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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 52-4

ゼザ「へーえ、驚いた。正義の味方のお言葉とも思えないね」
ジャック「失礼だな。正義の味方だって欲の皮が突っ張るときもあるんだ。ドブで拾った小銭をインマイポケットしちゃったり、試験場に使われる立ち入り禁止の山でキノコ狩りに繰り出して、今夜の食事の足しにしようとか考えてしまったり」
ゼザ「……ずいぶんみみっちぃ正義の味方だなぁ」
ジャック「正義の味方にも諸々の事情があるんだ」 ……貧乏だから。
ゼザ「ほーう。そりゃ知りませんで」
 
 笑ってから、話を元に戻し、
 
ゼザ「アンタの言う最後の一つだが、騎士団に楯突き、姫君の命を狙う輩が仲間の命を惜しむと思うか? 仲間ったって、一緒に行動していただけの連中だ、目的だってそれぞれ違う。ヤツラがどうなろうが俺の知ったこっちゃないのさ」
ジャック「そうかい?」
ゼザ「そうさ。だからアンタは甘チャンだってんだ」
ジャック「どうかなぁ。どうだろう」
 
 腕を組んでうなる。

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レイディ・メイディ 52-3

ゼザ「お坊っちゃんだな、アンタ」
ジャック「……そう…だろうか…」
ゼザ「裏側を知らないわ、俺なんか信用してついてくるわ。もし今の今、俺の気が変わったらどうするつもりだ?」
 
 突然、短剣を抜き放ち、ジャックの鼻先に突き付けた。
 
ジャック「うん。たぶん、困るんじゃないのか?」
 
 刃の切っ先を見て、寄り目になる。
 
ゼザ「疑問系で俺に聞くな」
 
 マヌケな返答に呆れて、刃を収める。
 相手が身じろぎもしないので、これではつまらない。
 

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レイディ・メイディ 52-2

中年男「おいおい兄ちゃんどーしたぁ? コレが嫌いじゃねぇーよなぁ?」
ジャック「おえぇっ!」
 
 連れのゼザは慣れたもので、コイツはすでに飲み過ぎてるのだと説明した。
 中年男は何ごとか冷やかしたように言って立ち去ってしまい、入れ替わりに別の女が興味を惹かれて寄ってきた。
 やはり正気でしかも態度が硬いジャックは、どこかしら目立ってしまっているらしい。
 
女「アンタ、何やってんだい? ……あれ、若いじゃないか。いーい男だわぁ」
 
 麻薬を取り込み過ぎたためか顔がどす黒く変色した半裸の女が吐き戻して苦しむジャックを下から覗き込む。
 
ゼザ「しっし。今、それどこじゃねーんだよ」
 
 面倒くさそうにゼザが手を振った。

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レイディ・メイディ 第52話

第52話:ジャック潜入。あと、フルチン祭り。
 シレネ復活祭はすぐそこだと国中の邪教徒たちが触れ回っていた。
 生まれたばかりの姫に糸車の針に刺さって死ぬ呪いを吐きつけた黒き13番目の魔女シレネ=ペンジュラ。
 幸い、12番目の魔女がすぐさま死を眠りにすり替えた。
 12番目の魔女は死を跳ね返そうとしたが、あまりに強力な呪いだったので消滅させることができなかったのだ。
 だがそのおかげで、姫の命は取り留めることができた。
 多くの功績を持つ13賢者の一人でありながら、姫誕生の祝いの席に招待されなかった魔女シレネは、怒りのあまりに呼ばれない席に現れてこの呪いをぶつけたという。
 呪いの力を半減されたシレネは怒りを国全体に向ける。
 暗雲を呼び寄せ、稲光と雨を降らせる。
 稲光は家や田畑を焼き払い、雨は凍って鋭い矢となり、国中の罪もない人間たちを串刺しにした。
 その恐るべき力はまさに人知を越えたドラゴンのようだったとされる。
 13番目の正体が実は魔竜だったという伝説も残されているくらいだ。
 魔女シレネが復活すると噂はまことしやかに囁かれていた。

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