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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 第60話

第60話:兄弟再会
 6月。
薔薇の騎士団養成所・宿舎3階。
 
カイル「リクリク、クレス! リクレス!!」
 
 カイルがノックして叫ぶ。
 
クレス「うるさいな。混ぜて呼ぶなよ。何がリクレスだ」
カイル「超巨大ビックニュース!」
クレス「ニュース?」
カイル「ヒサメ先生のお兄さんが……キータァー!!」
クレス「なんだそんなこと……………………………………って……」
   「エエェエェエェエ!??」
リク「!!」
クレス「ど、どういうことだよ、それ!?」
 
 ドアを開け放ってカイルを引き入れる。
 

▽つづきはこちら

カイル「どうもこうも、俺が出掛けようとしたら、ここの生徒でですかって。シズカ呼んで下さいって門の前で今、待ってんの!!」
クレス「……マジ!?」
リク「…………お…お兄さん?」
レク「へぇー。兄弟いたんだね」
カイル「シズカちゃん、呼んで来ないと!」
リク「でも残念だけど、先生はいないんだ」
カイル「どうして?」
リク「家に帰っちゃってて……」
クレス「家、あったの?」
 
 その事実を初めて知った日のリクと同じ反応を示して、クレスとカイルが口をポカンと開ける。
 あの教官は生活感が感じられなくて、養成所以外に存在している気がしなかったのだ。
 
レク「仕方ない、それを伝えて出直してもらおうよ」
カイル「じゃあ、そうするかぁ」
リク「待って、俺も行く」
クレス「ついていってやってもいいよ。興味ないけど」
カイル「別に来なくていいぜ。俺だけで済むし」
クレス「うっ…」
レク「まぁまぁ。珍しいんだし、いいじゃない。クレスも行って来たら。お世話になってますって挨拶でもしてきたら?」
 
 苦笑しながらも、素直じゃないクレスに助け舟を出す。
 
クレス「せ、世話になんてなってないけどね」
 
 結局、三人で門を目指して走る。
 氷鎖女の授業を選択したことのないレクは特別興味を引かれなかったので、ついて行かずに部屋に残った。
 庭を横切る途中、慌ただしく走っている三人を見かけたクロエが参戦。
 
カイル「クッ、クロエさんっ!」
クロエ「三人で慌ててどうしたのかなって思って」
カイル「いやあの、シズカちゃんのお兄さんが来てて…」
クロエ「ニンジャブラザー!?」
 
 ががーんっ!?
 
クロエ「私も行く!!」
 
 眼を輝かせる。
 目的地に着くころには、ビックニュースが所々で広がって、結局10人以上が集まってしまった。
 秘密の多い氷鎖女の家族ときたら、興味を向けずにはいられない。
 日曜日で養成所に残っていた人数が少なかったからまだこんなものだが、平日だったら大変である。
 
カイル「お待たせしましたァー」
 
 門の前で腕を組んで立っていた青年が顔を上げた。
 服装はローゼリッタでよく見かけるようなごくありふれたもので、頭には額当てなどしていない。
 あの変わり者の兄弟というからには、どのような奇人変人な格好をしているかと思えば、普通だった。
 
クレス「どんなミジンコかと思ったら、普通に背があるじゃん。ま、大きくはないけど」
 
 身長はぱっと見、170半ばくらいだろうか。180まではなさそうだ。
 ちょうどリクくらいか。
 160にほんのり満たない氷鎖女とは大違いである。
 
リク「先生は確か……双子のハズなんだけど、本当にお兄さんだって言ってた?」
リクを除く全員「双子なのぉっ!?」
リク「そのはず……」
ジェーン「じゃあ、じゃあ、先生ってあんな顔してるワケ!?」
 
 切れ長の細い目。涼しげな顔立ち。
 
モーリー「うーそーぉ! カッコイくなーい?」
アン「……何か間違いじゃなくて?」
クレス「一緒なのって、髪形だけじゃん」
 
 後ろに一本で高く結い上げたポニーテールに目をやる。
 
クロエ「ニンジャの正体見たり!!」
ステラ「こんなに押しかけて来て、変に思うでしょうね~」 苦笑。
 
 大騒ぎのクラスメイトより一歩進み出て、カイルが事情を伝えた。
 
カイル「シズカちゃんお兄さん。弟さんは今、帰宅しててここにはいないようです」
氷鎖女・兄「帰宅……? それは……どこに?」
 
 堅く結ばれていた唇が動いて発せられたのは、女性の心に心地よく響く重低音。
 声変わりをしているのかどうかも怪しい幼声の“ヒサメ先生”とは丸っきり質が違う。
 
全員『………ふ…双子……?!』
 
 同じだと言えば、髪形と髪色。
 それに古い人形を1体、抱いている辺りが一応、ヒサメっぽいといえばヒサメっぽいか。
 しかし共通点というには、それ以上に違いがあり過ぎる。
 これで兄弟と言われても説得力まるでなしだ。

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