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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 39-8

 その日の夕方。

もう早速、告白する気満々なカイル少年。

無謀という名の勇者である。

 宿舎に帰るところを狙って、夕日をバックに告白するつもりらしい。

こそっと校舎の影に隠れて、友達同士おしゃべりしながら歩いてくるクロエを待ち伏せ。

 

カイル「よ、よ、よし、来た!! まずは誘ってくるぜ!!」

リク「勇敢だ」

クレス「勇者だ」

 

 あまりの無謀ぶりにリクとクレスが震え上がる。

 

リク「やっぱりここは一度退こう!! 撤退だ、カイル!!」

クレス「死ぬな!! 戦死するにはまだ早い!!」

カイル「放せよ、なんで戦死って決め付けるんだよ!!?」

 

 ドタバタとその場で暴れる。


▽つづきはこちら

リク「だって聞けば、手当てしてもらって以来、お礼を言いに行っただけでその後しゃべったことないって言うじゃないか!! ムリだ、俺ならそんなの怖くてできないよ!!(だってきっと相手覚えてないし!!!)」

クレス「引き時をわきまえるのも騎士だぞっ!!(無理無茶無謀!!!)」

 

 似合わない台詞で退き止めようとする友達甲斐のある二人。

 しかし、男は戦場へと旅立ってしまった。

 

リク・クレス「ヒィ!!? 勇者出陣!!!!」 ガタブル。

 

 クロエの前に飛び出したカイル。

 

カイル「クロエさんっ!!」

クロエ「うん? 誰だっけ?」

 

 お約束の反応。

 けれど幸いなことに連れのステラが今は同じクラスだ。

 

ステラ「ああ、カイル。ホラ、クレス君にコンテパンにされて保健室でミイラになってたところをクロエがちゃっちぃ白魔法でほんのり回復してあげた元レヴィアスクラスの  

カイル「く、詳しい説明ありがとう…………」 シクシク。

クロエ「あー、思い出したぁー!!」

 

 指を指して、ステラに叩き落とされる。

 

クロエ「イタッ」

ステラ「人を指差さない」

クロエ「ご、ごめん。それでそのカイルがえっと…………何か用なのかな? 落し物とか?」

カイル「クッ、クロエさんっ、こないだはど、どぅも……。それでえっとあの……」

 

 角から顔を出すリクとクレス。

 

クレス「アイツ、ホントに言う気だ」 ドキドキ、ハラハラ。

リク「メイディに勝るとも劣らない素早さだね。しかもここは伝説の…………」

クレス「で、伝説の?!!」

リク「去年の春、メイディがフェイトにフラレた場所だー!!!!」 ぐっと握り拳。

クレス「…………あっそ……」 シラケ顔。

?「お前ら、何やってんだ?」

 

 ふいに声をかけられて、二人が思わず飛び上がりそうになる。

 

リク「やあ。なんだ、フェイトじゃないか」

クレス「お。メイディアをフッたフェイ…………うがっ!!?」

リク「……………………」 にこっ。

 

 無言でクレスの足を踏みにじる。

 クレス、悶絶してうずくまる。

 

リク「フェイト、しー。しーだよ」

 

 静かにとジェスチャー。

 

フェイト「? おい、俺は遊びに付き合ってるヒマはないんだ。ちょっと探し…………」

リク「しーってば。たぶん恐らく99.9999%はムリだろうけど、ひょっとしたらの大逆転があるかもしれないし、そうでなくとも俺たちが邪魔だったから失敗したんだって後で言われても困るんだ」

フェイト「ハ?」

 

 何のことやらよくわからなかったが、とりあえずは真剣そのもののリクにならって、そっと顔だけ出してみる。

 

フェイト「なんだ、アイツ……?」

カイル「俺ッ…………い、いや、ぼ、ぼ、僕はっ!! き、君が…………」

クロエ「うん。私が?」

 

 小首をかしげる。

 ここまでくれば次に言われる言葉は決まっていようが、クロエは果てしなく鈍い。

 隣のステラが気を利かせて先に行ってるねなどと言おうものなら、私もとついてこようとする。

 

ステラ「コラコラ、聞いてあげなさいよー」

クロエ「じゃあ待っててよ」

ステラ「アンタねぇ」

 

 呆れて肩をすくめる。

 

 

 同じ頃、2階にいたメイディアは大いに悩みぬいていた。

昼休みの終わりに、外の水飲み場で精霊石の指輪を拾ってしまったためだ。

 落とし主はわかっていた。

水飲み場で顔と手を洗うため、指輪を外してポケットに突っ込んだつもりが、上手く収まってくれずに指に引っかかって草の間に落ちてしまった物だ。

 校舎内にいたメイディアが光を受けてキラリと反射する何かを見つけ、行ってみたらば指輪だったというワケだ。

 持ち主がすぐにわかったのは、彼が顔を洗ったりしていたのを何の気なしに眺めていたからである。そしてそのすぐ後に光る物を発見し、急いで取りに行ったのだった。

 もちろんメイディアが到着する頃には持ち主はとっくにどこかに消えて、仕方なく指輪は今もメイディアの手の中にある。

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