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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 66-20

 ふいに彼女もこんな気持ちでいたのかなと1年前のメイディアを思い浮かべた。
 丁度、昨年の秋の試験。
 レヴィアス教官に見捨てられて彼女はボロボロだった。
 リクと違って天才などでは決してない彼女はもっとずっと切羽詰っていたに違いない。
 彼女なら……
 リクは思った。
 彼女なら、恋に落ちてもそれはそれ。これはこれとして訓練や勉強を蔑ろにしなかっただろう。
 彼女なら、仇が失われても生きる気力すら失うことはなかっただろう。
 彼女なら、教官の境遇を知ったら自分のように手をこまねいてなんていなかっただろう。
 ストイックで強い、強い彼女なら。

▽つづきはこちら

 

 死んでしまった人間を必要以上に美化していたのかもしれないが、彼はメイディアという嫌われ者の少女を心のどこかで尊敬すらしていた。
 自分よりもずっと矮小で魔法でも学問でも万に一つも負ける可能性もないけれど、それでもどこか根本的なところでリクは彼女に負けていたように思う。
 それは何だっただろうか。
 生命力? 執着? 見栄?
 そのどれだったとしても。彼女は立派だった。誰がなんと言おうと。
 ワガママで周りを引っ掻き回して問題ばかりを撒き散らしていたけれど。
 周りに誰もいなくなっても決してうつむいたりしなかったから。
 うつむいたとしても最後にはきりりと顔を上げるから。
 どんな崖っぷちだったとしても。
 そんな強い彼女に自ら死を選ばせた公爵のなんと酷なことだろう。
 思い出せば胸が熱くなる。
 これは怒りなのだろうか。
 
 ……   あの時、手を伸ばしていたら何か変わっていたか?
 
 アンとの勉強会だったことを忘れてリクは手を広げて目の前に掲げた。
 
アン「?」
リク「………………」
 
 手は、やはり去年の初めの試験で崖から落ちたときに彼女に握られていた手だ。
 自分も死んでしまうかもしれないのに話そうとしなかった、手。
 重くて辛かっただろうに。
 彼女が嫁に行ってしまう前に、自分が手を伸ばしていたら……?
 唐突にそんな考えが浮かんだ。
 嫁にいくだなんて取らなくて、ある日突然いなくなっていたのだからもしももないものだが。
けれどそれでももしもがあって、あのか細い腕をつかんで引き止めていたら。
もしかして、ひょっとして。
 
リク『ひょっとして……手を取ってくれたんじゃ……?』
 
 開いて見つめていた手に、もう一つの手が重なろうとしていた。
 それが幻ではないと気がついて、素早く引っ込めた。
 
アン「……あ」
リク「え、あ……ビックリした。アンだったのか」
アン「う、うん」
 
 気まずそうに手を引くアンの表情が痛ましい。
 
リク「ごめんよ。考え事してて……」
アン「驚かせちゃったね」
リク「いや、こちらこそ。時間も遅くなってきたしそろそろ戻ろうか」
アン「もう?」
リク「ホラ、図書室のおじさんニラんでるよ」
 
 冗談を言って笑い、席を立つ。
 睨んでいるというのは嘘だったが、時間的にも閉館に差し迫っている。
 二人は荷物をまとめて図書館の階段を下りた。
 
アン「ねぇ、考え事ってなぁに?」
リク「えと……試験のこと、かな」
アン「リク君でも考えるんだ」
リク「ははっ。そりゃあね。先生にサボッてたって思われたくないから」
 
 アンが手をつなごうとしているのがわかったが、気がつかないふりで頭をかいた。
 
アン「……リク君」
 
 階段の途中でアンは足を止めた。
 
リク「ナニ?」
 
 二、三歩、先に足が進んでしまってから振り返る。
 
アン「私に触られるのが、そんなにイヤ?」
リク「……!」
  「い、や……そんなことはないよ? どうして?」
 
 見透かされたと思い、慌てて否定する。
 
アン「だっていつも先生のことは捕獲したり平気でするのに、私が手をつなごうとするとすぐはぐらかして」
リク「……そういうつもりはないんだけど……」
アン「ほんと?」
リク「ホントだよ。先生はホラ、なんかこう……野生動物と同じだから。アンは違うし……その……ごめん」
 
 何といったらよかっただろうか。
 適切な言葉が浮かばない。
 この問いかけは今までに何度かあったけれど、その度にアンは簡単にはぐらかされてくれた。
が、今回はどうも流されてくれる雰囲気ではなさそうだ。
 じっとこちらを見据えて覚悟を決めたような顔をしている。
 ……困った。
 
アン「じゃあ、手をつないで?」
リク「……いや……それは……」
アン「どうしてダメなの?」
リク「……………………………」
 
リクは数ある反応の中の一番よくない行動を選び取ってしまった。
……沈黙。
これでは触れたくないと肯定しているようなものだ。
「心身汚れきった自分が触れてしまっては、相手を破滅させてしまう。周りはできるだけ自分と深く関わらない方がいい」と考えるのがリクだ。
決して、アンが嫌だからではない。逆にアンに悪いと思ってしまうのだった。
特に性的な意味を持つ干渉は、精神的に強い結びつきに発展してしまう。
例えそれがただ手をつなぐことであっても避けたい。
 
アン「私たち……恋人だよね?」
リク「……うん」
アン「だったら……」
リク「………………」
アン「だったら、手をつないで! 肩を抱き寄せて! ……キスして!!」
 
 これまでだまされ続けてくれていたアンがヒステリックになって怒鳴り、図書館の吹き抜けのホールに響き渡った。
二人の後からやってきていた生徒たちが驚いて顔を見合わせている。
 
リク「アン……その話は後にしよう。こんな場所で……そんな話は……」
アン「イヤ! リク君がキスしてくれないと、私、ここから動かない!!」

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●Thanks Comments

おおおおぉ。

アンがついに言い切ったっ!
リクどうするんだろう...。メイディアの事も気にしてた様子。もしかして...今までのメイディアに対するリクの態度からしてメイディアの事が好きだったんじゃ....とも思える。
でもリクがアンに対する態度はいつも曖昧。うーん...このアンの恋はこれからどうなるんだろう...。

From 【あっぴ】2008.10.07 23:41編集

リクは、

この後、スルーしますけどね(笑)
ようやくラブめいてきたので、少し進みが速くなりました(笑)

From 【ゼロ】2008.10.07 23:48編集

ほごっっ!

メイメイだぁ~メイメイ☆
もう他人がちょっとメイメイのこと考えただけでも浮かれる(笑)
実はさりげに待ってた、リクがメイメイについて考えないかな~って。
うっほほぃ♪続きが楽しみぃ~(*´艸`*)

From 【望。】2008.10.08 00:21編集

あれ、お帰りー。

バイト終ったのかな? ごくろうさまです(^-^)

はい、登場したわけではないけど、メイメイでこざいマッスル^_^;
続きは今から更新しまうす。よろにくー。

From 【ゼロ】2008.10.08 00:24編集

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