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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 28-7

リク「……爪?」

 

 今し方できた傷から再び少女に視線を戻した。

 少女は挑むような目付きで、黒い髪の間からこちらの様子を注意深く観察している。

 

リク「嫌われちゃったかな? でも俺は別に……」

 

 安心させようと微笑みかけて口にした言葉は届かなかった。

 女学徒たちの悲鳴によってかき消されて。

 

女学徒「ちょっと、あの子ナニーっ!?」

   「リリリリリッ……リッくんがぁっ!」

   「ギャーッ!」

 

 麗しのリッくんに無礼を働く女はこれで二人目だ。

 たかだか引っ掻き傷に、女学徒たちは目の前で大事故が起きたかのようなイキオイで騒ぎ立てた。


▽つづきはこちら

 周囲の反応に素早く反応した少女は身を堅くして、手近にいたクレスの背中にさっと回り込む。

 

クレス「えっ? えっ? ……アレ? 何?? 僕!?」

 

 何やら、楯にされている様子。

 

クレス「………………」

 

 自分の服をつかんで、脇からリクの様子を伺っている初対面の女の子を見る。

 リクが近づこうとするとさらにクレスの服を引っ張って方向転換を図った。

 

クレス「おい、リク。よせよ、怖がってるじゃん。前から思ってたけど……お前、ちょっとしつこいぞ」

 

 憮然とした表情で少女をかばう。

 

リク「あらら? しつこい?」 自分を指さす。

クレス「だってそうだろ。……思いっ切り、嫌われてんじゃん」

 

 鼻から息を大きく吐き出して、何故か誇らしげに胸を張る。

 モテキングなリクから逃げて自分のところに来た。

理由はよくわからないが、この事実はクレスに微妙な優越感を与えた。

 

リク「う~ん。嫌われてたのか。悲しいなぁ。あはは」

クレス「そうは見えないんだよ。イヤミな奴だな」

リク「そう?」

クレス「いいから、あっち行った、行った。こっちの班じゃないだろ」 シッシ!

リク「冷たいなぁ、クレスは」

クレス「ゴチャゴチャうるさいよ。言っておくけどね、今回ばかりは僕らの優勝だ。吠え面かくな」

リク「優勝ねぇ? 簡単には譲れないなぁ」 楽しそうに微笑む。

 

 クレスには余裕をうかがわせるその微笑がお前なんかに1位は無理だと言われているようで腹立たしかった。

 ふんと鼻息を荒くして、今に見てろとつぶやいた。

 

リク「……ごめんよ、驚かせて。それじゃ」

 

 リクはクレスの背から出て来ようとしない少女に向かって軽く謝ると自分の班へ戻って行った。

 後ろを女学徒たちが心配してついてゆく。

 一歩、リードしアンが追いすがって隣をキープした。

 

アン「リク君、血が出てるよ、手当してあげるね」

リク「こんなの大したことないよ。ホラ、もう乾きかけてる」

アン「じゃあ、私、あの子、怒ってきてあげる! 乱暴な子って嫌だよね

リク「俺が無理強いしたからいけなかったんだよ。クレスに怒られちゃった。ハハハ」

 

 戻って来たリクに班員たちがフラレたと囃し立て、リクも頭をかいて苦笑い。

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