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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 38-6

氷鎖女「すると何か、拙者はやはり遠目に見守りつつ、型を取らねばならないと?」

ニケ「まぁ、そういうことになるんだけど、そうするとアレだよね……」

氷鎖女「“アレ”?」

ニケ「今流行の(!?)ストーカーみたいだよね、ヒサっち☆」 にっこ。

氷鎖女「…………………………」 がっびーんっ!!?

   「……んな……!!? し、しかし……これは依頼された仕事でござるぞ!!? そんなコト言っておったら、人形など作れし、人物画も描けぬでござる」

ニケ「わかってるってば。ただ、事情を知らない人から見たらって話。クスクス♪」

氷鎖女「……………………………」

 青ざめて、口をパクパク。

 もはや、言葉も出て来ない。


▽つづきはこちら

 

 

 ……保健室。

 

氷鎖女「信じられぬ!! ジジー、ジジー!! クソじじぃっ!!! 豆腐の角に頭ぶつけて入院してしまえっ」

 

 ベッドの膨らみを冷ややかに見つめながら、

 

ミハイル「……………おい……」

氷鎖女「心の病でござる!!!」

ミハイル「……またかよ。ったく」

氷鎖女「ミッチーマウス殿!! 例えばこっそり様子を伺うストーカーと女友達のフリして輪の中に入って様子をうかがうストーカーとどっちがマシ!!?」

 

 布団、もそもそ。

 

ミハイル「誰だよ、ミッチーマウス……。っていうか、ソレ、マシといっても……どっちもストーカーだろ?」

氷鎖女「堂々と本人に依頼するのは、いかぬと依頼主が無茶をおっしゃる!!」

ミハイル「本人に知られないように作品を作る……? プレゼントかそれともその依頼主が変態なのか?」

氷鎖女「それは言えぬ」

ミハイル「……じゃあ変態なんだ?」

氷鎖女「うわぁ、やはり事情を知らぬ者からはそう見えるのだな!!?」

 

 掛け布団が先ほどよりもちょっぴり激しく動く。モゾモゾと。

 

ミハイル「女友達のフリするのが一番適当なんじゃないか? そんなに過敏にならなくたって、同性同士ならストーカーとは誰も思わないだろ。だいたい、実際、ストーカーじゃないんだし、例え友達装わなくても、女性教官が見てたって誰も何も思わないから。気にし過ぎ。誰かになんか言われたんだろ。気にしぃだからな、お前は」

氷鎖女「……ナニ?」

 

 掛け布団をチョイと持ち上げる。

 

ミハイル「何だ、聞こえなかったのか。……だから、女友達のフリをするのが一番」

氷鎖女「いや……女性教官?」

ミハイル「ん?」

氷鎖女「……女性教官に化けると? 数が少な過ぎて学徒よりバレやすいわ」

ミハイル「化けなくてもお前……」

氷鎖女「……あの……」

 

 顔だけを出す。

 

ミハイル「うん?」

氷鎖女「つかぬ事をお伺い申すが……。まさかとは思うが、ミハイル殿まで何か重大な勘違いを2年も続けられておったのではあるまいな?」

ミハイル「ハ?」

氷鎖女「……拙者……こないだは女装しておっただけでござるが……」

ミハイル「……え?」

氷鎖女「見ればわかると思うのだけども……

ミハイル「……………知ってた。……ああ、当然だろ。だまされてなんかいないぞ、俺は。だまされるワケがないだろ、わかってたって!! は……はっは!!」

氷鎖女「……だよなぁ? ああ、良かった。妙な物言いをなさるものだから……」

ミハイル「ははははは」

    『なんだ、俺はちゃんと初めからわかってたんだぞ。でもヴァルト殿とナーダ殿がなんか言ってたから、そうなのかって驚いたワケであって、初めはちゃんとそうだとわかってたんだ。初めは』

氷鎖女「……??」

   『通常ストーカーか女装ストーカーか…………二つに一つ……恐ろしい選択になった……』

 

 氷鎖女 鎮は本気で悩んだ。

ノーマルストーカーの道をとるべきかさらにその上のいばらの道をゆくべきか。

 ノーマルストーカー?の場合、手軽ではあるが、他の生徒に気づかれた場合にヒサメ先生がクロエにホの字という激しく不名誉な噂を立てられる可能性大。(クロエに失礼)

 女装ストーカーの場合、バレにくく、確かに自然な形で近づくことはできるが、バレた時に変態大王という輝かしくもありがたくない地位を賜ることになり、しかも女生徒全てを敵に回す覚悟で臨まなければならない。

 どちらにしても不名誉なことこの上ない。

 他に選択の道はないものか。氷鎖女はベッドの中で絶望に打ちひしがれていた。

 

 

 ところで教官を追い回して騒ぎを起こしたクロエ当人とリク。

 

クロエ「まったく、リクのせいよ。あんな変なことするから」

リク「変じゃないよ、円の動きだよ」

クロエ「キモチワルイからヤメテ」

リク「クロエが虫取り網を振り回して、色んな人にぶつけながら突進してきたのがマズかったんだと思うよ。だいたい、そんな小さい虫かごに入るワケないし。常識ないなぁ、クロエは」

クロエ「何よ。アメーバだもん、入るに決まってるじゃなーい。そんなのもわからないなんてまだまだね!!」

 

 ……などと地下の独房に二人詰め込まれて、まだ言い合いをしていたりした……。

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