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レイディ・メイディ 30-8
2008.04.08 |Category …レイメイ 30話
手を放して自由になったナツメは、倒れている敵に再び刃を向ける。
クロエ「! 何をするの!?」
氷鎖女「……殺すの」
体温を感じさせない暗い瞳で恐ろしいことをぽつんと言う。
クロエ「ダダダ…………ダメだよぅ、生きているなら殺しちゃ!」
ぎょっとして今度はクロエがナツメの手首をつかんだ。
氷鎖女「なぜ?」
ギ、ギ、ギ。
癖なのか、やはりぎこちない仕草で首をかしげ、クロエの方を向く。
▽つづきはこちら
クロエ「なぜって……殺す必要ないからっ」
氷鎖女「刀の背で叩いただけだから、気を失っているだけ。いずれ目を覚ます……わ」
クロエ「それならいいじゃない」
氷鎖女「一人か二人残せば口を割らせるのに事足りるもの。あとは、要らない」
クロエ「……あうあうー……」
一瞬のめまいを感じて頭を振った。
クレス「クロエ、ナツメ!」
レク「大丈夫か」
レイオット「これ……ナツメが全部……」
つかの間の夢から我に返った三人が駆け寄った。
クロエ「ね、ロープで縛っちゃえばそれでいいよね?」
懇願するように揺さぶる。
氷鎖女「……よろしかろ。判断は上の者に任せた方が賢明……ね。クロエは正しい」
クロエ「……ホッ。ありがと、ナツメ」
クレス「どうかした?」
クロエ「ううん。何でもないの」 かぶりを振る。
クレス「?」
レイオット「……すごい……斬らずに……こんな……」
傷を改めてレイオットが肝胆のため息を漏らした。
レイオット『あの戦い方だったら、力のない私でも……』
「ねぇ、ナツメ、今の動きはどこで……」
言葉をかぶせて、レク「皆、向こうでステラを発見したんだ。今はフェイトがついてる。早く行ってやらないと」
クロエ「ステラが!?」
親友の名を聞いて激しく反応する。
レク「ケガをしてる。クロエの力が必要なんだ」
クロエ「うん」
大きくうなづいて表情を引き締めた。
クレス「コイツラ縛ったけど……どうする?」
倒れた連中を後ろ手に縄で結んで、クレスは相手の頭をつま先で軽く蹴飛ばした。
声を出されても困るので、さるぐつわも忘れない。
レイオット「とりあえず置いておきましょ。ステラが先よ」
クレス「でも仲間が来て助けて逃げるかもしれない」
ナツメ「なら……。私……が、残る」
態度だけ遠慮がちに、内容は過激に申し出る。
レク「ダメだよ。一人じゃ危ない。他が来るとも限らないんだから」
ナツメ「では、逃げられぬよう、足をせ……」
レク・クレス「せ?」
クロエ「ナ、ツ、メ!」
「切断」の言葉が出る前にクロエが遮った。
クロエ「ステラの手当はすぐだから」
ナツメ「……うん」
こっくりと頭を傾けてくれたので、クロエはほっと息をついた。
ナツメの意見は戦場では最良だったが、まだ単なる学生でしかない彼女らには酷だった。
クレス「……ところで後の二人は?」
ステラの所まで来て、クレスが疑問を投げかけた。
ついさっきまで後ろをついて来ていたはずなのに、まだたどりつかないのは変だ。
ダレスもそうだが、戦闘音くらいは聞こえていてもいいハズ。
参加してこないというのは彼らの身にも何かがあったからではないか。
フェイト「チッ。次ぎから次と問題起こしてくれるな」
レク「仕方ないだろ」
フェイト「わかっているさ。ステラが歩けるようになったら、その捕虜にしたという連中のところに陣を敷こう。で、……やはり俺とレク……だな。この二人で探索に出る。他は動かないこと」
レク「レイオット、頼むよ」
レイオット「ええ」
ステラを見つけた要領で二人がロープを手に探索に出ようとしたとき、助けを求める声が届いた。
レイオット・クロエ・ステラ「アンだわっ!」