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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 49-2

夫人「……あの子は、恋を一度でも経験できたのでしょうか」

ばあや「ええ、きっと」

夫人「人を想う幸せとそのために起こる胸の痛みも一度くらいは知っていて欲しい」

 

 夫人は遠い在りし日のことを思い出しているようだった。

 自分が娘と同じくらいの頃に。

 嫁ぐ前の日に。

 自分よりも身分の低い少年と恋に落ちてかけおちをしたこと。

 ただの1日で見つかって引き離されてしまったけれど、あの愛は永遠だったと今も信じている。

 世界中のいかな宝石よりもなお輝きを放つ、清らかな恋。

 何があったと言えば、一度きり、唇に軽く触れただけだった。

 けれど、だからこそ色あせない。

 そうして彼女は親の決めた縁談に従ってシャトー家の花嫁となり、それまで会ったこともなかった男性との間に娘を一人もうけた。

 残された恋の相手はかけおちのあと、ほどなくして若い命を神に捧げた。

 元から病弱な身体だったのである。


▽つづきはこちら

 

夫人「私は愚かでした。名誉欲に取り憑かれて、花盛りの娘を先のない老人に売り渡してしまうなんて」

 

 若かりし日の自分と重ね、夫人は十数年振に心からの涙を流した。

 

夫人「考えてみれば、公爵にはすでに中年に差しかかるご子息がいく人もいて、そのご子息たちにもお子たちが。メイが子を生んだところで、世継ぎ争いに加われるはずもない……。結局、私たちはあの子を人身御供に捧げたようなものですね……」

ばあや「奥様、そう嘆かれなさいますな。公爵様はきっとよいお方です。孫ほどに年の離れたお嬢様を粗末にするはずがございません。きっとお寂しくて、側に花が欲しいだけなのでございますよ」

夫人「……そうだとよいのですけど……」

ばあや「お嬢様は愛くるしいお方。その微笑みできっと公爵様のお心も溶かしておしまいになるでしょう」

夫人「愛くるしい………それはどうかしら……。むしろお怒りを買わないか心配で仕方がありません」

 

 とかく変わった気性の娘だけに、その辺りも不安でたまらない。

 けれど、

 

夫人「追い返されるなら、それも良いかもしれません。シャトー家に傷はつくかもしれないし、帰された花嫁では次の行き先が決まるかどうかが問題になりますが………そのときは、結婚なぞしなくてもよい。ここで穏やかに一生を終えても構わないわ。……あの子が望むなら、平民の家に嫁がせてもいい」

ばあや「奥様……」

夫人「勤めを果たしたのであれば、もうこれ以上は……」

ばあや「そのお言葉、聞けばさぞかしお嬢様もお喜びになりましょう」

 

 誰よりもメイディアの側で成長を見守ってきた、老婆が濁った瞳に涙を浮かべた。

 一時的な感傷から出た言葉にしろ、夫人はこのとき確かに、一人の母親だったのである。

 

 

 女子寮のある一室で、女の悲鳴が上がった。

 月一の郵便物が届けられた朝のことである。

 

メイディア「なななななっ、なんですの、コレわ!?」

 

 実家から送られてきた平たい包みを開けてみると、立派な額縁の中に絵画!

 しかも美しい薔薇に包まれた、醜い男性の裸体である。

 それはもう、巨大な股間もバッチリだ。

 

メイディア「ひぃぃ!? だっ、誰か! この絵を処分なさいっ!!」

 

 激しく銀の鈴を鳴らし散らす。

 同室のルームメイトたちは迷惑そうに知らん顔。

 もちろんアンもだ。

 あんまりうるさく鳴らしていると、何事かと騒ぎを聞き付けてレイオットとクロエがやってきた。

 

メイディア「ああ、レイオット! この卑猥な魔物の絵を何とかして下さいませ! 呪われてしまいます!!」

レイオット「ナニコレ?」

 

 レイオットが引っ繰り返された絵を手にして、黙る。

 クロエも横から覗き込んで、黙る。

 

レイオット「………私はいつもアナタの側に。愛しい花嫁に、愛を込めて。アナタの愛の奴隷ダンラック=フォン=ワイズマン」

 

 再び引っ繰り返した額の裏に書かれたメッセージを読み上げる。

 

メイディア「ぃいやあぁぁあぁあああ!!!」

 

 どうやら、実家に送った軍服と対を成して、婚約者当人の方に贈られたのは裸体画だったようだ。

 

クロエ「うん、嫌よねぇ、コレは……」

 

 少し興味を引かれたアンがちらりと視線を滑らせる。

 

アン「…………」

レイオット「……こんな趣味の悪い変態なイタズラをするのは誰!? 捨ててしまいなさい、メイディ!」

クロエ「どっかの変態オヤジがメイディを遠くから見初めて送って来たに違いないわ。今頃、メイディが驚いているのを想像してウヒウヒしているのよ!! メイディアちゃん、かわゆいわねーえ…んとか何とか言っちゃって!」

レイオット「なんですって! そんなエロエロオヤジはこの薔薇騎士レンジャー・レッド……になりたい私が容赦しないわ! 乙女の敵をブッた斬ってやるッ!!!」

 

 剣を持つ形を真似た手つきで暴れる。

 

クロエ「……乙女の発言じゃないけどね」

 

 メイディアの婚約者とは知らず、レイオットとクロエは言いたい放題だ。

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●Thanks Comments

いやぁ;

うっわ、キモイ、キモすぎる><;
ばあや、勘違いしないで~!その人いろんな意味で危険だよ!
てか肉の家宝なんて嫌すぎる(笑)

From 【雲】2008.07.11 10:41編集

肉にも色々あるのさ。

実家には服着た肉なのに、メイのところにはヌード肉です。
たまらんヌード。

From 【ゼロ】2008.07.11 19:32編集

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