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ゼロのノート

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レイディ・メイディ 第18話

第18話:実戦試験

その日の終わり、爆弾発言が黒薔薇氷鎖女クラスに投下された。

 

氷鎖女「すっこり忘れてたでござる」

ステラ「何がですか、先生?」

氷鎖女「あの……えっと……組を組んでの模擬探求試験が実施されるでござった」

ステラ「いつ?」

氷鎖女「あ~……」

学徒たち「…………………………」

氷鎖女「そのぅ……」

学徒たち「……………………」

氷鎖女「決して隠していたワケではナイでござるよ? つまり、うっかりこう……人間にはそういうことがたまにはあるワケでぇ」

学徒たち『まさか……』

氷鎖女「……つまり……んーと…………………………あ……」

学徒たち「あ?」

 恐る恐る、氷鎖女「明日……から……」


▽つづきはこちら

学徒たち「エエェェェーッ!?」

    「聞いてないよーっ!!」

氷鎖女「それはそうでござろ。今言ったのだから」

学徒たち「オイッ!!」

氷鎖女「あの……あのっ 決して……決して忘れていたワケではなく……」

学徒たち『始めに忘れてたって言ったじゃんか、自分で……!!』

氷鎖女「ナニ、大丈夫。己らならできる。うん。検討をいのってみたりするでござる」

 言い残して脱兎のごとく走り去った。

学徒たち「ふざけんな、ミジン子っ!!」

    「微塵子ーッ!!」

 

 教室は大変な騒ぎである。

 他のクラスの子たちがそんな試験があると言っていたから、もしかしてこのクラスでもあるのかと思ったら、先生は何も言わない。

10月と3月に行われる重大な試験とは違うから、クラス毎でやるやらないは教官が決めるものと思っていた。

 ところが、だ。

 奴は単に忘れていただけだという。

 この年、初めて氷鎖女の下で教えを受ける連中はこの世の終わりのような大騒ぎであったが、去年も通称・ミジン子先生に散々やらかされてきた学徒たちは“またか……”と半ば呆れているだけだ。

 彼が置いていった名簿にはすでに決定されているチーム編成が記入されていた。

 

学徒たち「マジかよ、オイ~!!?」

    「冗談でしょーっ!!?」

    「俺、誰と組むの!!?」

    「探して、私の。どれ!!?」

 

 奪い合うようにして名簿が学徒の間をいったり来たり。

 

シラー「皆さん、知らなかったの? 1階の廊下に組み合わせが大きく張り出されていたのに」

学徒たち「マジ!!?」

    「関係ないと思って見てなかった」

 

 あわてて1階の廊下を目指して駆け出す。

 そんでもって、1階廊下。

 

メイディア「……クレス」

クレス「なーんだ、お前と一緒か」

メイディア「クロエ」

クレス「……誰?」

メイディア「白薔薇の子よ。ワタクシ、去年同じ部屋だったの」

クレス「ふーん。あっそ」

メイディア「……………」

 

 メイディアが含まれるパーティ構成は、黒魔術・黒魔術・白魔術・剣士・剣士・剣士であった。

 魔法という特殊な力を扱える者は少なく、毎年、白・黒の魔術師人材が不足している。

 薔薇の騎士といえばまず思い浮かべるのは、赤・青の剣士であることからもわかるように薔薇の騎士団の大半は剣士で構成されていた。

 多く候補生が入って来ても1年目でついていけなかった者はここを出てゆくし、力不足だった者はもう1年、同じ階級に留まる事になっている。

 そうすると2年以降、上へ進めば進むほど人数が減っていくことになる。

 ところが今年。

例年に比べて黒薔薇専攻の人数がやや多い。

 氷鎖女クラスの学徒たちである。

 彼らの中で里に帰った、あるいは1年留まったという学徒が少ないのだ。

 そのほとんどが何とか2年にまで進級できている。

 お陰で今回行われる試験の組み合わせでは、通常白黒共に魔術師はパーティに1人ずつしか割り振られないというのに、黒魔術師が2人も配属されている組もあった。

 だからといって有利かどうかは別問題なのだが。

 メイディアは残り3名の名前の中にフェイトを見つけて気分が暗くなった。

 面と向かってフラレた第1号さんなのだ。彼は。

 それもとてもキツイ振られ方をしてしまった。

格好悪いったらない。

 

メイディア「ふんっ。決まってしまったことは仕方がありません。ワタクシの実力をとことん見せつけてあげればよろしいのですわ」

クレス「? 何が?」

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