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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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みやまよめな:31

社「……はは……」

 『……イカン、イカン。椿に当たってどうするというのだ……』

 

 頭を振る。

 

「そうだ、椿、後で買い物につきあっておくれ」

椿「あっ、ハイハイッ!! どこまでもお供致しますぅ」

 

 社、ニッコリと笑む。

詫び(わび)のつもりだ。

 約束した時間になると椿は、いつもと違い、めーいっぱい背伸びしたお洒落をキメてやってくる。

 社とのおつかいなので気合が入っていた。

 

社「……………………」

 『……変なカッコ……』 ヒク……

 

 ……が、気合が入り過ぎていて、ちっとも似合っていない。

 化粧がヘタなのに無茶するから、やたらと厚化粧でほとんどお化け。


▽つづきはこちら

社「きょ……今日はずいぶんとキレイだなぁ……」

 

 無理やり笑顔をつくる。

 

椿「ヤダー、そんな~っ!! 社様ったら、お上手

社「わ……わぁい……」 汗。

 

 町を行く二人。

 すれ違う人々が一度は振り返る。

 

社『見てる……!! 皆、見てるよ~っ!!』 視線、チクチク

 

 妖怪変化となった椿をチラリと横目で見る。

 

社『……た……耐えられん……。どこか茶屋にでも……』

 

 とりあえず、休みを取ろうと手近な茶店に入る。

 しかも椿が人目につかないように個室を用意してもらう。

 

社『はぁ~……れた……』 がっくり。

 

 椿は相変わらず、上機嫌。

 

社「化粧した椿もいいけど、やっぱり私はいつもの椿の方が……」 おずおず…

椿「……え……ダメですか……コレ……」 しゅん……

社「あ、いや、そんなことはないさ、ないけど」

 『うわぁ~どーしよ』

椿「!! そーですか!? 大丈夫ですかっ!? よかったぁ~♪」

 

 ぱっと明るくなる。

 

社『ひぃぃ~っ』

 「あ……ああ、まぁ……」 あいまい。

椿「でも、社様がいつものがいいっていうんなら、そうしよっと」

社『……ホッ』

 「そ、そうだよ。若い娘は化粧なんかしない方がいいのさ」

椿「わっかりました☆ たまにしかしないことにしますっ」

社「や……やるんだ……やっぱり?」 ボソ……

椿「え? 何ですか?」

社「ん、なんでもない」

 

 結局、その日は自分から買い物に付き合えと言いつつ、椿の買い物に逆につき合わされるハメとなった社。

 荷物を持たされながら、

 

社『まぁいいさ。椿は良い娘だ。そうそう。私は椿と一緒になるんだ…………………から……』

「……………………」

 

 足を止める。

 

椿「……どういたしました? 社様……」

 

 何かに注意を向けている社の視線をたどる。

 その先には都と猛。

 被り物をしてはいるが、間違いない。都だ。

 二人で買い物を楽しんでいる様子。

 

椿「あれれっ!? 都様っ!?」

都「!!」

 

 袖で顔を覆い隠すようにして、さっと立ち去ろうとする。

 

社「!! 姉上っ!?」

 

 荷物をかかえたまま、駆け出す。

 

椿「ああ~ん、待って下さいよぉ~」 追いかける。

 

 追いつかれて、

 

都「し~っ!! し~っ!!」

 

仕方なく、声をたてるなと合図する。

 

社「なぜこのような所に……!?」

 

 都は館から出ることを父から禁じられている。

 その代わり、望む物は何でも与えられていたが……

 

都「父様には内緒ですよ」

社「勝手に外出なされたのですか!?」

猛「館にこもりきりという方がおかしいと思うてな、わしが連れ出した」

社「よくも巫女たちが許したな」

猛「ははっ。今頃、騒ぎになっておるやもしれぬ」

社「何っ!? 無断で連れ出したというかっ!?」

都「これ、社。猛殿を責めるでない……。私のことを思って連れ出してくれたのです。自分が処分を受けることになるやもしれぬというのに」

社「………受けるやもではありません!! 受けます、当然っ!!」

 『なぜ姉上はこんな下賎の者の肩を持つのだ!?』

都「だから内緒にしておくれと頼んでおるに」

社「……くっ!!」

 「……わかりました……ですが、早々にお帰りあそばせ。外は姉上のお力を狙う輩でいっぱいでございます」

都「わかっておる。だから、こうして変装を……」

社「我々は一目でわかりましたぞ」

都「…………………」 しゅーん……

猛「よいではないか。久しぶりの外界じゃ。こもってばかりでは腐ってしまうぞ。ははははははっ!!」

社「貴様は黙っておれっ!!」

 

 怒鳴ってから、都に向き直る。

 

「さぁ、姉上、私が送っていきますから……」 うながす。

都「………………………」 しょんぼり……

猛「わしが連れ出したのじゃ。わしが責任を持って、お帰ししよう」

社「よいっ!! 貴様とて信用ならんからな!!」

都「社っ!!」

 

 鋭く声が飛ぶ。

 

社「!!」

都「めったなことを言うものではありません!! 猛殿は私の命の恩人ですよっ!!? 無礼なふるまいはこの私が許しません!!」

社「……あ……姉上……」

 『そんな……』

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