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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 39-9

 捜し歩いてたった今、窓のすぐ下に見慣れた銀色の髪を見つけたけれど、どうやって渡したらいいのだろう?

 アンのノートの時みたいに、疑われるのではないか。

泥棒扱いされるのではないか。

軽蔑されるのではないか。

 メイディアはそれを恐れていた。

 手の中で夏の夕日に照らされた指輪は、人目で高価な物とわかったし、それにとても古い。

 きっと大事なものに違いない。

あわてて探しているのだろう。

 

メイディア「うーん」

 

 銀髪の少年、一緒にいる黒髪と金髪も知っている連中だ。

 3人共同じ方向を覗いているようなので、メイディアもつられて身を乗り出す。

 

メイディア『……………………』

 

 どうやら、クロエは男子に告白されている最中らしい。

 それを男子3人で覗き見とは。

 

メイディア「んま!!」

 

 しかもここは因縁の、メイディアが初めて告白なるモノをして、初めて手痛くフラレた場所ではないか。


▽つづきはこちら

カイル「付き合ってクダサイ!! お願いしますっ!!!」

クロエ「付き合うって…………」

ステラ「どこへ?っていうのはやめてね。寒いから」 ザックリ。

クロエ「……………。わ、わかってるわよぅ」

 

 照れくさくなって赤くなる。

 

クロエ「で、でもこんなの言われての初めてでどうしたらいいのかわかんないよぅ」

 

 心細げにこっそりと友人に助け舟を求める。

 

ステラ「クロエの好きにすればいいじゃない。早く答えてあげないと可哀想よ?」

クロエ「だ、だって……」

 

 困り果てて無意味に周囲に視線を走らせる。

上から、

 

メイディア『どうするつもりなのかしら、クロエ…………って、いけませんわ。覗きなんて。早くこの指輪をどうするか考えなくちゃ』

 

角では、

 

フェイト「……オイオイ……クロエ、受けるつもりなのか、あんなの?」

リク「あんなのじゃなければいいの?」

フェイト「いや、そういう意味じゃないけど」

クレス「受けるワケないじゃん。バカだなー」

フェイト「…………そうだな……。……よし」

 

 言うが早いか、フェイトは隠れるのをやめて堂々と出て行ってしまう。

 

メイディア「!?」。

リク「あ~あ。知ーらない」

クレス「ギャア!! アイツッ!! 空気読めよ!!!」

 

 フェイトの登場に助けられてクロエの表情がやわらぐ。

 

クロエ「フェイト!!」

フェイト「ああ、取り込み中のところ、悪いんだけど」

カイル「なんだよ、お前!! ホントに取り込み中なんだよ!!」

 

吠えるカイルを無視して、

 

フェイト「指輪、落としたんだ。見なかったか?」

クロエ「指輪? ……ごめん、見てないわ」

ステラ「うん」

フェイト「そうか。じゃ、邪魔したな」

クロエ「あ、待ってよ。なくしたのっていつ気づいた?」

フェイト「昼休みまでは確かにあった」

クロエ「じゃあそんなに時間経ってないわよね」

 

 食事の後、レクに負けて悔しい彼は昼休みを使って剣を振っていた。授業開始時間が近づいて、水場で手と顔を洗って……その後、午後の授業が全て終わるまで指輪のことは頭になかった。

 剣を習った師から受け継いだ大事な指輪だったのに。

 いつもつけっ放しでほとんど外すこともなく、ましてや落としたり置き忘れするなんてこと、これまで一度たりとなかったから油断していたのかもしれない

 

フェイト『チクショウ、集中してない証拠だ。何やってんだ、何やってんだ、俺は』

 

 苛立ちをまだ抑えきれていない自分にさらに歯がゆさが追加されてゆく。

 

クロエ「よし!! 私も探してあげる☆」

フェイト「いや、いい。自分で探す」

クロエ「乗りかかった泥舟よっ」

フェイト「泥舟かよ」

カイル「あの~……」

 

 すっかり忘れ去られている可哀相なカイル。

 

ステラ「ちょっと、クロエ」 ひじでつつく。

クロエ「あ、そうだった。あの、えっと……ご、ごめんね? 私、好きな人いるから」

 

 フェイトがその場の空気をかき混ぜてくれたおかげで、緊張の呪縛を解かれたクロエはやっと伝えることができて気持ちが楽になった。

もとより彼の気持ちを受ける気なんてなかったのだけれど、あまりに突然のことでどう反応したらいいのかわからずに固まってしまっていたのである。

 しかしこの、今のタイミングで好きな人がいると言うのは……

 

フェイト「……?」

ステラ「好きな人ってクロエ……」

カイル「……そ……」

   『ソイツなのぉーッ、やっぱりぃぃ!!??』

 

 頭をハンマーで殴られたような衝撃が走る。

 失恋の早いこと、早いこと。

 

リク・クレス「…………………」 顔を見合わせる。

メイディア「……………そうなの……

 

 いつしか血が止まって指が白くなるくらい指輪を握り締めていメイディアが口の中で小さくつぶやいた

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