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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 60-15

 遅れて保健室前に到着していた3人が一生懸命に聞き耳を立てている。
クロエとフェイトはいくら聞き耳を立てたところで無意味なのに。
 唯一、言葉を理解できるリクも会話が小さくてあまり聞こえていなかった。
 氷鎖女兄弟はそろって声が小さい。
 
クロエ「何を言ってるの?」
リク「……しっ!」
 
 ノブに手をかけようとしたクロエを制する。
 
リク『……ダメだ、途切れ途切れしか聞こえない』
 
 その横でフェイトは剣の柄に手をかけている。
 

▽つづきはこちら

フェイト「怪しい雰囲気はないか? 殺気立っているようには感じないが」
リク「それはたぶん大丈夫。いい再会になっていればいいけど……」
 
 隙間に目を当てる。
 
リク『……少し……慣れてきたのかな、さっきよりは聞こえるようになってきたかも』
偲「……おシズ、悪かった。一人苦しい思いばかりさせて」
 
 偲は同い年のはずなのに時間がずれてしまったような弟の顔を両手で包み、弟は兄のその手に自分の手をそえた。
 
鎮「いいえ。あにさま。あにさまは何一つ悪ぅありませぬ。鎮こそ……鎮こそ、いつも……いつもご迷惑ばかり……どうぞ、お許しを……」
 
 兄の謝罪を聞いて、身を投げてからの10年が一瞬で報われた気がした。
 心が氷解していくのがわかる。
 温かいものがじわりと染み入ってくるようだ。
 いつ知れたのかはわからないが、自分が生きていたせいで家族が村の連中からどんな冷遇を受けていたかを想像すると、申し訳なくなって、今の今、殺されても構わないような気さえしてくる。
 いつも家族の幸せを願っていたけれど、その自分が一番壊していたのだと思うと居たたまれない。
 それなのに兄は優しかった。
 昔どおりに。
 いつもこの化け物の存在を許してくれるのは、兄だけなのだ。
 一度、否定されて子供だったばかりに耐えられなくて身投げをしてしまったが、その後、同じように幼かった兄が自分のせいだと自らを責めたであろうことは想像に難くない。
 人一倍、真面目で責任感の強い兄であったから尚更。
 自分を責めていたからこそ、鎮の一太刀を受けたのは考えなくともわかる。
 
鎮「あにさま」
偲「……なんだ」
鎮「あにさま、あにさま」
 
 頭を相手の胸にこすりつける。
 
偲「…………」
鎮「お会いしとぅございました……」
 
 とどめもなく、涙が湧き上がっては頬を濡らす。
 
リク『…………泣いて……る?』
 
 隙間から覗いていたリクがハッと息を呑んだ。
 きらり光るものが床に落ちては弾けて消えるのが見えたからである。
 
鎮「ほんに……生きてお会いできようとは、夢のよう……」
 
 村を離れてから、もう二度とは会えないと覚悟していたのに。
 
鎮「鎮は……鎮は……もう……」
 『死んでも悔いはない……』
 
 欲を言うなら、両親にももちろん会いたい。
 死んだ息子を少しでも哀れんでくれたなら嬉しい。
 可哀想に。もっと優しくしてやればよかったとひょっとしたら、もしかしたら、言ってくれていたかも……
 それで生きていたことを知って迷惑に思いながらもほっとしていてくれたなら、どんなにか嬉しいか。
 
鎮『……いや……それは望みすぎというものか。……いい。あにさまがこうして願いを聞き入れてくれたから、もういい』
 
 独りで孤独に怯えながら死ななくてもよいのだ。
 家族が側で見取ってくれる。
 あまりに苦しんだなら介錯(かいしゃく)をしてくれるだろう。
 
偲「………シズは泣き虫よな、いつまで経っても」
 
 今度こそ、兄弟の感動の再会となり、保健医のミハイルは居場所をなくしてちょっぴり困っていた。
 
ミハイル『感動の再会は他でやってくれよな。いづらいったらありゃしねぇ。ものすんげー邪魔者じゃねーかよ、僕が』
 
 自分が一番優先でいていいはずの領域なのに、居心地悪くて仕方がない。
鎮の仮面の下から落ちる透明の雫をミハイルは見ないフリをし、外に通じる裏口からそっと身を滑らす。
 
ミハイル『まったく…………うっ!?』
 
 気を利かせたつもりだったが、ドアを開けたすぐそこに黒い女豹(?)が獲物を狙ってらんらんと眼を輝かせていたので、格好悪くも保健室に逆戻りしてしまった。
 
ミハイル『ううっ……! ばつ悪りぃー!!』
 
 ドアの外で、
 
チェリー「? にゃあん?」
 
 黒い女豹?は小首をかしげる。
 可愛らしく。
 外に出るのを失敗したミハイルは、用があると正当な理由をわざわざ声に出して廊下側のドアを開け放った。
 途端に支えをなくした生徒3人がドミノ倒しになって、内側に倒れ込んでくる。
 
ミハイル「……ケガ人か?」
リク「いえ……あの……」
ミハイル「盗み聞きだったら、やめとけよ」
リク「いや、えっと……」
クロエ「あ、あは……」
フェイト「クロエの脳みそが病気だったもので。俺は付き添いです。悪くありません。ほんの少しも」
クロエ「どっ! どうして私!?」 ガンッ!?

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●Thanks Comments

感動の再会だっ。

ヒサメ先生可愛すぎ。「あにさまっ」って本当にお兄さんに会えてよかったね(^-^)

From 【あっぴ】2008.08.12 08:53編集

22歳男子のクセしてね

甘ったれでキモ……ゲフンモフン。
早くこのイベント終らせるためにも、書き書きします。はい。

From 【ゼロ】2008.08.12 19:36編集

でかしたぞ、チェリー☆

よくぞナイスポジションに(笑)
いいこ、いいこ☆
ナデナデ。

そういえば、氷鎖女いつのまにか額あてしてた。

From 【 ぱんだ】2008.08.12 21:07編集

額当ては、

ここでは外していませんよ?
着けっぱなしデス。
取ったのは、この前の前の場面。
保健室→授業→保健室……となっていて、初めの保健室で素顔見せて、60-11で装着し直してる一文があります(^-^)
それから額当てはとってないのでそのまんま。

From 【ゼロ】2008.08.12 21:18編集

そーいえば…

ヤバス!
時が止まったままだったわ(汗)
最近、記憶力が著しく低下しておるわい…。ゴホッ、ゴホン。

From 【ぱんだ】2008.08.12 21:50編集

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