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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 49-4

メイディア「ヒサメ先生っ!」

 

 ゆっさゆっさ。容赦なく揺さぶる。

 

氷鎖女「はい」

メイディア「今すぐ、ワタクシをさらってローゼリッタからお逃げ下さい!」

氷鎖女「……は……エ…?」

 

 適当にはいと答えかけて、はたと止まる。

 

メイディア「遠い東海の果ての異国へ連れて行って!」

 

 唐突に何を言い出すかと思えば。

 寝ぼけているのと違うだろうか。

 

氷鎖女「…………………頭の病なら、ミハイル殿に診ていただけ」

 

 たぶん診る前からサジを投げられると思うけれど。


▽つづきはこちら

 

メイディア「何故ですの!?」

氷鎖女「何故はお前だ」

メイディア「地位も名声もないどこの馬の骨だかわからない先生をダーリンにしてさしあげるというのです。光栄でしょう!」

氷鎖女「……また久々にダーリンゴッコか。夜中に何用かと思えば、まだあきらめておらんかったのか。入所当時とちっとも変わらぬな。ある意味、感心でござる」

 

 深々ため息。

 

メイディア「何をおっしゃいますの!? 以前のワタクシとは違います! だいぶレベルを下げてコレでもいいとしおらしく言っておりますのよ。貴方はただ首を縦に振るだけでよろしいの!」

氷鎖女「コレって拙者か。オコジョと鎮の夢を壊しておいて偉そうに。拙者の意志はどの辺に含まれておるのかぜひ伺いたいものでござるな」

 

 呆れ口調。

 

メイディア「大丈夫!」

氷鎖女「だから何が」

メイディア「貴方はワタクシと結婚するの。これは命令よ」

 

 ゆっさゆっさ。

 

氷鎖女「……ハァ、そんな軽率なことばかり言って歩いて……もし本気にしたらどうするつもりか」

メイディア「望むところです!」

氷鎖女「馬鹿者。何が望むところか。そんな夢話は好いた男のところに行ってせよ。……フェイトのところにでもな。拙者はオコジョと戯れる夢で忙しいのでござる。寝かせてくれ」

メイディア「……え?」

 

 聞き捨てならない単語を耳が拾った。

 

氷鎖女「うん?」

メイディア「今、フェイトとおっしゃいましたね」

氷鎖女「言ったっけ?」

メイディア「何故、それを……何故、そう思うのです?」

氷鎖女『ぎく!』

 

 レクがメイディアの気持ちを代弁して叫んでしまった場所にナツメ……いや、チェリーとして氷鎖女がいたことはナイショである。

 

氷鎖女「それは……いや、あの、えっと………み、見ればわかるでござるっ!!」

メイディア「周りから見てすぐにわかってしまうくらいに態度に出ているということですか?」

 

 決まり悪そうに肩をすくめる。

 

氷鎖女「いやその……そんなことは……ええと…そう、拙者は、そういうことにび、敏感なのでござる!」

  『うわぁ、ウソばっかりィー!!』

 

 生徒や教官の間で誰と誰が仲がよいなど知らない上に興味もない。

 

メイディア「まぁ! 知りませんでしたわ。ヒサメ先生ったら、何の関心もないのかと思っておりましたから」

氷鎖女『正ッ! 解ッ!』 ぎっくーっ。

 

 人を観察するのは好きだが、敏感であることとは別である。

 しかも友愛関係に的を絞るならば確かに関心がない。

 誰と誰が仲が良いだなんていう人間関係については全くと言っていいほど把握していないのだ。

 だからいつも職場で失敗をする。

 

メイディア「でも……」

氷鎖女「ん?」

メイディア「彼はダメなの……。ワタクシのこと、嫌っているし……それにあの人の心は……クロエのだから……」

 

 頭を振る。

 こんなぶっとび弾丸娘でもしおらしいところはあるようで、好きな相手に見向きされずに切ない想いを抱いているようだ。

 …が。

 

氷鎖女「…………」

   『まぁ、好かれないわなぁ』

 

 こんな酷い事を思われていた。

 

メイディア「ねぇ先生、ワタクシをもう一度助けて下さいまし! このとーりです」

 

 ゆっさゆっさ。

 

氷鎖女「揺さぶっておってこのとーりと言われても説得力がないでござるぞ、大将軍」

メイディア「ワタクシの魔法を治したように、チョチョイのチョイとこう……」

氷鎖女「全然、チョチョイのチョイではなかったろーが」

 

 それも本人の努力あってこそだ。

 

メイディア「先生、先生、先生ぃ~っ!!」

 

 ゆっさゆっさゆっさ。

 

氷鎖女「うっ、おえっ。……まぁ待て。落ち着いてよう考えるでござるよ、ゴールデン。まず何ゆえ、そちらと何の関わりもない拙者が今の生活を捨て、わざわざ謎の逃避行をせねばならないのか」

メイディア「考えるまでもありません。ワタクシのためですわ!」

氷鎖女「………………」

 

 ありえない答えを即答されて、思わず閉口。

 いつだったか、ちょうど同じようにヴァルトが困惑しながらメイディアをここに連れて来たことがあったと思い出す。

 そのときはよもや自分がその対象になるとは夢にも思っていなかった。

 今さらになってヴァルトやミハイルの困り果てた気持ちがわかるというもの。

 本当にとんでもない娘である。

 

氷鎖女「だ・か・ら。どぉ~してそのワタクシのために拙者がそんな大それたことをせねばなるまいか。そこのところ、重要」

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