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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 63-5

アン「先生がいるとリク君は私の方を向いてくれない……」
偲「…………」
鎮「そのようなことはない。リクにはお前様が必要なのでござるぞ?」
アン「……わかんない……。だって私とリク君はお世辞にも釣り合ってないし」
鎮「そんなことはない」
アン「……どうして選んでくれたのかもわからないし」
鎮「気に入ったからでござろ。リクも楽しそうで何より」
アン「そう……見える?」
鎮「見えるよ?」
 
 こっくりとうなずく。
 

▽つづきはこちら

アン「………………」
鎮「だから言葉を交わすななどとガキクサイ注文はよすでござる」
アン「私、リク君のためなら何でもするもん」
偲「…………」
人形「それはリク君のためじゃなくて、アンのためだわ」
 
 アンの声真似をして腹話術。
 
アン「……!? わっ、私は……私は……ただ……」
鎮「……あにさま、茶化してはいけませぬ。今、この女子はそのーあのー……あれ、あの、あの……そのあれでいっぱいいっぱいでござるよ。」
 
 何故か照れて、もじくさもじくさ。
 
偲「……お前もいっぱいいっぱいだな、シズ……」
 
 また兄の足を蹴って、
 
鎮「さ、行きなされ。余計なことは考えずともよい。そちらと拙者などではまるで比べ物にならぬ。アンはこの世でただ一人、リクの意志で選ばれたのだから。何も心配などいらぬでござる」
アン「あ……う、うん……」
 
ドアを開いて鎮は部屋に引っ込もうとした。
が。
ガツンッ!
木箱が引っかかってモタモタ。
やがて諦めて廊下の隅にそっと寄せた。
それを見ていたアンもやがてその場から立ち去る。
 
偲「……おシズ……」
鎮「はい」
偲「ずっと見ておったがお前………………」
鎮「はぁ」
偲「えらいナメられておるな」
鎮「…………」
偲「…………」
鎮「…………」
偲「…………」
鎮「……ほっといて…………下され」
 
 ずぅぅ~ん……
 教官と思われているのか。
 そもそも年上だと彼らはわかってくれているのだろうか。
 気軽に頭なでてきたりしているけれども。
 
偲「シズ」
鎮「はい」
偲「今は……幸せなのか」
鎮「………………」
 
 ぎ、ぎ、と首をかしげ、しばし考えたのちに、
 
鎮「はい。あにさま」
 
 袖で口元を隠して小さく笑う。
 
鎮「シズは、ここのバカ共が…………嫌いではありませぬ」
 
 嫌いではない。
 言葉通りよりも実際にはずっとずっと好意的だ。
 
鎮「みな、人殺しの訓練をしているのかと思うと少しばかり気が重ぅございます。わざわざ好んで手を汚さずともよいのに」
 『何が憧れの薔薇の騎士団か。ただの戦争屋というだけだというに。若者を扇動するはいつもお国のやること……。お国のために死ねよと駆り立てる。なんと愚かしい』
 
 鎮はレイオットやメイディアの喜ぶ薔薇騎士レンジャーというのが好きではない。
 ああやって正義の味方だと宣伝をして小さな子供たちにもその種を植え付けているだけだ。
 けれどこうでもしないと国を外敵から守ることは出来ない。
 それも知っている。
 だから、ひねて一人で思っているだけに留めている。
 世界中がみんなみんな仲良しだったらいいのに。
 我ながら子供染みた夢だと思いながら、時々本気でそれを考える。
窓の外に顔を向けた。
 授業を終えた学徒たちが陽気におしゃべりの花を咲かせながら、学舎を出て行くのが見える。
 
鎮「されどこの世は。強くあらねば」
「強ければ無用な争いもあるいは避けられましょう。少なくとも力がなくて虐げられるなどという目には遭いづらい。これで良いのでございましょうな」
 
 その言葉は力だけに頼って生きてきた鎮の半生そのものを表していた。
 頼るのは己の力のみ。立ちはだかるものは全てねじ伏せてきた、彼の生き様。
 確かに彼は今、人生において一番穏やかで幸福の時間の中にいた。
 多くの生徒に慕われ……慕われているというには少々語弊がありそうだが、好意的には迎えられて、同僚にも恵まれ、芸術家としても成功を収めている。
 本人はまだ知らないが、女王とニケの間では無欲で力のある彼に貴族の称号を与え、姫君クローディア。すなわち現在のクロエの懐刀として宮仕えさせようという案も上がっているのだ。
 
偲『……………………』
鎮「それに」
偲「ん?」
鎮「それにあにさまが来て下さったから。シズは今が一番、幸せでございます」
偲『……………………』
 
 はしゃいだそぶりで駆け出し、
 
鎮「さ、早う。宿舎に戻りますぞ」
 
 振り返って笑う。
 
偲「……おシズ」
鎮「はい、あにさま」
偲「………………………………いや。何でもない……」
鎮「?」

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●Thanks Comments

今日はいっぱい

更新されてて嬉しい(^-^) 62話はハラハラドキドキだったし、63話は始めからヒサメ先生が面白すぎる(笑)でも、なぜか偲がヒサメ先生を裏切ってしまいそうな気がして...偲が登場する時はいつも無口なので登場する度に考えてしまいます。ラストもシリアスになるとの事でこれからのレイメイますます楽しみ♪
初、恋は初の恋なのか...アンの初恋なのか....タイトルも気になります(^-^)どっちにしてもLOVE好き☆

From 【あっぴ】2008.09.02 00:18編集

一応、頑張ってみた。

以前に書いたのに手を加えただけなので、下書きはあったんですけどね。
偲は元々無口です(笑)
別の作品で使ってたキャラのリサイクルだけど、前の作品でもずっと「…………」なんですよ(笑)
初、恋はお初の初恋とアンの両方の意味です。

From 【ゼロ】2008.09.02 00:27編集

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