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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:33

 再び画面は社。

 家にたどりつき、社は早速、都との約束をやぶって父の元へ。

 もとより、黙っているつもりはなく、姉の手前うなづいて見せただけ。

 とにかく彼は、猛を何とか解雇させたくて仕方がなかった。

 一方、そんなことはまったく関せずの椿は上機嫌で庭を横切る。

 

万次「お前さん、何だ、そりゃ。そのカッコ」

椿「うん?」

 

 振り返る。

 

万次「うわ、ヒッデーなぁ。バケモンみたいだぞ?」

椿「なぁんですってぇ~!?」

万次「鏡見たのかよ!?」

椿「……ちょっと失敗したかなって思ったけど、社様がいいって言ってくれたんだから、いいんだよ~っ!!」

 

 べっ!!と舌を出す。


▽つづきはこちら

万次「社様がお優しいから、椿をガッカリさせたくなかったんだろ」

  『さもなきゃ、どうでも良かったかだ』

椿「む……むぅ~」

万次「“いつもの方がいい”とかって言われなかったか?」

椿「うっ」 ギクリ。

万次「……はは~ん。図星だな? そりゃあ、遠回しにやめろって言ったのさ」

椿「……………………」

万次「どーだい、心当たりあるだろ?」 ニヤニヤ。

椿「ふ……ふーんっだっ!! 万次なんか嫌いだよっ!!」

 

 怒って走り去る。

 父の部屋から戻った社が入れ違いに庭を横切る。

 冷笑を浮かべながら……

 

3,

 夜。

 どかどかと都の館に兵たちがなだれ込む。

 

巫女たち「きゃあっ!?」

    「ここは都様の館じゃ!! そなたら、わかっておるのかっ!?」

    「男子禁制ぞ!!」

兵士「その男子が入り込んだということじゃ!! 引っ捕らえに参った」

 

 都の父からの命令書を見せる。

 館内は騒然。

 もちろん、都の寝室にも……。

 

兵士「御免!!」

 

 突然、襖が開かれて跳び起きる都。

 

都「……な……何事ですか……」

 

 あわてて寝間着の前をかき寄せ、半裸になっていた肌を隠す。

 

猛「………………」

 

 横からむっくりと同じ裸で起き上がる。

 

兵士「……ッ!!」 鼻じらむ。

 

 猛、にぃ、と大きな犬歯を見せて笑う。

 

兵士「と……捕らえろっ!!」

都「あっ!! 待って……!!」

 

 追いすがろうとするが、他の足軽兵士たちに取り押さえられ、猛は連行されていった。

 

都『……どうして……どうしてわかったの……!?』

 

 騒ぎが収まった部屋で、一人うずくまる。

 

4,

 それから。

 いくら都が猛のことを尋ねても誰も教えてくれなかった。

 猛はあれっきり、とんと姿を現さない。

 父の怒りに触れて、もう殺されてしまったのではないかと気をもむ。

 

都「どうしよう。困った……。殺されていないにせよ、きっと獄中か、さもなければ追放されたやもしれぬ」

 

 部屋の中で右往左往する彼女も体中、アザだらけ。

 父の意に反して、館を抜け出した報いだった。

 父は都が少しでも逆らうことを許さない。それも目の届かないところで男と一緒だったというのだから、怒りも大変なものである。

 都はただ恐れ、背を丸めて父の気が済むまで蹴飛ばされるより他、何もなかった。

 

都「今頃、私のせいで拷問などをうけていたら……………ああっ

 

 たまらなくなって、両手で顔を覆う。

 あれから、もちろん、黒百合は届かない。

 

都「あれから社も姿を現さないし……」

 『来たら、猛殿のことを探らせようと思ったのに……』

 

 と、思う間に、社が久しぶりに顔を見せた。

 

都「!! 社!!」

 

 駆け寄って抱き着く。

 

社「あ、姉上……」 ドキ……

都「よう来てくれました!! 社、お願いがあるのです」

社「……願い?」 眉をひそめる。

都「猛殿がどうなったのか、確かめて欲しい」

社「……………………」 やっぱり……

都「もしあんまりな目に合わされていたのなら、何とか助けてやっておくれ。お前の言うことなら父様も聞き入れてくれよう」

社「しかし……あの者は……」

都「お願い、あの方は私の恩人なのです。わかるでしょう? あの方がおらねば、私は今ここにはいなかった」

 

 痛々しい青アザのある顔をあげる。

唇も切れ、血が凝固しており、片目も腫れのためにあまり見えていない様子。

 こんな都に頼み事をされては、嫌というワケにもいかない。

 

社『……ちっ!!』

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