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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 30-7

クロエ「ここは私がっ! レイオット、剣を……!」

レイオット「わかった!」

 

 地を蹴り、転がって落ちたレイピアを取り戻す。

 レイオットがいた位置に、振り下ろされる剛剣。

 口元を引き締めて、クロエはやがてくる衝撃に耐えようと剣の柄を堅く握り締める。

 

氷鎖女「……仕方がない」

 

 それまで注意深く相手の動きを探っていたナツメがあきらめたようにつぶやいて、剣を受けようとしたクロエの腕をつかんで後ろに下げさせた。

 同時に手にしていた小太刀から腰の得物に持ち代える。

 

クロエ「あっ……!?」


▽つづきはこちら

 剛剣は正面になったナツメの前髪をかすめて地にめり込んだ。

 休む間もなく、逆側からもクロエを狙った一撃が振り下ろされる。

 だがそれもまた、腕を引いて避けさせた。

 

クロエ「??」

氷鎖女「明かに、お前……クロエを狙ってる……わ。……皆から離れる……わよ」

クロエ「エッ? エッ?」

 

 手首をつかまれたまま、敵が前からくれば後ろへ、後ろから来れば前へ。

右から来れば左へといった具合にクロエは腕を引かれるままにくるくると回っていた

 そうしながらナツメはレイオットやレク、クレスらと距離を徐々に開けてゆき、敵は導かれるようについてゆく。

 

クレス「よし、今だ、魔法を……」

レク「待って、クロエとナツメにも当たるんじゃないか? 動きがトリッキーだ、気をつけて」

クレス「わかっているよ!」

レイオット「…………………………」

 

 いの一番に追いそうなレイオットは剣を持った手を下げたまま、ぼんやりとクロエとナツメの流れるような動きを見つめている。

 

レク「レイオットはここに残って、クレスの護衛を! 俺は追いかける! ……レイオット?」

レイオット「……きれい」 ぽつり。

レク「は?」

レイオット「……………………」 口を閉じる。

 

 クロエの体重とかかる力を軸として利用した移動は実に滑らかで、決して体勢を崩させない。

つんのめっ転んでしまうこともなくクルリ、クルクルと回る。

 まるで二人でダンスを踊っているようにも見えた

 手を引かれているだけなのにクロエの体は勝手に動く。

いや、動かされていた。

 一回転、二回転する間に向かってきた敵が一人、また一人と倒れる。

 この辺では目にすることはない珍しい細身の片刃の剣がひらめいて相手の首を打った。

 

レク「…………………………」

レイオット「…………………………」

クレス「……………………」

 

 全員が倒れるまで、あっと言う間の出来事だった。

 クレスは呪文途中で口を閉じてしまい、レイオットは拾ったレイピアを取り落とした。

レクは微動だにしない。

 あっけなく敵を全て片付けナツメは初めてクロエの手首を離した。

 

クロエ「……ととっ」

 

 突き放すように手を離されて、前のめりに体勢を崩してしまう

 突然、重力が戻ってきた錯覚を覚える。

 

レイオット「…………弱いなんて…………嘘だわ…………」

 

 少し離れたところから見ていたレイオットが熱に浮かされたようにつぶやく。

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