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レイディ・メイディ18-14
2007.12.24 |Category …レイメイ 18話
メイディア「?」
クレス「ナニさ」
フェイト「……気配がある」
クレス「ふんっ。ようやくおでましってワケか。退屈していたところなんだ」
不敵な笑みを浮かべる。
このコースにいくつも用意されている“敵”の出現だ。
木の幹に小さく魔法の護符が貼られており、侵入者が近づくのを察知するとそこから幻の兵士が現れるという仕組みになっていた。
ダレス「お嬢さん方は下がってな!!」
剣を鞘から引き抜く三人の剣士。
すでにクレスは呪文の詠唱に入っており、クロエも持参してきた木刀を構えた。
メイディア「? クロエは剣も扱うの?」
クロエ「ええ。実家でお父様から剣を学んでて、本当はお兄ちゃんと同じ青薔薇になりたかったの」
メイディア「ふーん。勇ましいのね」
「さて。私はどうしようか」
▽つづきはこちら
監視室では当然、教官も交替で夜中から早朝までもチェックしている。
部屋中に第1グループの動きの映像が映し出されていた。
どの班にも1羽ずつ、監視するための鳥が付いて回っているのだった。
これは昨年の試験時のヤモリと同じで、目で捕らえたものが映像として監視室の水晶を通し、壁に映し出される仕組みになっている。
ニケ「あっ、G班が戦闘に入ったよ!! がんばれ、クレス」
ヴァルト「こちらも戦闘に入ったようだ。あそこは……S班だな」
ナーダ「そろそろそんな距離に入って来たということね」
あくびをかみ殺す。
ニケ「アレ? 何であんなに苦戦してるんだ? 彼らならあんなレベル、ひとひねりだろうに」
もどかしく、食い入るように画面を見つめた。
氷鎖女「足元は斜面で悪い上に濡れている。剣を振り回すにも攻撃魔法を放つにも木々が邪魔で難しい」
相変わらず、やる気のなさそうな棒読み解説。
ヴァルト「そして初めてのチーム戦に初めてのチームメイト」
ナーダ「これは苦戦するわよー? チームがひとまとまりにならないと切り抜けられない試験だもの」
組んだ両手に細いアゴを乗せてのんきに笑う。
ヴァルト「そうだな。1度目の戦闘が上手く乗り切れなかったりするとそれを理由にまたチームワークがガタガタになる」
ニケ「それを上手く調整できるリーダーが中にいるか、または育つかが重要なポイントになってくるよね」
氷鎖女「ニケ殿が熱心に推しているクレスの班は、その点、ダメダメウンコでござるな」
ニケ「う~ん……。あのシャトー令嬢さえいなければなぁ~」
氷鎖女「いやいや。多少マシになっても同じでござるよ。クレスも充分“異物”でござるからして」
ヴァルト「言えてるな。そしてリーダーの資質が初めから見え隠れしている人物もいない」
ナーダ「一応は貴方のところのフェイトが陣頭指揮をとっている形にはなってきているけども……」
ヴァルト「残念だが、誰の信頼もまだ勝ち取れていない。適正な判断力と冷静さ、そして実力どれも申し分ないが、残念ながら奴にはリーダーとしての人間的魅力に欠ける。アレでは到底、暴れ馬のクレスとメイディアを押さえ込めまい」
ナーダ「そうね。彼はリーダーよりもその補佐に向いているわ」
点数を書き込みながら、うなづく。
ニケ「サブリーダーってワケだね」
氷鎖女「この場合、頭(カシラ)として妥当なのは、クロエでござろ」
ニケ「クロエェ~? イマイチな気がするんだけど……」
氷鎖女「なに。まだ自信も自覚もなきゆえに一兵士に過ぎぬ行動しかとれておらぬようだが、今後の成長いかんでは楽しみな存在になるやもしれぬ」
ついでに「妄想癖さえ治れば」と、付け加えるのを忘れない。