呪怨 著：大石 圭

コレ、映画のが原作だったんですね。知らなかった。
というワケで、映画の呪怨を小説化したものを読みました。
今更ですが……
タイトルは気になっていたものの、怖そうでなかなかレンタルで手を出せなかったんですよね。
しかし只今、ホラーがマイブームなので、手に取ってみました。

感想は……う～ん、イマイチってカンジ。
レビューでＤＶＤの評価高かったんですが、グロくて怖いという怖さだったようで、我の求める怖さと質が違いました。
夫に浮気したとカンチガイされて酷い殺され方をした女が、この世のあらゆるモノを全て呪って悪霊と化し、売り出された自分の家を購入して新しく入ってきた人間を次々と殺して行くというものです。

この女・伽椰子（変換面倒だから、次からカヤコ）は大人しくて暗くて友達がいない孤独な少女期を過ごします。
人と関らずに生きてきた彼女だったけど、自分の名前を覚えていてくれたクラスメイトの男の子に恋をします。
彼の言動を細かく観察し、それを日記に記録。行動はエスカレートして、常軌を逸脱したストーカーへと変貌。
やがて彼は同じクラスの可愛い子と恋人同士になり、カヤコの恋は敗れ、その可愛いクラスメイトを激しく恨みます。
卒業し、彼は可愛い恋人と結婚、カヤコは別の男と結婚して子供をもうけます。
息子が小学校に上がったとき、カヤコは再び胸の奥にしまっていたトキメキが蘇るのを隠しきれません。
なんと、息子の担任になった小学校の教師が初恋の彼だったのです。
思わぬ再会を果たして浮かれるカヤコ。
再び日記をつけ始めます。
ところがこの日記が夫に見つかり、読まれてしまう。
嫉妬深い夫は妻が浮気していると疑い、大激怒。
５年ぶりに初恋の彼と再会したと書いてあるのだから、自分の息子が彼等の間に出来た子ではないと少し考えればわかることなのに、頭に血が上った夫はアレは俺の子ではないな！？とカヤコを激しく責めたて、手足を縛って抵抗できなくした上に、激しく殴り、カッターで生きたまま切り刻んで無残に殺してしまいます。
息子も殺そうとしますが、押入れから天井裏に逃げられたので出られなくするため、ガムテープで押入れをふさいでしまう。
それから、不倫相手の教師（実は不倫も何もないが）の家に乗り込み、その妻を惨殺。
しかし夫も自分が殺したカヤコの霊によって殺されてしまいます。
生徒（殺された女の息子）が学校に来ないと家まで尋ねてきていた教師もカヤコの悪霊に逆恨みで殺されてしまいます。
息子は行方不明のまま。

月日が流れ、誰もいなくなった家は競売に出され、色んな家族の手に渡っていきます。
また新たに家族が入って、妻が寝室から古い日記を見つけます。
それは初めにこの家で殺されたカヤコのストーカー日記。
そうとも知らず手に取った妻は、前の住人が忘れて行ったのかなと思いながら中をめくってつい読み始めてしまいます。
想い人の部屋の鍵を入手することに成功してこっそりと出入りしていたことや想い人とその彼女がＨしているそのベッドの下に潜んで憎しみを募らせていたことなどが赤裸々に書いてあり、妻はどん引きしながらもその先に興味がいって、読み続けてしまいます。
途中で恋の終わりと共に一度、日記も終わったが、次のページからは５年ぶりに再会した喜びからまたストーカー日記が始まる。
読み進めて、あるページで妻は目を疑う。
書いた本人が殺されたことを自分自身で綴っているのだ。
なんだ、これは？
さらに読み進めて行くと人を殺した記述と共に、自分たち夫妻を殺す予告で終わっていた！
実は、この家に入った人間はこれまでも全員変死していたのだった。
夫が狂い、妻を殺して……とその殺し方や台詞まで全て、当時の事件と一緒。

……とこんなカンジでスプラッターが繰り返されて行きます。
なんか……物語的に全然楽しいところがないというか……
アメーリケン的？
怪物が襲ってきたー！　殺されたー！　また怪物がきたー！　殺されたー！　わーわーわー！！！
……の繰り返し。みたいな(笑)
１３日の金曜日とかと大差ないかも？

日記に殺人予告は不気味だけど、他が全て台無しにしてくれるというか；
まず、激しくツッコミたいのが、あれだけ謎が多く残った凄惨な事件が連続で起こった家なのに、販売業者が家であった事件を知らないんです(爆)
事件があった物件なら、売る前に伝えなければいけないはずなのに、それをしないどころか知らないとかありえない。
最初の事件と同じように次に入った家族も殺されているのに。

それと夫に自分が拷問されて殺されていくさまを入居してきた夫婦を操って演じさせて殺していくんだけど、実体験させる意味が判らない。
この世の全ての人間を呪い、自分と同じ苦しみを！というのはわかるんだけど、自分の場面を何度も再生するとカヤコ自身の方がダメージ受けないか？(^_^;)
嬉しくないだろ、自分が殺されるのを何度も見るとか。
別に実体験させなくたって、追い詰めて恐怖させて殺せばいいだけで。

また、この世の全てを呪ってやるー！となるには動機が弱すぎで不自然。
元々、恨みます節の性格にしても、夫や初恋の人、その妻に収まったクラスメイト辺りに怒りは集中しちゃって、他の連中なんか目に入らないだろうって；
もっと多くの人たちに何か辛い思いをさせられていれば、この世の全てを呪っちゃるーっ！！ってなってもおかしくないと思うけど、カヤコは元から暗い性格で周囲から寄ってこなかったけど、カヤコからも寄っていくことをせず、それが楽だったとあるんですよ。
適当な距離を取っていることが彼女にとっては楽な生活でいじめられていたわけではない。
するとどうして怒りが外に向かうのか？
そういう人もいるんだろうけど、納得させるだけの説明がないので、ただ単純にホラーだから人を理不尽に襲わなきゃダメだよねーってノリで描かれたようにしか見えない(TωT)
リングの貞子を彷彿させるような位置づけなんですが（文章から受ける外見イメージも）、貞子の場合は不特定多数を憎むのに納得な要素がちゃんとあったけど、このカヤコにはそれがまったく感じられない。

それとカヤコが幽霊というカンジがしない。
自分の日記をわざわざ読ませるように仕向けて、最後のページに被害者への殺人予告。
生きている人間のイタズラみたいにしか感じられないんですよね。
他人を同じ目に合わせて大喜びなところなんかも幽霊っぽくなくて怖くない(笑)

もう一つ、ツッコミたいのは、介護のボランティアをしている若い女の子が、忙し過ぎて手が回らない介護士に寝たきり老人がいる家に様子を見てきてくれと頼むんですが、ボランティアを一人で行かせる介護士はいないだろうっていう(；´∀｀)
ナイナイ、アリエナイ。
自分が介護の資格の勉強しているから気付いたとかじゃないですよ、普通に考えて責任問題でそ、ソレは；
しかも行ってみると老人は何日も放置された状態で汚物まみれ。
家の中は異様な匂いで充満しており、同居しているはずの家族が見当たらない。
この時点で普通は、本部に連絡ですよ。
なのに、連絡をせずに老人の汚物の世話をして着替えさせて……まだ連絡しない！！(笑)
何かいると感じて恐る恐る階段を上がってみるとそこには惚けたカンジのパンツ一丁の男の子が。
何を聞いても答えずにカヤコの日記を読めとばかりに差し出してくる。
そこで読み始める！！
……何故！？(笑)
半ば強制的に、ということだったけど、カヤコみカヤコでどうしてそんなに自分の赤裸々な日記を読ませたがるのか！
意味が判らない；
そんなこんなをしてからようやく連絡するけど、本部の人は忙しくて取り合ってくれない。
……って、ことごとく不自然で読んでてシラけまくり。
そっちの方向に持っていきたくて無理やり展開になっちゃったっていうような……
原作が映画？だから、小説を書いている方に罪はない……のかもしれないけど……
シロート臭さ満載！
他の人のレビューを見るとこの人のオリジナルの作品はいいらしいので、やはり原作が良くないのかな；

同じパターンの殺人の繰り返しで飽きる。
１／３を残して、投げました。最後まで読んでムキーッ！となったソックリさんの二の舞になりたくなかったので、早々に手を引いて別のを読み始めました。
これはあまりに……ソックリさんとどっちがいい？と聞かれれば、こちらを選びますが……
それにしても……ああ……！

ついでに。
「創作怪談傑作選　蠱毒」……コレは、もう、うん。
感想すら書きたくない；
大失敗。このシリーズ、他にもあったけど、二度と手に取らないように気をつけなきゃ。

次回は、ちゃんと当たりだった本の感想書きますね～(笑)
外ればかり引いているわけでもないんだよ！！ｗｗｗ