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レイディ・メイディ 第62話

第62話:青髭屋敷、その弐……
 養成所から目と鼻の先にある小さな町の外れにそのお化け屋敷はあった。
 お化け屋敷に引っ越してきたと思われる黒髪の少女は明るく品があってどうやらどこかのお嬢様らしい。
 一人で町に買い物に出かけてパン屋や市場などで気さくに料理の話を聞き、メモをしている。
 ややつり目がちの、青い目をくりくりとさせた愛らしい少女があの家はお化け屋敷ではないと言って歩くから、だいぶ疑惑も晴れてきたところだ。
 彼女はわけあって親戚の家にやっかいになっているのだそう。
 
店のおばさん「その割りに親戚さんは見かけないねぇ」
リディア「おじさまは人嫌いであまり外に出ないの。ちょっと変わり者でして」
 
 少女は物怖じせずに何でも聞いてくるから、行きつけの店では評判がよく、可愛がられている。
 

▽つづきはこちら

おばさん「アンタ、貴族の子とは違うのかい?」
リディア「まさか。貴族でしたら自分で買い物なんて……」
おばさん「それはそうだけど、話し方とか仕草っていうの? アタシたちとはねぇ……」
リディア「えと……確かに裕福な家ではありましたから」
おばさん「まぁ、やっぱりねぇ。それでどうして親戚の家なんかに?」
リディア「ええ、実は両親が多額の借金を背負ってしまいまして……」
おばさん「あらあら、可哀想に」
 
 こう言われたら、こう答えなさいのマニュアルに従ってリディアと名乗っている黒髪のメイディアは上手に答えた。
 年頃の娘が一人で暮らす以上、周囲に金があると思わせてはいけない。
 貴族の娘だったと思わせてはいけない。
 女の一人暮らしだと思わせてはいけないと、担任から口うるさく念を押されていたのである。
 洗濯物だって、いもしない大柄な男の衣類を一緒に洗って干さなければならないというのだ。
 
メイディア『もう。先生ったら心配性! 町の人たちは皆、親切でよい人ばかりなのに。先生は他人を信用する気持ちがないのだわ』
 
 一通りの買い物を済ませて帰り道をゆく。
 
メイディア『でもワタクシもだいぶこの生活に慣れてきましたわね。平民なんかと同じレベルなんてって初めは思ったけれど、ワタクシなんかは平民どころかどこの誰とも知れない娘だったのだわ……』
 
 メイディアはシャトー家の一人娘ではなく、どこからかもらってこられた馬の骨なのだ。
 母がそれでもいいと言ってくれたから、今でもメイディア=エマリィ=シャトーのつもりではあるが。
 その母とももう会うことは叶わない。
 
メイディア「でも今日のワタクシはご機嫌なの~♪ だって明日は、先生が1ヵ月半ぶりにようやく戻ってくるんですもの、ボコるのよ~♪」
 
 買い物カゴを豪快に振り回してスキップスキップ♪
 途中、道端に咲く花を摘んでカゴに入れる。
 
メイディア『……? まただわ、……あの人……どういうつもりなのかしら?』
 
 最近いつも、途中から誰かかついてくるのだ。
 誰か。
 正体は知れている。
森への一本道にさしかかったところで男性に呼び止められた。
 
メイディア「あら、レイモンドさんところの……えーと……」
 
 知っておきながら、メイディアはわざと知らない振りをした。
 
若い男「チャ……チャーリーです」
 
 肉屋の倅は頬を染めて目をそらした。
 料理を快く教えてくれるおかみさんの末息子は内気でよく顔を合わせるものの、挨拶しかしたことがない。
 こちらから声をかけてもじっと見ているだけで返してこない。
なんと無礼な男だと思っていた。
 それでもおかみさんが愚息が申し訳ないと謝ってくるので、仕方なく怒りの矛を収めていたのだが。
 
メイディア「そうでしたわね。チャーリーさん。ご機嫌いかが?」
 
 そんな彼にいきなり声をかけられて驚いてしまった。
 この2週間ばかりずっと、後をつけてくるのに振り向くと逃げ出していってしまうのだ。
 それが今日は向こうから用件を言ってきたではないか。
 
チャーリー「あ、あの、あの……リディアさんは今、付き合っている男性とかいらっしゃるんですか?」
メイディア「お付き合い? ……いいえ」
チャーリー「でしたら、僕とお食事などいかがでしょうか?」
メイディア「申し訳ございませんけど」
 
 即行で断わっておきながら内心は、
 
メイディア『ふっふーん♪ どぉーですか! ワタクシのこの魅力! 貴族の看板がなくともちゃんと殿方を振り向かせることが出来るではありませんか♪ 明日、先生か来たら自慢せねば!』
 
 これまで、貴族の令嬢だからという理由で近づいてくる男は星の数ほどいたが、メイディアという少女個人に好意を抱いた男は今までに皆無。
 ちょっぴり嬉しいメイディアである。

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