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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 63-2

初『取り込まれたに相違ないわ』
 
鎮をどこか拒否したくなる理由はそこにもあった。
 
初『偲……偲……! 戻ってきて。貴方と刃を合わせるなど私にはできない……もし……もしそれでもおシズを選ぶというのならば、私はせめて貴方に斬り捨てられたい……』
 
 
 破滅的な美が人を誘う。
 華奢で色白。支配したくなる衝動を駆り立てる。
 だがその正体は可憐な花に擬態した毒の華。
 危険だと感じてもなお確かめずにはいられない魔性。
魅せられたら、取り込まれる。
からめ取られて魂を抜かれる。
 ………かもしれないその当人は今……
 

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レイディ・メイディ 第63話

第63話:初、恋。
 偲が裏切った。
 標的に接触すると言って薔薇の騎士団養成所に潜入したまでは良かったが、出てくる頃にはすっかり手の平を返して弟側に寝返っていた。
 いや、寝返ったのではなく、初めからそのつもりだったのかもしれない。
 まさか裏切るとは思っていなかった氷鎖女一族の面々は奇襲を受ける形となり、ほうほうの体で逃げ帰った。
 ローゼリッタ城城下町まで。
 ダンラック公爵から工面された資金と身分証で借りた宿で、一同は額を寄せて難しい顔をしている。
 偲に想いを寄せている初などは、嘆いて嘆いて手がつけられない。
 

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レイディ・メイディ 62-10

 結局、関係ないことを言ってお茶を濁し、このことは告げずに蓋をした。
 夕べのシズカが何であれ、もう燃されてしまったのだ。
 きっと関係ない。
 悪いお化けだそうだから、先生の真似をしてこちらを惑わそうとしたのだ。
メイディアはとりあえずそう思うことに決め、お兄さんがいないときに改めて聞こうと思った。
だが、肝心の鎮は今日はこの家に留まらないという。
 
メイディア「ええー!? どうしてですのぉ?!」
鎮「今日は姫様を納品するために寄っただけでござる」
 
 階段を上がって、部屋のドアを開ける。
 

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レイディ・メイディ 62-9

メイディア「んもー! これだからデリカシーのない方は嫌ですわ!」
 
 先生をめった打ちにして鼻息を荒くする。
 怖い女の子から逃げるようにして、偲はチャーリーを連れて家を出て行った。
 この後、メイディアは鎮を手伝って庭の隅に穴を掘り、中に大量の人形を放り込んで着火。
 徐々に大きくなり、燃え盛る炎の中で人形が朽ちていく。
 
メイディア「何だか……可哀想ですわ」
鎮「ダメ。そんな風に思っては」
メイディア「何故?」
鎮「……憑いてきちゃうかもだから」
メイディア「……憑く?」
鎮「人の形をした者だから、中にその……アレが宿っているから、同情したりしたら影響が出る」
メイディア「でも、子供の声だったからつい……」

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レイディ・メイディ 62-8

 とうとう最終的に一つの国を滅ぼすことになってから、心が疲れてローゼリッタに転がり込んだ。
 生徒たちから舐められっぱなしの小柄な教官が、黒衣の戦乙女と呼ばれ恐れられていた時代があっただのと誰も想像できまい。
 それほど養成所での彼は弱っちぃのだ。
 ついこの間もネズミ捕りのために仕掛けられた罠に手を挟まれて泣いて保健室だ。
 ネズミをおびき寄せるためのエサに釣られてバチンッ☆
 そんな彼はクロエが仕掛けた罠だと今も信じて現実を受け入れようとしていない。
 彼の中では断じてネズミ捕りのための罠にかかったのではない。
 氷鎖女捕りの巧妙な罠だったから、かかっても仕方がなかったのだ!

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レイディ・メイディ 62-7

 しかもどこにいたのかチャーリーをとっ捕まえている様子。
 
声1「貴様のような奴は、逆さにブラ下げて、下でサンマ焼いたるわっ!」
 
 声を聞いたメイディアはすぐさまドアを開け放って走り出し、階段の上から家主を呼ぶ。
 
メイディア「先生!」
 
 ロビーで騒いでいた鎮が顔を上げた。
 
鎮「お」
メイディア「いつお帰りに?」
鎮「今さっき」
チャーリー「リ、リディアさん!」
 

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レイディ・メイディ 62-6

 お化け屋敷……!
 その単語が急激に浮上してきた。
メイディア『お化け……?』
 痛いほど杖をにぎりしめる。
 肌は粟立っているのに、背中はびっしょりと汗で濡れていた。
 口を閉じ、息を殺して様子をうかがう。
 ………………
 ……………………
 …………………………。
 ……がたん。

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