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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 60-4

初「おシズがどのような力を持っているか知れませぬ。もっと下調べが必要だったのでは?」
悟六「それはワシも思ったが、偲が行くと言うでな。任せることにした」
初「…………」
炎座「そう案ずるな、お初。シズは忍の法を心得ておるまい。ワシらの勝ちに決まっておる」
初「しかし、この西の大陸には“まぢっく”なる怪しげな妖術が……」
炎座「大したことはなかったではないか。あの公爵も操っておったが、あの程度では我ら一族の敵ではない」
 
 体を揺すって巨漢が豪快に笑った。
 
悟六「油断は禁物ぞ、炎座。あの大名、まだ何か底知れぬものを感じるでな。隙は見せてはならん」
炎座「相変わらず、慎重よな。慎重も過ぎると臆病となり申そう」
悟六「なんだと」
 
 臆病と聞いて、悟六が鋭い視線を突き立てた。
 

▽つづきはこちら

炎座「おっと。身内モメはやめておこうか」
 
 睨まれて炎座がおどける。
 
悟六「仕掛けておいて何を言う」
冴牙「ダンナァ、勘弁してくれぇ」
 
 見かねて今度は冴牙が間に入った。
 
悟六「む、すまん。我々は潜伏して偲の合図を待とう」
 
 全員、うなずく。
 
初『………おシズさえ、おとなしく死んでいてくれたら……いや、生きていなければ、偲がこのような想いをせずに済んだのに』
 
 幼なじみの初は、兄弟を殺すために選ばれた偲の身を案じて、顔すらも忘れてしまったもう一人の幼なじみを恨んだ。
 
 
 手際良くというよりもあまりに非常識に大胆に表から侵入した偲は、ターゲットの一人である紅い目の少年らが生活する部屋にいた。
 目の前にいる目標の一人である彼を今連れて行くのは簡単だ。
 が、一人だけ強引に連れ去ると残りの警戒が強くなってしまう。
 さてどうしたものか。
 物珍しそうに話しかけてくる少年たちの問いに人形を使って答えながら偲は考えた。
 弟が不在だったのは幸いだったと。
 10年も前に村から逃げ出した弟が自分を見てどう思うか。
 顔を合わせていきなり襲いかかってくることも念頭に入れておかなくてはならない。
 懐かしんで抱き合うなどという感動的な再会の場面などまずないと思っていい。
 自分が弟の立場ならまず疑ってかかるからだ。
 疑うどころか一太刀に斬り捨てるだろう。
 弟がその後の人生をどう生きてきたか、置かれた環境にもよるとは思うが、薔薇の騎士を育てる教官というからには実力者と見ていい。
 黒魔術を操り、身のこなしも半端ではないことは公爵から聞いている。
 少なくとも、毎日、泣かされては自分の後ろに隠れていた頼りない少年ではなくなっているのは確かなのだ。
 弟は鬼才。天才という言葉では片付けられない、鬼才で奇才。
 15で人柱にされるはずだった鎮に忍術は教えられなかったが、見様見真似で操っていた。
 偲がいくら厳しく父親から教えられてもなかなか習得できなかった術の数々を。
 だから氷鎖女という特殊な枠から弾き出されても、息さえあれば、どこかで必ず頭角を現すという確信があった。
 黒魔術の教官だと聞いても、今更、驚きはしない。
 
リク「シノブさんはどうしてこちらに?」
人形「弟を連れ帰りに来たに決まっておるでござろう」
 
 しばらく話をしたらこの赤い目の少年をどうにかして養成所の外に誘いだし、あとは仲間に任せようと偲は考えた。
 それから姫君だ。
 
リク「連れ…帰る?」
クレス「帰るの、ヒサメ?」
リク「そ……そうなんだ……」
  『ひょっとして……お兄さんと前から連絡ついてて、帰ることになってたのかな……それで長くは付き合えないって……』
 
 それなら納得がいく。リクは思った。
 けれど、それでは本当に別れとなってしまう。
 以前にヒサメ先生本人の口から遠くに行くと聞いていたレクも同じ事を考えていた。
 
レク『そうか。国に帰るってことだったんだ……』
リク「……………」
偲「…………」
クレス「ふぅん…」
   『迎えか。……いいな』
 
 遠方から双子の兄弟がわざわざ探しに来てくれる。
 詳しい事情はわからないけれど、すでに身寄りのないクレスはうらやましく感じられた。
 誰かが迎えに来てくれる。
帰る家がある。
迎えてくれる家族がある。
 なんて甘い夢物語だろう。
 うらやましそうなクレスと言葉にしがたい焦燥感に駆られるリクを交互に眺めてレクは息をついた。
 二人の気持ちは読み取れたが、どう声をかけてあげたらいいのかまでは思い浮かばなかったのである。
 やがて同室のフェイトが戻って来て、事情を聴くと皆の予想どおりの反応を示した。
 
フェイト「メチャクチャ怪しくないか、その人」
クレス「しょーがないだろ。ヒサメの兄貴なんだから」
レク「それ、失礼だよ、クレス。話し合いなら、外出しよう。本人いるんだから」
 
 レクが皆の背中を押して部屋から追い出す。
 
フェイト「怪しいってそういう意味じゃない。本当に兄貴なのかってことさ。違うのにそう言ってるだけの奴を養成所内に入れたんじゃないだろうな?」

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