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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 54-7

 突如、爆発が起こった。
 生まれたてのダンラックは潰れてひしゃげて、ただの肉塊に。
 触手は千切れて弾け飛び、床や壁に叩きつけられる。
 
ダンラック「イッターイ!!」
 
 ベッドの上にいる本体のダンラックが股間を押さえて丸まった。
 
メイディア「あうっ!?」
 
 メイディアも床に尻餅をついたが、壊れたドアが目に入るとすぐに立ち直って駆け出した。
 
メイディア「助けてっ! 助けてっ! 助けてっ!!」
 
 長く薄暗い廊下をひた走る。
 ちらりと後ろを振り向けば、裸身の男たちが追いかけて来ていた。
 爆発はどうして起こったのかわからない。
 自分で魔法を唱えてはいないし、そんな余裕もなかった。
 

▽つづきはこちら

メイディア「先生だ…! ヒサメ先生だ……!! 先生が……」
 
 ちょうど、ドレスの裏に縫い付けていたヒトガタのあった部分が焼け焦げてなくなっている。
 
メイディア「うっ…うっ……先生、先生、助けに来て……迎えに来て、先生……!!」
 
 足がもつれて転ぶ。
 前から兵士たちが走ってくる。
 もうダメだ捕まってあの化け物の元へと引き戻されると思ったが、彼らはメイディアを追い越して別の方向に走り去って行ってしまう。
 
兵士たち「出たぞーっ!!」
    「花嫁泥棒だーっ!!」
メイディア「……泥棒…?」
 
 そういえば城の中がいやに騒がしい。
 自分を捕らえに来たにしては、伝わるのが早すぎる。
 今の今、起こった事件だというのに。
 よく聞き取れなかったが、どうやら泥棒が紛れ込んだらしい。
 今がチャンスだ。
 チャンスだが、何のチャンスだろう?
 はたと止まって考えた。
 家のための結婚。
 拒否できない運命。
 受け入れなければ、来た意味がなくなる。
 
メイディア「なくなるけど……」
 
 アレは化け物だった。
 人間ではなかった。
 
メイディア「公爵じゃない………公爵様はとうにお亡くなりになって、代わりにアイツが公爵のふりをして……」
声「見ぃつけたぁ~」
 
 背後から声が迫った。
 振り向けばそこには、あのおぞましい肉の縄が。
 
触手「追いかけっこはおいまいかなぁ?」
 
 先端には公爵の顔。
 
メイディア「イヤイヤイヤイヤイヤ!!!」
 
 脱げた片方の靴に構う事なく、半狂乱になって再び駆け出す。
 走りづらくてもう片方の靴も捨てた。
 
メイディア「泥棒……泥棒、ワタクシをさらって!! ワタクシを盗んで行って、お願い、泥棒さんっ!!」
 
 泣きながらひた走る。

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