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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 6-3

 試験前々日。

 

氷鎖女「あー……えっと、明日は休みだからー……まぁゆっくりすると良いでござるよ。普段の疲れをとってゆっくりするもよし、緊張を解くために遊びに行くもよし」

生徒「先生、何かポイントとか攻略とかナイんですか?」

 

 挙手して一人の学徒が質問した。

 

氷鎖女「ああ、そうだった」

 

 これまた頼りなく、ポンと手をうつ。

 

氷鎖女「んーと、諸君に教えた魔術は2種類である。それを上手く使って立ち回ると良いでござる」

ジェーン「上手く使ってって……それしかないからそうするしかないんじゃないですか。それをどううまく使ったらいいんです?」

氷鎖女「どう使うかはそれぞれ考えてくれないと。その魔法しか唱えられない状況に追い込まれたときにどうするか……そういうことに頭をめぐらせてみて欲しいでござるよ」

ジェーン「そんなぁ。無責任ですよぉ

氷鎖女「大丈夫。今まで真面目にやってさえいれば、勝つでござる。ただ、今回は単なる勝ち負けだけで成績がつくワケではないから、そこのところは勘違いしないで欲しい」

 

 勝ち負けだけではないと聞いて、いくらか安心したため息が漏れる。

 

学徒「全然ポイントになってないですよ!」

氷鎖女「ん~? じゃあ試しに拙者と(みな)とで1度だけ、実訓練をしようか?」


▽つづきはこちら

氷鎖女「ん~? じゃあ試しに拙者と(みな)とで1度だけ、実訓練をしようか?」

全員「!」

 

 ようやく教官らしい言葉が!

 やはり彼は知識だけ知っていて、論理的に教えられるが実は自分は魔法は使えないナンチャッテ先生ではなかったのだ。

 ……よかった。実はかなり怪しんでいた生徒たちだった。

 

氷鎖女「ではこれより養成所敷地内を出るでござるよ」

 

 クラスの生徒たちを引き連れて、敷地内を出る。

 しばらく歩いた草原で一行は進行を止めた。

 

学徒「先生、どうしてここまで来る必要があるんですか?」

氷鎖女「どこに魔法が飛ぶかわからないから周囲に建物や人間がいると困るでござる」

メイディア「?」

氷鎖女「結界に優れた白魔術師がおるのであれば問題はないのだが、我らは全員黒でござるからな。さ、始めようかい」

 

 学徒たち、顔を見合わせる。

 

氷鎖女「拙者はそちらに教えた内の1つしか使わない。同じモノだ。そちらは両方使っても構わない。はい、始め」

学徒「誰から…ですか?」

氷鎖女「いっせいに」

学徒たち「えぇッ!?」

氷鎖女「殺す気で」

 

 “殺す気で”その言葉が気に入ったのか、クレスがニヤリと口元を歪ませた。

 

クレス「じゃあ遠慮ナシだねっ! 行くよっ!!」

 

 くらえ! 心の中で叫びながら、この養成所に来て初めて魔法を解き放った。

 大きな魔力の弾がクレスの杖から放たれる。

 

「おおっ!?」

 

 誰とも知れない驚愕の声があがる。

 このレベルは自分たちと段違いだ。

 しかし氷鎖女に当たる手前でそれはいとも簡単に弾き返された。

 

クレス「バカなっ!? くそっ、今のは小手調べだっ! 次のはもっとスゴイんだからなっ、ぶち抜いてやるっ!!」

 

 だが、何度やっても同じことで学徒たちがいっせいに魔法を放ってもやはり結果は同じだった。

 それどころか放った魔法が弾かれて四方八方に飛ぶから皆はあわてて逃げ回らなければならなかった。

 

氷鎖女「はい、おしまい。熟練すればこれだけで勝てる」

リク「………へぇ、すごい」 手合わせに参加せずに見学していたリクの瞳がわずかに輝く。

 

 学徒たちは茫然と涼しい顔の教官を見つめていた。

 

氷鎖女「明日から始まる試験…」

 

 バサッ。

 長い袖を振って歩きだし、

 

氷鎖女「楽しみにしている」

 

 沈黙する生徒たちを残して養成所に戻って行った。

 

メイディア「……………むぅ…」

クレス「そんな………クソッ」

 

 悔しそうに地を蹴

 

クレス『今に見てろ……』 舌打ち。

 

 

 翌日の日曜日はおとなしく休んでいる者はおらず、無心に剣を振る者、魔法の練習に打ち込む者、自分にできる精一杯のことをギリギリまでやっていた。

 新規学徒の試験が終了すれば、入れ違いに今年よりも前に登録した先輩学徒たちが試験を受けるのだ。

レベルの低い順に。

 新規登録の学徒はまだ横並び一線であるが、来年3月の試験でそれが崩れる。

 試験の結果次第では上に行くか、そのまま4月募集に応じて来る新規学徒と共にもう一年同じことをするかが決まってしまう。

 現在の新規と思われるクラスの中にももちろん、チラホラと去年以前の連中が留年して混ざっているのである。それらはさすがに本当の新規学徒よりも知識も豊富で強い。

 同じように上級クラスに行けば行くほど、落ちてまる者も増えるのである。

 横一線なのは1年目だけ。2年目からは今まで先輩だった学徒と同レベルとして共に学ぶことになる。
 逆に合格しなければ新規の学徒ともう一度やり直し。

 メイディアはそこまで先のことを考えていたワケではなかったが、当面の目標が無礼千万の教官をギャフンと言わせることにあったので、周囲と同じく真面目に取り組んでいた。

 

メイディア『落とし穴もダメ。教室に入る時に落ちる黒板消し攻撃もダメ。靴に画鋲……と思ったけどよく考えたら同じ部屋じゃないとできない。背中に毛虫を入れようとしたら目の前から消える……こうなったら、試験であっと言わせてやろうと思いましたのに昨日のアレではまだ遠く及びませんわ……。どうしたら……

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