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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 63-4

 囲んで見ていると、やがてじりりと動き出す。
 
フェイト「一体、何したいんだ、この生物は……」
ステラ「バレてないと思ってるから、思いやりで接してやって。可哀想でしょ、……おつむが」
偲「…………」
フェイト「……って……あのな」
リク「さてさて。木箱、どうしよっかなーっと♪」
フェイト「……嬉しそうだな」
リク「楽しいよ?」
フェイト「お前、割りと性格悪いのと違うか?」
リク「どうだろう?」
 

▽つづきはこちら

 グレードアップした木箱を捕まえようとしたリクより先にアンが木箱を叩いた。
 
アン「ごめんね、皆。私、先生に相談したいことがあるの」
リク「先生じゃなくて木箱だよ。ね、先生?」
木箱「んっ、木箱でござる」
フェイト「…………………」
 
 普段、真面目なアンが言うといじり倒したかったリクやクロエ、そして興味を示していた生徒達もおとなしく引き下がった。
 リクやクロエが言ったのでは信用されない台詞も普通の人が言えば効果有りなのだ。
 
アン「先生、他に行きましょう」
木箱「……先生ではなく拙者、木箱だが、氷鎖女の持ち物ゆえ、氷鎖女の執務室に戻るでござる」
  『…ホッ』
 
 他の生徒達が見えなくなると、木箱を取った氷鎖女の第一声。
 
鎮「驚かせてすまなかったな。実は木箱は拙者だったのだ」
アン「……………………」
 
 足を止めて、あんぐり。
 
アン「実は……って……」
 
 実はも何もない。
 あの場でだまされてくれたのは、誰ひとりとしていはしない。
 失礼ながらちょっと頭のユルいクロエですら、術と言っていたくらいだから中身をわかっている。
 
鎮「ヤツラ、意地が悪くてな。逃げ果せるのに一苦労よ」
 
 見れば、おなじみの額あてから顔にかけて、木の木目らしきものがペイントされているではないか。
 
アン「ナニやってんのー!??」
 
 がーん!?
 
偲「…………………………」
鎮「万が一、木箱を開けられたときに少しでもバレぬようにだな」
アン「ムリッ!! ムリッ!!」
 
 激しく顔の前で手を振る。
 部屋の前まで来て、
 
鎮「それで? 話とは?」
アン「…ハッ! そうだった」
 
 咳払いをして真面目な表情を堅くする。
 
アン「先生、そうやって面白いことして、リク君の気を引くのはやめて下さい」
鎮「面白いことなどしたことはないが、気を引きたくないので、リク君に拙者をイジメないで下さいと言っておいて下さい」
 
 顔のペイントを兄から手渡された濡れタオルでふき取る。
 
アン「この箱とか何よ」
鎮「これはな、あのな、ヤツラから身を隠すための……」
アン「こんなんで本当に隠れてると思ってるの!?」
鎮「………………どう?」
 
 その場で早速かぶって動きを止める。
 
アン「……………………………」
 
 ムカッ。
 
アン「どうじゃなーいっ!!!」
 
 思わず怒りに任せて蹴飛ばしてしまった。
 家で弟にやるみたいに。
 
鎮「ぎゃん!?」
偲「……あ。」
アン「ハッ!? ごっ、ごめっ…」
鎮「乱暴はいかぬ」
 
 木箱からはい出す。
 
アン「す、すみませ……で、でも……あの……ふざけないで欲しいんです。私にとっては重大なことなの」
鎮『……ふざけてないのに怒られた……』
 
 しおしお…
 
アン「先生、……お願い、リク君としゃべらないで」
鎮「は?」
偲「…………」
鎮「この間は優しくせよと……」
 
 だから、肩たたき券10回分をあげました。
 そのうち4枚はあげた当人が使っちゃったけど。
 
アン「……そう……なんだけど……」
鎮「あまり個人的な頼みは聞きたくないものでござるな」
アン「先生がいるとダメなの、リク君は」
鎮「はぁ? よくわからぬが、そういったことはむしろヤツに言ってもらわれないと、拙者は困ってしまう」
アン「リク君になんて……言えないよ」
鎮「うむ。奴は底意地が悪いから、下手を打つと後々面倒でござるからな」
アン「リ、リク君は意地悪じゃないわ! 撤回してよ!」
鎮「イヤ」
 
 ぷいっ。
 
アン「お願い、先生。今度の恋は私の本当の初恋なの! 誰にも盗られたくないの」
偲「…………」
人形「……今度のって複数形で言ってる時点で“初”恋ではないのでは?」
 
 横から人形を使ったツッコミをされて、アンは目を丸くした。
 兄の足を軽く蹴飛ばし、
 
鎮「っていうか、誰も盗りはせぬから」
 
 手をぱたぱたと振る。

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