ始末しなければ。
 
鎮『失敗、失敗』
 
 鎮は常に負の妖力を放出しており、それが許容量を超えても増え続ける。
 許容量を超えればどうなるか。
 ……魔物化して辺り構わず攻撃を仕掛けるようになる。
 その症状を防ぐために身代わりとなる人形という器に移し替えて、ごまかしているのである。
 魔法を放てばその分、蓄積された力を使うことになるので楽になるのだが、そうそう魔法ばかり使う場面もない。
 特にこの平和なローゼリッタでは。
 魔力量が年々増え続けていることに気づき、それが身を滅ぼすとわかったときには思い切り魔力放出するための戦を求めてさまよっていた。
 戦が終れば次の戦へ。

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