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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 7-6

 審判に退場を命じられて階段を下りたメイディアが試合場を後にすると、つい先程までいい気味だと笑っていたジェーンたちが駆け寄って来た。

 

ジェーン「さすがですわ、メイディア様っ!」

アン「スゴかった……」

 

 その他の取り巻きたちも口々に褒めたたえる。

 しかしそれには答えず、爪を噛むメイディア。

 対戦相手が運ばれていった方を一度見やって、

 

メイディア「……ワタクシは悪くありませんからね……」

ジェーン「え?」

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レイディ・メイディ 7-5

ヴァルト「悪い病気って……」

氷鎖女「脳みそが腐ってござる。……かわいそうに」

ナーダ「うっわ」

 

 会場のメイディア「そこのアナタ! ワタクシと第1戦を交えること、光栄に思うのね! この日のことを一生の宝物にしてもよろしくてよ? ワタクシはそう、黒薔薇の頂点に立ち、白薔薇に転向してゆくゆくは薔薇の騎士団元帥になるのですから♪」

 試験官室のニケ「うっわぁ~……」

ナーダ「すばらしく変なのが登場したものね」

 

 あきれて肩をすくめる。

 

氷鎖女「……あ~……まぁ……」

 

 壁に大きく映るメイディアはいつもの高笑い発動中。

 相手はあっけにとられていたが、試合開始の合図が出されるとすぐに冷静になって魔法を繰り出した。

 

少女「光栄に思いなさいって? ……誰がっ」

 

 試合が始まっているというのに笑い続けるメイディアに魔力弾が襲いかかった。

 少女は新規学徒ではなく、2年目の強者だ。最終試験でランクをあげることができずに1年同じランクに留まってしまったものの、半年しか学んでいない新規とは明かに力量が違った。

 

メイディア「ほげっ!?」

 

 得意の高笑い最中だったので、まともに顔に受けて吹っ飛ぶメイディア。

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レイディ・メイディ 7-4

 画面変わって、試験官室。

 

ニケ「ヒサメのクラスは一体なんなワケ? クレスに、それからさっきのは……」

氷鎖女「リク=フリーデルス」

ニケ「リクか」

アイビー「リク……ねぇ」

ニケ「あと、それには及ばないけど、このコも半年しか経ってないとはとても思えない魔法弾の威力だ

 

 今、試合をしているアンが壁に映し出されている。

 いつもどこか自信なさげな彼女が放った魔法の威力は対戦相手の比ではなかった。

 自分の力に驚きを隠せないでいる三つ編みの少女・アン。

 

氷鎖女「彼女だけではナイでござるよ」

ナーダ「ずいぶんな自信じゃない?」

氷鎖女「勝ち目のない戦には挑まない主義でござる」

ヴァルト「己の首をかけているからにはなぁ」

氷鎖女「然様」

 

 自分の教え子たちを次々と倒された黒魔術教官たちが苦い顔をしている。

 

ナーダ「あのリクって子もずいぶんな魔法を隠し持っているじゃない?」

氷鎖女「いや、アレは2つしか教えていない基本魔法の内の、防御だけでござるよ」

ナーダ「なんですって? 四方八方に魔法が一度に飛散してたわ。攻撃魔法でしょ?」

ヴァルト「攻撃魔法にしたって初期であそこまでコントロールできるものなのか……」

アイビー「いや、アレは確かに基本の黒魔術結界だね」

 

 教官たちの会話に割って入る。

 

氷鎖女「ん、わかったか。さすがは黒の正騎士殿」

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レイティ・メイディ 7-3

クレス「イバリ散らしちゃってさ」

 

 聞こえないように小さな声で毒づく。

 ひょっとして……。

 ある考えが脳裏に浮かんだ。

 コイツは自分を恐れない。

 普段の言動からはとてもそうとは思えないが、ひょっとしたら彼女もまた自分と同じように他の強力な魔法を持っているのかもしれない。

 それならば納得もいく。

 自分を恐れない理由が……

 

クレス『リク=フリーデルスの試合は見逃したが、お前の力はしかと見せてもらうよ』

 

 まだご立腹中のメイディア嬢をチラリと見やった。

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レイディ・メイディ 7-2

 満足な結果を誇示したクレスは邪悪な笑みを張り付かせたままで「勝者・クレス=ローレンシア」という声を背中に聞きながら、石作りの試験舞台を降りた。

 次に四角く切り取られた石の舞台に上がるリク=フリーデルスと間近にすれ違い、鼻を鳴らす。

 自分のライバルになるのは恐らくこの男だと直感的に感じていた。

 挑発に乗ることなく、リクは階段を上がって行く。

 

クレス「ふん、スカしちゃってサ。ホントは内心ビビッてるクセに」

 

 一度足を止めて振り返る。

 

「両者、準備はよろしいか?」

「ハイ」

「いいよ」

 

クレス「お前の実力とやらを見せてみなよ、リク=フリーデルス。僕にちょっとでも近づけるのかどうか、見定めてやるから」

 

 試験官室で両手の指を組み合わせ、そこに細いアゴを乗せる氷鎖女。

 

氷鎖女『才能でいうのなら……まずはクレス=ローレンシア』

   『そしてもう一人……』

 

「では、……始めっ!」

 

 リクの試験試合が今、スタートした。

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レイディ・メイディ 第7話

第7話:黒き魔術師・二人の天才

 説明が終わり、早速、試験試合が始まると主だった試験官となる教官たちは白薔薇志望の学徒たちが筆記試験を受けている建物の中へと消えていった。

 白薔薇試験場とは別に設置された部屋には水晶が3つ並んでおり、白薔薇試験場・赤青両薔薇試合場・黒薔薇試合場の様子が映し出され、反射して白い壁に映像を送っている。

 ある者は椅子に座って、ある者は立ったままでその3会場の様子を監視始める。

 そんなところに黒薔薇正騎士のアイビーが姿を現した。

 

アイビー「どうも。久しぶり」

ナーダ「あら、アイビーじゃない。珍しいわね」

ヴァルト「ん? アイビーか」

 

 彼ら三人はピタリと同い年の32歳。

 かつて養成所で抜きつ抜かれつ腕を競った仲だ。

まさに今現在の学徒たちと同じように。

 一見すると女性にしか見えない容姿のアイビーは、顔に似合わず妻子持ちの父親である。

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レイディ・メイディ 6-6

 第1回目、試験当日。

 正式に薔薇の騎士見習いとしてこの養成所に入団してから初めての試験になる学徒たちは一様に不安顔をしている。

 試験会場は普段は閉鎖されている、もう一つの敷地にあった。

 

アイビー「可愛いモンだね、ビビッちゃってさぁ」

 

 くすくすと人の悪い笑みを浮かべてその様子を見に来たのは、黒薔薇の正騎士・アイビー=レグン。

 

ジャック「あ、えと……アイビー……さん? アイビーさんも来てらしたんですね?」

 

 黒地に青い斑点のドラゴン「エリーゼ」から飛び降りて、手綱を樹にしばりつけている青年が声を掛けた。

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