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レイディ・メイディ 63-9
2008.09.04 |Category …レイメイ 62・63話
絆を確かめた同じ年に偲は言葉の刃で鎮を殺した。
呪いの言葉のようにいつまでも回る。
胸の奥を鈍く切り刻みながら。
オマエナンカ、イラナイ。
シンデシマエ。
一人残されてしまった片割れは、あの神社に足を運ぶ。
弟が作った人形を抱いて。
とっくに蝉は死に絶えて、木の葉も散った後の季節だった。
心が凍ってひび割れた………………音が聞こえた。
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レイディ・メイディ 63-8
2008.09.04 |Category …レイメイ 62・63話
偲「シズ、お前……誰にでもこうなのか?」
鎮「……ハイ?」
目を瞬かせて見上げる。
偲「今になって聞くが……。お前、今までどうやって生きてきた?」
鎮「……………………」
偲「今はいいとして……子供の身で素直には渡ってこれなかったろう」
鎮「…………何をおっしゃりたいのでしょう」
兄の、温度の低い目に対し、初めて怯えを見せて鎮は固まった。
物を盗んで、人を殺して。それは当然あっただろう。
それから?
レイディ・メイディ 63-7
2008.09.02 |Category …レイメイ 62・63話
鎮は偲に逆らった試しがなかった。
歩くときも食事をするときも一歩後ろをゆく。
家で躾けられた通りに。
例え双子であっても、兄と弟では天地の差がある。
兄はあくまで跡継ぎ。一番であり、並び立つ者などない。また、あってはならないのだった。
決して、下の者が領分を越えることは許されない。厳しいしきたり。
それを守って鎮はいつも後ろにつく。
兄の偲は自分が常に一番とされてきたゆえに、このとき、弟が自分以上の力を発揮したのが悔しくてならなかったのである。
力があるのに後ろにいる。
いつでもお前を追い抜けるのだとせせら笑いながら。
レイディ・メイディ 63-6
2008.09.02 |Category …レイメイ 62・63話
彼は幸せだった。
彼は油断していた。
彼は信じきっていた。
いつだってその心は裏切られてきたのに。
ここにきてまだ愚かしくも信じようとしていた。
これを愚者と呼ばずして何と呼べばよいか。
彼は信じないと言いながら、何度でも信じ、その度に手を振り払われていた。
手は、握ってはいけないものだということをすぐに忘れてしまうのだ。
彼は知らない。
人形を渡すために家に寄ったとき、そこに間借りさせている少女目当てのロクデナシを家まで届けた兄弟が、一族に手紙を送っていたことを。
彼は目を離すべきではなかった。
自分の片割れから。
レイディ・メイディ 63-5
2008.09.01 |Category …レイメイ 62・63話
アン「先生がいるとリク君は私の方を向いてくれない……」
偲「…………」
鎮「そのようなことはない。リクにはお前様が必要なのでござるぞ?」
アン「……わかんない……。だって私とリク君はお世辞にも釣り合ってないし」
鎮「そんなことはない」
アン「……どうして選んでくれたのかもわからないし」
鎮「気に入ったからでござろ。リクも楽しそうで何より」
アン「そう……見える?」
鎮「見えるよ?」
こっくりとうなずく。
レイディ・メイディ 63-4
2008.09.01 |Category …レイメイ 62・63話
囲んで見ていると、やがてじりりと動き出す。
フェイト「一体、何したいんだ、この生物は……」
ステラ「バレてないと思ってるから、思いやりで接してやって。可哀想でしょ、……おつむが」
偲「…………」
フェイト「……って……あのな」
リク「さてさて。木箱、どうしよっかなーっと♪」
フェイト「……嬉しそうだな」
リク「楽しいよ?」
フェイト「お前、割りと性格悪いのと違うか?」
リク「どうだろう?」
レイディ・メイディ 63-3
2008.09.01 |Category …レイメイ 62・63話
リク「じゃあ、持ち主探してあげないと。それまで俺が預かっててあげよう」
木箱「い、いかん!! これはそう、拙者の持ち物でござる!!」
リク「じゃあ、先生のところに届ける」
木箱「いや、まちごった!! 保健室の道具入れにござい!!」
リク「それならやっぱり届けるよ」
木箱「きっ……木箱は、自分で行くからいいって言ってるでござるよ」
ガタブル。
リク「ふふふふふっ」
いや~な笑い……に、自称・木箱には聞こえる空気を発して、リクは箱の上に腰を下ろしてしまう。
偲「…………」