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みやまよめな:60
2008.06.10 |Category …みやまよめな
社「私があんな長い階段を登らせたりしたから……」
万次「いいえ……そうじゃなくて……」
社「……いいんだ、私のせいだ……」 しょんぼり。
万次「歳のせいじゃなくて………………殺されていたんですよ」
社「……何?」
驚いて目を見開く。
社「誰にだっ!!?」
万次「……知りませんよ、そんなこと……」
社「何だとっ!?」
万次「でも……」
社「何だっ!?」
万次「……いえ……。あんまりヒドイ殺され方してたんで……」
社「!!」
▽つづきはこちら
万次「何か恨みじゃないかって……」
社「恨み……?」
「私へのかっ!!?」
万次「……わかりませんけどね」
社「……だが犬を殺すこともあるまいに……。どんな殺され方をしたんだ?」
万次「……そんなことを知ってどうしなさる」
社「もちろん、下手人を捕らえて同じことをしてやるのだ!!」
万次「犬じゃありませんか」
社「うるさいっ!! ただの犬じゃないっ!! 私の犬だっ!!!」
万次「…はぁ……」
社「玄米はどのように殺されたのだ!? 言え!!」
万次「………………」
社「万次っ!!!」
万次「……やめましょうや。ね?」
社「万次っ!!!!」
万次「おっと、いけねーやっ!! 俺はこの後、お使い頼まれてたんでしたわ。そんじゃ」
そそくさと逃げる。
社「コラ、万次っ!!」
しかし万次丸は振り向きもせずに行ってしまう。
仕方なく自分で墓を暴くことにした。
社「……!!」
犬は、石で頭をつぶされていた。
恐らく、何度も打ち付けたに違いない。
舌も目玉も無残に飛び出しており、生前の愛らしい面影はどこにもなかった。
社「……ううっ、ひどいことをする……。可哀想に、私の玄米……」
死体の前にぺたりと座り込む。
社「……くそっ……誰がこんなことを……」
『……!!』
『……誰が……』
ふいに姉の手の包帯を思い出す。
社『……まさか……』
脳がよくない方向へ答えを導き出そうと猛烈に働き始めた。
自分を発見したのは姉だという……。
そこに玄米はいたハズ。昨日……
そして、あのとき、玄米はけたたましく吠えていた。
社『まさか…………………』
立ち上がり、駆け出して行く。
社「姉上っ!!」
共を連れて外出しようとしている都を呼び止める。
都「何事です?」
社「姉上!! 手の傷を見せて下され」
都「突然ですね? なぜ?」
社「いいからっ!!」
都「嫌です」
社「お見せ下さいっ!!!」
手首を乱暴につかむ。
都「これっ!!」
「誰かっ!! 社を捕らえなさいっ!!」
巫女たち「お館様っ!!」
「乱暴はなりませぬ!!」
社「ええいっ!! うるさい!!」
騒いでいるうちに包帯がほとけ、傷口があらわになってしまう。
社「!!」
都「……!!」 さっと隠す。
社「……………姉上……」
一瞬、見えた傷は他でもない、犬に咬まれた跡であった。