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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 62-8

 とうとう最終的に一つの国を滅ぼすことになってから、心が疲れてローゼリッタに転がり込んだ。
 生徒たちから舐められっぱなしの小柄な教官が、黒衣の戦乙女と呼ばれ恐れられていた時代があっただのと誰も想像できまい。
 それほど養成所での彼は弱っちぃのだ。
 ついこの間もネズミ捕りのために仕掛けられた罠に手を挟まれて泣いて保健室だ。
 ネズミをおびき寄せるためのエサに釣られてバチンッ☆
 そんな彼はクロエが仕掛けた罠だと今も信じて現実を受け入れようとしていない。
 彼の中では断じてネズミ捕りのための罠にかかったのではない。
 氷鎖女捕りの巧妙な罠だったから、かかっても仕方がなかったのだ!

▽つづきはこちら

 リクも同じことになって保健室にいたが、彼に言わせれば、リクの場合は食い意地が張っているからいけないのである。
 自分は氷鎖女捕り(決して、決してネズミ捕りではない)に引っかかったから仕方ない。
リクは氷鎖女じゃないのに氷鎖女取りに引っかかったから、食い意地が張ってる。
 保健医のミハイルはこの言い分に大変厳しい対応をしてきたが、ここは譲れないところである。鎮としては。
 で。
 こんな教官が魔力が溢れてどうの。
 戦を渡ってきたからどうのと言って、誰が信用するか。
 一笑に付されてオシマイである。
 信じられたら信じられたで、怖がられてしまう。
 ここはとにかくごまかすしか手立てはない。
 
メイディア「やっぱりそうでしたのね」
 
 幽霊を封じていた。
 あながち嘘でもないと鎮は頷き、メイディアもそれで納得してくれた。
 
メイディア「ワタクシ、封印を破ってしまいましたが、どうしたらよろしいですか? ワタクシの責任ですから、お手伝いします」
鎮「そうか。それは助かる。一応、そこらを徘徊していたモノはもう集めて封じ直したが、人形をそろそろ始末せねばと思っておったところ。穴を掘ってそこに埋めるから手伝っておくれ?」
メイディア「はい」
 
 話が一区切りついてから、鎮が兄・偲に教え子・メイディアの紹介をした。
 
鎮「この者が公爵の花嫁でございます。今更、必要はないでござろうが」
偲「………………」
メイディア「ちょっ……! どういう紹介ですか。何を……」
鎮「公爵の手の者だったのでな」
偲「…………」
メイディア「なっ!?」
鎮「でも大丈夫でござるよ。今はもう、こちらにお味方下さっているのだから」
偲「…………」
メイディア「………………」
 
 二人、視線をかち合わせる。
 やおら青年が抱いていた人形を使って挨拶をした。
 
偲「…………」
人形「その節はどうも」
メイディア「ふ……腹話術?」
 
 あっけにとられるメイディアに更なる衝撃が追い討ち。
 
鎮「それで、こちらが拙者の双子の兄・偲でござる、ゴールデン」
メイディア「……エ?」
     「エエエエエエエッ!?」
鎮「似てないとかそういうことはまぁ、聞き飽きたから言う必要はないでござるぞ」
 
 背の高さが違い過ぎるのなんのと指摘を受ける前に先手を打つ。
 
メイディア「お兄様がいらっしゃいましたの!?」
 
 しかも双子って……どれだけ似てないのだ!?
 言いたくて仕方なかったが、先手を打たれて封じられてしまった。
 
鎮「いらっしゃいましたの」
 
 得意げに言う彼はとても嬉しそうに見えた。
 
メイディア「………………」
 
 話が済むと鎮はまたチャーリーを起こして、責め立て始める。
 
チャーリー「ち、違うんだ、聞いて下さい。僕はただ拾いモノを届けようと」
鎮「届けるために窓を壊して進入しようと?」
 
 どうやらチャーリーはこの家に入ろうとしているところをやってきたヒサメ兄弟に見つかったらしい。
 
鎮「拙者では小さくてナメられますゆえ、あにさまがこのうつけ者を届けてやってきて下され。自宅まで」
偲「……承知」
鎮「あ。人形は置いていって下されよ? 変人と思われまする」
人形「無礼者! 変人とゆーな」
チャーリー「待ってよ。大丈夫だよ。僕は自分で帰れるから」
 
 不法侵入をしようとしたことが両親にバレては困るとチャーリーが騒ぎ立てたが、もちろん通るわけがない。
 
鎮「愚か者が。心配して届けてやると誰が申した!? ご両親にこのこと、報告させていただく」
チャーリー「そんなぁ」
鎮「そんなもこんなもないわ。他人の腰巻など盗って何が楽しい」
 
 メイディアの平民パンツ?(カボチャパンツ、ここにきてようやく卒業)を広げてチャーリーの顔に投げつける。
 
メイディア「!!!!」
     「ギャアアアア!?? 何やってんのーーーーー!???」
 
 がーん!?
 チャーリーの顔に貼りついた下着を目にも止まらぬ速さで回収する。
 
メイディア「何考えてんの、先生!!」
 
鎮「拙者ではない。こやつが持っておったのでござる」
メイディア「そんなんわかってます! そこじゃなくて、あんな人の顔に投げつけないでって言ってるの! しかもわざわざ広げなくてよろしい!!」
鎮「ん。ダッサイ腰巻しておるなと思ぅてな」
メイディア「な、何がダサイですか!! 薔薇騎士レンジャーパンツを馬鹿にしないで下さいませ!!」
 
 メイディア、大噴火。
 ……当然だが。

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