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レイディ・メイディ 30-6
2008.04.07 |Category …レイメイ 30話
そうこうしている内に、古木の埋まっていた部分が崖の表面から露出始めた。
アン「あ、あああ……木が、木がとれちゃう…………リク君が……」
お互い痛いほどに堅く握り合っているが、リクの手は血まみれで濡れており、メイディアの手から今にもずり抜けそうだ。
リク「巻き込んでしまったね、メイディ………………ん?」
メイティアがブツブツと口の中で小さく唱えている。
耳をすませばとぎれとぎれにそれは耳に届いた。
▽つづきはこちら
メイディア「神様……、神様、彼女に今一つの勇気をお与え下さい。小さな心に勇気の翼をお与え下さい。勇猛な獅子のように、気高き鷹のように、義侠の狼のように」
リク「………………………………」
黙っていると、決意したアンが少し上で足りなくなっている布のロープに飛びついた。
二度、三度。
四度目にして端をつかんだ。
細くていかにも頼りなかったが、もう行くしかない。
アンはなけなしの勇気をふりしぼってロープをつかんだ手に力を込めた。
リク「願いが、届いたのかな?」
メイディア「…………アンの勇気です」
リクが微笑むと、メイディアは真顔で返した。
ステラを救出したレクとフェイトがいくら呼んでも後続が来ない。
不審に思ったレクが来た道を戻ると戦闘が始まっていた。
レク「皆! それは無視して早くこっちに……ハッ!?」
殺気というのだろうか。背後に気配を感じて振り向きざまに剣を払う。
やはりというべきか剣は現れた敵の剣とぶつかって火花を散らした。
レク「! 人間っ!?」
相手は土くれの木偶、ゴーレムではなく人間だった。
しかも赤薔薇正騎士の制服を着用している。これはどういうことか。
レイオット「どういうことですかっ!」
レイオットが叫ぶが、当然の問いに相手は答えない。
赤薔薇の制服を着た男たちは欠けたG,S班両メンバーを取り囲んでいた。
氷鎖女『試験官室はこれをちゃんと見ているのであろうな』
監視してついてきている使い魔がどこかに潜んでいるはずだ。
クレス「くそっ! 間合いが取れない!!」
魔術以外に心得のないクレスが攻撃に転じることができずに呻いた。
魔法を使うには距離がなさすぎる。
唱える前に敵の攻撃がきて身を守るのに精一杯だ。
実力者であるレイオットも防戦一方で、クロエと背中を合わせてなんとかしのいでいる状態だった。
レイオット「分断されちゃった! クレスを……クレスを守らないと!」
クロエ「今行くからっ!」
魔術師クレスの身を案じて焦りの色を見せる二人の声に応え、レクが請け負った。
レク「任せて!」
赤薔薇騎士の押し合っていた剣の力を抜いて、そこから逃れる。
レイオット「どうして……! どうして正騎士がっ!? これは本当に試験ですかっ!?」
やはり相手は無言を通す。
表情からして試験とは思えなかった。本気で殺しにかかってきている。
背筋に冷たい汗が流れた。
一瞬の隙を相手は見逃さなかった。
レイピアが空中に弧を描いて跳ね上がる。
クロエ「レイオット!!」
レイオット『しまった!』
クレス「間に合えっ!!」
レクの背に守られて呪文を完成させたクレスが今まさに、レイオットを切り捨てようとした騎士を凍りづけにした。
レク「よしっ!」
クレス「どんなもんだ!」
だが、喜びもつかの間、劣勢は変わらない。