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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 40-2

ニケ「やっぱりこれは自然に近づくしかないって」

氷鎖女「え」 ギク。

  「ウソウソ、やっぱり、もう少しやってみるでござるよっ!!!!」

ニケ「クロエはヒサっち相手だと獲物を狩る狩人になっちゃうから、やっぱり自然体はナツメちゃんに任せよう」

氷鎖女「いやいやいやいや!! 大丈夫!! お任せあれ!!! 拙者、二つにひとつ!! のぉまる・すとぉかぁに決めましたゆえ!!!!」

 

 あわててモンスター・クロエ画を引っ込める氷鎖女だった。


▽つづきはこちら

 あわててモンスター・クロエ画を引っ込める氷鎖女だった。

 

 

 ガイィン!!

 真剣が跳ね飛ばされて、空に弧を描く。

 

ヴァルト「1本!! 勝者フェイト=ウィスタリア!! それまで!!!!」

フェイト「……よっし

 

 珍しく、本当に珍しくフェイトが拳を固めて密かなガッツポーズをとった。

 それはあまりに小さくて、見学していた生徒達は誰も気づいていないくらいだった。

 剣を弾かれた相手のレクは「ありがとうございました」と折り目正しく礼をするとすぐさま離れて地面に突き刺さった剣を取りに走った。

 

レク「っかしーなぁ? 前回は手ごたえあって、イケると思ったのにィ」

フェイト「俺から1本くらい取れたからって、舞い上がるなよ。そう簡単には抜かせやしないんだ」

 

 今日のフェイトはちょっぴり口数が多めだ。

 調子を取り戻して、これが本来だと言わんばかり。

 

フェイト「悪いけど。もうお前に油断はしないし、二度と後れを取るつもりもない」

レク「俺だってフェイトの背中ばかり見てるつもりはないから」

 

 二人、別れて次の練習試合観戦の位置に立つ。

 これからレイオット対ダレスが始まるところであった。

 

友人「勝ち抜き戦だから、最終的にはだいたい同じメンバーになってくるよな。対戦」

 

 隣に座っていた友人が試合から目を離さずに言う。

 これを受けてレクもうなづいた。

レク「それでも入れ替わってくるのがおもしろいけどね」

友人「入れ替わった本人だもんな、お前。入ったばっかの頃は真ん中くらいだっけ? ……全然目立つ方じゃなかったのに」

レク「ハハッ。今でも目立つ方ってワケじゃないよ。フェイトとレイオットに負けるために出てくるレクってカンジじゃないか」 トホホ。

友人「けどこないだ勝ったじゃん!!」

レク「いやぁ、まーだまぐれだったみたい」 肩をすくめる。

  「イケると思ってたのに、やってみたらかなう気しなかったよ、今回は」 小さく肩を落とす

友人「何か気合入ってたもんなー、アイツ」

レク「でもいつかまぐれじゃなくてちゃんと勝てるようになってやる」

友人「へへっ、ハリキッてんなぁ? あんまフェイト様に楯突くと女子が怖いぞ? ウチのクラスの女子が信じられない、私のフェイト君が負けたー!!って騒いでたからな。お前、女の子敵に回したぞ?」

レク「えぇ~、そんなァ」

 

 話をしている短い間に、勝者・レイオットの名がナーダ教官の口から挙げられ、女子が一斉に湧いた。

 

女子「レイ様、ステキー!!!!」

  「ダレスなんてムサ筋肉男、目じゃないのよ!!」

  「レイ様ー!!!!」

ダレス「チクショ~、女共~!! 何がレイ様だ。そんなにいいなら女同士で結婚しやがれってんだ」

 

 毒づきながら、引っ込めコールに追い出されて試合場を後にするダレス。

 

ナーダ「うるさいわよ、アンタたち!!」

 

 教官の一喝で静まったが、最終試合、フェイト対レイオットが始まるとすぐにまた女の子たちは騒ぎ始めてしまう。

学舎の教室からもチラホラ他の学科の生徒達が顔を出している。

 3回生ともなると落ち着いているのかそれどころではないのか、誰も覗こうとはしてこない。

実力下の2回生などに興味がないのかもしれない。

 しかし今年入所した1回生は、先輩に憧れることも多く、特にレイオットとフェイトのカードは注目の的になっていた。

 

ナーダ「まったく……何しにここに来てるんだか」

ヴァルト「まぁ、薔薇の騎士に憧れを持ってやってくる連中だ。こういう試合を見るのが好きなんだろう」

 

 腕を組んだ格好で試合運びを見つめる教官二人。

 

ナーダ「わかってないわね。見てくれと強さに興味いってるだけよ。試合内容は何でもいいワケ」

ヴァルト「そんなモンか」

ナーダ「そんなモンよ。……剣技バカには理解できないでしょうけどね」

ヴァルト『……剣技バカ…………俺のことか、ひょっとして』

ナーダ「それはそうとヴァルト。例の件はどうなったの?」

ヴァルト「ああ、例の件か。あれはなヤツに一任することになった

ナーダ「ゲッ!!? マジで!!?」

ヴァルト「……………………マジで」

 

 

 ジャック=フランツ=グレイング=ジョセフ=アラン=スティーヴン=コンスタンティヌス=ウイングソード邸。

 

 貴族とは名ばかりの、こじんまりとした古い屋敷の一室。

 

ジャック「明後日からしばらくは戻らぬこととなりました、母上。すぐに解決するかも知れませんし、何年もかかるかもしれません。どうぞ母上におかれましては……」

 

 得たいの知れない宗教団体に潜入捜査の命を受けたジャックが母親に最後になるかもしれない挨拶を交わしているところであった。

 

母「真相なんてどうでもいいでしょう、ジャック。お父様は国家機密を漏洩させて処罰されたのです。どうにかお家取り潰しまでは免れたけれど……これ以上、事を荒立てないでおくれ」

ジャック「真相がどうでも良いとは、母上の言葉とも思えません。疑いが晴れれば父も喜びましょうし、このウイングソード家の再興もかないます」

 

 処刑された父は宗教団体とつながっていた可能性を指摘されていたのだ。

 

母「もう私はそんなことはどうでもいい。それよりも一人息子のお前にもしもがあったら、家はどうするつもりですか」

 

 浪費のツケが回って息子に内緒で借金を密に抱え込んでいた母親は、唯一の稼ぎ手である息子のジャックがいなくなるのをひどく恐れていたのである。

 

ジャック「恩師ヴァルト様より、国の命運にかかわる重要なお役目をこのジャックにと推薦していただけたのです。そのご厚意に報いるためにも私は必ず成功を収めねばなりません」

母「どうしてお前は無茶ばかりをする」

ジャック「無茶などではございませんよ、母上。母上が無理だとおっしゃった薔薇の騎士にもなりました」

母「母の心配する気持ちが通じないのですか、お前には」

ジャック「ありがとうございます。母上のお気持ち、しかと胸に」

 

胸に片手をあててから、軽い用事であるかのように彼は言う。

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