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レイディ・メイディ 30-13
2008.04.10 |Category …レイメイ 30話
夢中で転んだことを気づかなかった、てっきり後をついて来ているものだと思ったと言い訳を交えてステラに謝れば、彼女は、
ステラ「いいのよ。こうして私もアンも無事だったワケだし。それでよしとしましょうよ。私だって、立場が逆だったらわかんないもん。……アンじゃなくてクロエがコケてたら、間違いなく置いて逃げてたけどね。ドジが転んだ、これ幸いってね」
自分の冗談で笑い、クロエがこれまた冗談とわかっていてヒドイ!と抗議の声を上げた。
役者が違うとはこのことか。
完敗だった。
けれど彼女の大らかな性格に救われた気がする。
申し訳なく思いつつも、冷たい目で責められるのは辛いから。
▽つづきはこちら
アン『リク君にも謝らないとかな』
クレスを肴にからかって遊んでいるリクに近づいて落ち着きなく目を動かした。
話が途切れるのを待ったが、その前にフェイトがおしゃべりはそこまでと釘を打ってしまった。
フェイト「他のメンバーも探さないとだろ。手当が済んだら行くぞ」
それでメンバー内の空気がガラリと変わって引き締まる。
鶴の一声というやつだ。
声をかけそびれたアンは仕方なく別の機会をうかがうことにした。
レク「行くって、この人たちは?」
フェイト「縄で縛ったまま歩かせよう」
捕虜全員を起こして立たせようとするが、彼らは学徒だと思ってメンバーをなめきっており、言うことを聞きやしない。
当然といえば当然である。この中で氷鎖女以外は人を殺した経験のある者もいなければ、拷問にかけるなどの荒行もしたことがない少年少女たちだけだ。
そんなことはこの希望に満ちあふれて生き生きとした、一点の曇りもない瞳を見れば一目瞭然。
逆らった態度をとっても、殺される心配はないだろう。
いくらフェイトが冷たい態度で見下してもまったく功を成さなかった。
フェイト「くそっ」
メイディア「……………………………………」
レイオット「メイディ? 何かあった?」
さっきまでじゃれていたのに、ふと気づくと心ここにあらずでうつむいているメイディアにレイオットが小さく声をかける。
メイディア「……いいえ。何も」
レイオット「どこか痛むの?」
メイディア「いいえ」
かぶりをふる。
メイディア「ちょっと……気持ちが悪いだけ」
レイオット「それは大変! 休む?」
メイディア「ううん。休んでも乾かないからいいわ」
レイオット「……乾か……??」
……実はメイディア。
崖から飛び降りた際、恐怖でちょっぴりチビッてしまっていた。
落ち着いてみて、初めて股ぐらが濡れているのに気づいたという……。
真面目な顔で、パンツを脱いで捨てていくかこのまま冷たいのを我慢して履いて持ち帰るかを本気で悩んでいた。
着替えたいのは山々だが、残念なことにリュックに詰めていた荷物の衣類という衣類はロープを作るために使ってしまったのだ。
そこには出し惜しみなどせずに下着も大胆に使用。
そうでなければ届かないと思っていたし、実際にそうだった。
今背負っているリュックはほとんど空に近い。
このことは本人だけの秘密だ。
助かってしまったからには、一度は活躍した衣類ロープのことなんか誰も覚えてやしない。
フェイト「いい加減にしろ! 殺さないまでも、手足、肋骨の2,3本は折ったっていいんだぞ、こっちは」
クレス「それとも凍りづけにしてやろうか?」 ニヤリと笑う。
この際は、お行儀のよいフェイトよりも実際に同級生を殺しかけてしまったクレスの方がよほど説得力がありそうだ。