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レイディ・メイディ 30-10
2008.04.09 |Category …レイメイ 30話
メイディア「なんですってぇーっ!? ……キャアッ!?」
いきり立った瞬間、足を引っかけていた古木が完全に抜けて、メイディアはガクンと衝撃に体を揺らした。
レク「メイディッ!?」
驚いて悲鳴に近い声を上げる。
フェイト「心配ない。ロープがある」
レク「そ、そうだった。…………心臓に悪いな、もう」
▽つづきはこちら
役目を終えた古木は晴れかかった霧の中に飲み込まれていき、メイディアとリクは改めて自分たちの置かれていた状況を認識した。
メイディア「………………………………」 生唾を飲み込む。
ちょっとでも助けが遅ければ今頃、自分たちも古木と同じ運命だ。
フェイト「ロープがあっても散々リクを支えた腕で登るのは無理かな」
逆さまから元に戻って宙にぷらりと揺られていたメイディアがフェイトの呟きを耳にしてふと我に返る。
メイディア「誰が巨大ビックパンツですかっ!」
助けが来て、いきなり元気になったメイディアは、リクの手を離してロープにぶら下がったまま、フェイトの顔にパンチを入れた。
先程の無礼なセリフのお返しだ。
フェイト「ぶっ!? ~って。……オイ、こんなところでパンチくれる奴があるか」
前は平手だったのに今度は拳か。
くらったアゴを押さえてフェイトがうめく。
メイディア「どこでだってプレゼントして差し上げますわっ! このっ! このぉっ!!」
振り子の原理を使って、今度は蹴りを入れてくる。
フェイト「オイ、よせ、暴れるな! 助かったと思ったらすぐコレか」
見ていたレクがらしいやと笑う。
クレス「コラー、早く上がってこーい!」
上でクレスが叫んだ。
フェイト「ちょっ……こら、よせ。助けに来た相手にそれか!? ……置いてくぞ」
メイディア「お生憎様! ワタクシ、助けて欲しいだなんてひとっ言も言っておりませんからっ!!」
フェイト「……可愛くないな、相変わらず」
クレス「……ダメだ。聞いてないよ」
あきれて肩をすくめる。
メイディア「貴方みたいな冷血漢に、可愛いと思われたいだなんてただの一度もございません」
フェイト「……気の強いことだ」
言い残すとほとんど90度の斜面に足をかけてロープを伝い、さっさと登り始める。
メイディア「あっ、コラ!」
ズボンをガッチリつかんで引っ張る。
フェイト「おわっ!? ズボンッ!? コ、コラ、ヤメロ!」
メイディア「ワタクシを置いて行くとは何事です!」
フェイト「今、自分で助けはいらないと言ったろうが!」
メイディア「か弱い乙女がブラ下がっているというのに、置いていこうだなんて紳士のすることですか!? 男性としての役目を果たしなさいな!」
フェイト「言ってることがムチャクチャだぞ」
メイディア「いいえ。ムチャクチャなどではございません。ワタクシは助けなど必要としておりませんが、貴方にはワタクシを連れて行く義務があるのです」
フェイト「何だ、それは。……とにかくズボンを離せ! どちらにしろ、こっちが一度上に上がって君を引き上げなければ話にならない」
メイディア「ん? そういうことでしたの? それならそうと初めからおっしゃい。回りくどい」
フェイト「…………………………コノ……」
さすがのフェイトも微かにこめかみに青筋。
しかしこらえて登り始める。