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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 60-5

リク「異国の人だし、ヒサメ先生のことわかっているくらいだから……」
フェイト「わかってるってどのくらいだよ」
リク「子供のころ……10年前に別れたとか」
フェイト「バッカ! それって他人でも言えるぞ」
リク「そ、そうだけど……」
フェイト「他の連中はともかく、まさかお前があっさり連れてくるとは思わなかった」
リク「雰囲気……かな。そういえば、疑い、あんまり持たなかった」
クレス「いや、すんごいアホちっくだったから、絶対、ヒサメ兄だって。心配ないよ」
 
 アホい。
 その一点で皆が信用してしまったのだ。
 
フェイト「……ありえねぇ」
 
 がっくり。
 

▽つづきはこちら

リク「でもこの中でまさか妙なマネはできないでしょ。仮にも薔薇の騎士団養成所なんだから」
フェイト「情報を持ち出すだけなら、どうかな」
リク「あの部屋から出さないし、必ず側にいるよ。明日になれば、本当かどうかわかるんだし」
フェイト「教官方にはちゃんと許可とったんだろうな?」
リク「……いや」
フェイト「オイ!」
リク「見逃してよ。今日だけ」
 
 リクにそこまで言われたら仕方がない。
 フェイトはあきらめたように頭を振った。
 
フェイト「……いいだろう。でも気を許すな」
リク「わかってる」
レク「……平気そうだけどなぁ。いい人そうだし」
 
 レクが呑気に言う。
 
フェイト「………」 じろり。
レク「わかってるよ、ニラまなくたって」
 
 首をすくめる。
 部屋に戻り、フェイトはヒサメの兄とやらの目の前に立った。
 
フェイト「今日は仕方ないけど、明日には出て行って下さい。俺は貴方が信用できない。そのくらいの道理はわかるでしょう。ここは本来関係者以外、立ち入り禁止なんだ」
偲「……………」
人形「………イジワル」
フェイト「……ナニ?」
人形「イジワルイジワルイジワル!」
フェイト「……………」 青筋、ぴきっ。
レク「フェイト、怒るなよ。……偲さんも彼を刺激しないで下さい。頭が固くて言葉が通じない上に、短気ですから」
人形「はーい♪ レク君、良い子。フェイト君、イジワル」
フェイト「……このっ」
レク「だからぁ~」
リク「あはは、面白い人だなぁ、先生のお兄さん」
クレス「人形師の次は腹話術師かよ」
偲「……人形師?」
 
 ようやくここに来て二言目の偲の台詞があった。
 
クレス「確か人形師なんだよね、ヒサメ」
リク「そうだよ。画家で人形師」
人形「そうか、やっぱり。あのな、シズもな、鎮が作ったのよ。これが第1作目というワケ」
レク「あの先生が子供の頃に作ったの!? コレを?」
フェイト「……へぇ。とても子供の作ったものとは思えないな……」
リク「触ってもいいですか?」
人形「きゃー、いやん、えっち!!」
リク「えっ!? えっちなの、俺?!」 がびっ!?
クレス「真に受けるなよ」
 
 規則を破り、わけのわからない人間を引き入れて、夜。
 フェイトは剣を握り締めたまま、警戒を怠らない。
 レクと今年から同室になったルームメイトはほとんど気に留めずに眠ってしまっている。
 ヒサメ先生の家族に興味津々なリクはまだ質問攻めをしていて、クレスは興味ないという態度を示しておきながら、やっぱり気になって会話に加わっている。
 
リク「先生……いえ、シズカさんはどんな子供でした?」
人形「おとなしくて、泣き虫でござったよ。……すぐおねしょするし」
リク「あははっ」
クレス「楽に想像つくな」
偲「………………」
リク「その……どうして別れることになっちゃったんでしょう? あ、いえ、立ち入った部分でしたら、結構ですけど」
人形「兄弟喧嘩してな、家出されてしまったのでござる」
リク「家出……」
人形「ま、偲のせいでござるな」
リク「いえ、あの、スミマセン。変なこと聞いて」
 
 自分のせいだという兄にリクが慌ててしまった。余計なことを聞いてしまっただろうかと。
 
人形「大したことはござらん」
レク「リクー。ダメだよ、そろそろ寝ないと明日も早いし、シノブさんだって疲れてるんだから」
リク「そ、そうだね。うん、ごめん」
 
 レクに注意を促されて、リクは寝る準備に入った。

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