HOME ≫ Category 「レイメイ 52-54話」 ≫ [1] [2] [3] [4]
レイディ・メイディ 54-6
2008.07.24 |Category …レイメイ 52-54話
ダンラック「やっぱり初夜は純白ドレスじゃないと。それを皆で引き裂くのがたまらないのですよ。フォッフォッフォッ」
先程までの覚悟は1秒ともたなかった。
顔は青ざめ、足はにわかに震え出す。
ダンラック「今宵は皆のお姫様。仲良くしてあげて下さいねぇ」
ドアの前につっ立ったままの花嫁を男たちが捕まえにくる。
こんな大勢で、自分をどうしようというのか。
メイディアは恐怖のあまり、歯を鳴らした。
メイディア「いっ! やっ! あっ! ……いやあああああーっ!!!!」
背を向けて、闇雲にドアを叩いた。
PR
レイディ・メイディ 54-5
2008.07.24 |Category …レイメイ 52-54話
メイディア「ワタクシからも質問です、よろしいですか?」
ダンラック「なんでしょう?」
メイディア「公爵様の先程のご冗談、どこで仕入れましたの?」
ダンラック「それはねぇ。ムフフッ。本当は内緒なんだけど、メイちゃんはもうここから出られないから教えてあげてもいいなぁ?」
メイディア「…………」
メイディアが5年前に犯した犯行をなぜ知り得たか。
真実が語られようとしたそのとき、公爵を家臣が呼びにやってきた。
家臣「公爵。祝辞を述べにお客様が」
ダンラック「断ってって言ったのに。これからメイちんと楽しい一時だったのですよ」
家臣「申し訳ございません、女王からの使者ですのでお断りするわけにも……」
ダンラック「ちっ。あの女か」
怪物のような夫が出て行って、メイディアは床にへたりこんだ。
今回はこれで済んだが、用が終わればまた来るだろう。
クロエ研究。
2008.07.23 |Category …レイメイ 52-54話
レイディ・メイディ 54-4
2008.07.23 |Category …レイメイ 52-54話
メイド「私だって悔しいです。これでは正妻ではなく妾でも連れ込んだような扱い。とんでもないことですわ。でもお嬢様、これは家のための婚姻です。多少のことは我慢して下さらなければ、ここまで耐えてきた甲斐がないというものでは?」
メイディア「…………………」
眉間にしわを寄せてメイディアはメイドに反論を試みようとしたが、あきらめて肩を落とした。
非の打ち所がない正論に対しての言葉が見つからなかったのだ。
メイディア「貴女の言う通りですわね。……でも、フンッ、大丈夫。どうやら公爵様とワタクシは相性が良いようです。ワタクシの罪の一切をご存じのようですし、振る舞いにもお喜びの様子」
メイド「そんな、メイディア様……」
メイディア「お聞きなさい、ヴィオレッタ」
メイドの両肩をつかんで正面から見据える。
レイディ・メイディ 54-3
2008.07.23 |Category …レイメイ 52-54話
メイディア「これはワタクシがいただきました、小鳥。よろしいのでしょう?」
にっこりと、それは愛らしく血に濡れた少女は笑った。
その無邪気さに人々は震え上がる。
残虐の限りを尽くす公爵に悪魔のような姫君が嫁いで来たのだ。
これはもうエグランタインの滅亡のときが近いかもしれない。
ダンラック「さすがは音に聞こえし、白刃の姫君! 触れたらタダでは済まなさそうです」
驚愕から立ち直ったダンラックが手を叩いた。
ダンラック「12で初恋の君を殺したのは、伊達ではありませんな!」
問題の発言に集まった人々が顔を見合わせる。
今度はメイディアが硬直する番だった。
レイディ・メイディ 54-2
2008.07.23 |Category …レイメイ 52-54話
メイド『お嬢様……』
この瞬間、恐怖に引きつった少女は何を思っていただろう?
両親のことだろうか。
ただ助けてと声のない叫びを上げていただろうか。
頭の中は真っ白に塗りつぶされて何もなかったかもしれない。
それとも。
好きな人のことでも考えていたかも。
メイド『私だったら……』
とても耐えられないとメイドは思った。
結婚を控えた身である彼女はもう、誓い未来に夫となる恋人以外など考えも及ばないからだ。
もしメイディアが恋をしていたとしたら。
いや、あの年で恋をしていないはずがない。
人の良いメイドは他人事とは思えず、意地の悪かった令嬢ではあったが、ざまあみなさいと罵声を浴びせる気にはなれなかった。
両親さえもいないここでは、ただ一人付き添ってきた自分が親族の代わりなのだ。
ちゃんと見届けなくては。
レイディ・メイディ 第54話
2008.07.23 |Category …レイメイ 52-54話
第54話:血染めの花嫁
貴族の姫君は高価な贈り物である。
そう表現したのは、メイディア=エマリィ=シャトー自身である。
豪華な馬車は贈り物を運ぶための荷馬車。
みるみる遠くなってゆく故郷を青い瞳に映した。
二度と見ることは叶わないであろう故郷の風景を忘れないために。
白い馬で駆けた丘。
木苺を摘んだ森。
その全てが今は愛しい。
メイディアがこれから暮らすようになる城には友人となれる人はいるだろうか。
夫となる初老の公爵はよい人だろうか。
考えても栓のないことばかりに思いを巡らせてしまう。