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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 39-4

クレス「お前が悪いんだろ、根に持たれたのは」

カイル「どっちの味方だよ」

クレス「少なくともお前の味方じゃあないね」

カイル「……うっ」

 

 取っておいてもらった席に着く三人。

 

ジェーン「見てたわよ、なぁにアレは」

 

 待ち構えていたように話しかける。

 

モーリー「あのお嬢様だもん。今更驚かないよぉ~」

ジェーン「そりゃそうか」

アン「あ……リク君」

リク「席とっておいてくれてありがとう♪」

アン「そんな……」

 

 リクが隣に座った、ただそれだけのことでアンの心臓はきゅんと跳ね上がった。


▽つづきはこちら

何とか会話をつなげたいと言葉を必死に探しているうちに、自然とシラーとリクの会話が始まってしまい、やっぱりおとなしいアンは聞き役になってしまうのだった。

 

シラー「メイディア様、お元気そうで何よりじゃない」

リク「ふふ、そうだね。転んでもタダじゃ起きないから。彼女は」

シラー「何だか楽しそうじゃない? リク君」

リク「そう? いつもと変わらないと思うんだけどな」

 

 意外だと目を丸める。

 

アン「……ハァ」 こっそりとため息。

シラー「リク君は  

 

 1つの長テーブルで話題は2つに分かれていたが、そのうちにカイルがメイディアに告白した話をしだすと、リクはシラーとの会話を打ち切ってもう一つの会話に加わってしまった。

 

カイル「あんなのと付き合おうとか思ってた当時の俺、どうかしてたぜ」

リク「カイルはメイディ好きだったの?」

シラー「……………………」 会話をスカされて黙る。

カイル「わぁ、ビックリした。何だよ、急に」

リク「いや、ちょっと驚いて。メイディに告白って…………好きだった?」

カイル「まさか。ちょっくら貴族のお嬢様にお近づきになろうと思っただけさ」

リク「なんだ…………それで見事、玉砕か」

カイル「あの女、ムカつくんだよ」

 

 ちょうど、去年の今頃だったように思う。

 花束を女の子に喜ばれそうな言葉で包んで手渡して、返ってきた言葉は、「身の程知らずのおバカさん。出直してらっしゃいな」。

 無残にも花束は彼女の手に渡った瞬間に目の前でゴミ箱に突っ込まれ、カイルは人前で大変な恥をかくこととなった。

 

リク「ははっ」

カイル「笑い事じゃねーだろっ!? フツー、嫌いな奴からもらったってそーゆーコトしないよ!!」

クレス「だからメイディアをぶっ飛ばしたのか?」

カイル「うるせーなァ」

クレス「“うるせぇ”?」 ジロリ。

カイル「………………。スミマセン、ゴメンナサイ」

 

 まだクレスが怖い、可哀想なカイルはすぐに謝って縮こまる

 

リク「あはは。メイディらしいけど、君も裏を見抜かれたんじゃないのかなぁ」

カイル「そうかもしれないけどさぁ、それにしたって……」

モーリー「でも」

 

 それまでうなづきながら聞いていたモーリーが口を挟む。

 

全員「うん?」

モーリー「あたし、たぶんそれ、現場にいたんだけどぉー、メイディ、その後、花束拾いに行ってたわよ~」

カイル「……へ?」

モーリー「そんでぇ~、あたしたちの部屋に飾ってたもん。ねぇ、ジェーン?」

ジェーン「ああ、あの花ね。捨てても後で持って返ってくること、何度かったわよね」

 

 思い当たって同意する。

 

モーリー「貴族娘なのに貧乏っぽいコトすんのねーって思ったから覚えてるのー」

 

 それを聞いてカイル、気を持ち直したように鼻の下をこする。

 

カイル「ホントはちょっと嬉しかったってコトか? へへ……」

リク「いやー、たぶん、お花には罪がないとかやっぱり可哀想とか思ったんじゃないかなぁ。カイルのことなんてこれっぽっちも考えてなかったと思うよ。これっぽっちも」

 

 せっかく持ち直した気持ちをコキッと満面の笑顔で折る、皆のりっ君。

ご丁寧に親指と人差し指を使って「これっぽっち」をミクロに示す。

 

全員「…………………………」

リク「あれ? どうしたの、黙っちゃって」

カイル「リクってさ……時々笑顔で辛辣だよな……」

クレス「割りと毒舌なんだよ、笑顔に騙されるな」

 

 クレスの意見には皆、納得だった。

 優しくて誰にでも別け隔てのない人気者のリク。

しかし自覚があるのかないのかたまにこんな具合に毒舌ぶりを発揮するのだった。

 過去にも鬼をも恐れぬ所業、メイディアお嬢様に対し、性格ブスと言い切った伝説の男だ。

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