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レイディ・メイディ 52-6
2008.07.21 |Category …レイメイ 52-54話
浴室に行ってみるが当然、湯などは張っていない。
使用人がいないのだから当たり前である。
外から水を汲むところから始まって、水と接触すると一時的に熱を発する鉱物を放り込んで湯を沸かし、その間に細かい性格のジャックは掃除に夢中になってしまう。
とりあえず汚れた自分をなんとかする方が先だろうに。
ジャック「シレネ復活か………彼女は何のために復活するんだ? 物語どおりなら、そんなに怒り狂う必要があるのかな? 呼ばれなくて悔しかったとしても」
物語は生き残った方が作るものだ。
きっとどこかで都合の良いようにねじられているはずだとジャックは思った。
ぬめった床を磨きながら。
一段落して、湯が沸いたことを確認するとバスタブに浸かって考えに没頭する。
しばらくすると足音と共に気味悪い奇声が近づいて来た。
▽つづきはこちら
ジャック「……おーや、おやおやぁ? またおじ様、ご登場ですかぁ~? 浴室に入って来るのだけは勘弁して下さいよぉ~」
注意を向かせないように音を立てず息を殺して、入ってこないことを祈っていたが、どうにも神に祈りは届かなかったらしい。
鍵はついているけれど、壊れて役立たず。
今にも取れてしまいそうなドアが開いてしまった。
ジャック「勘弁して下さいって言ったのにぃ~。あ~」
さきほど脱いでしまったまま、下半身むき出しの初老の男が手に農作業用の鎌を持ってひたひたと接近してくる。
父「こーの、ネズミめえっ!!」
人を殺す興奮からか股間を赤黒く膨らませて、ゼザの父は鎌を振り上げた。
父「イッヒャァー!」
ジャック「人違いですよ。ネズミじゃありません」
素早く身を起こして手首をつかむ。
父「13番目の魔女を嗅ぎ回るのはいっけないんだもんねー!!」
ジャック「嗅ぎ回って何かいませんよ、誤解です、おじさま」
やがて奇声を聞き付けた息子のゼザが浴室のドアを大きく開けた。
ゼザ「ここにいやがったか、探してもいねぇと思ったら!」
ジャック「ああ、良いところに。なるべく迅速に私を助け、穏便におじさまを何とかしてくれたまえ」
手首をつかんだまま、押し合いになっている。
ゼザ「ダブルフルチンで暴れてんじゃねーぞ、オマエラ」
ジャック「そんなことを言われても服のまま入るわけには……」
ゼザ「マトモに答えんでいい。ジョークで返せよ、つまんねー男だな」
息子の姿を見るや父親は、鎌を捨てて脱兎のごとく逃げ出した。
ゼザ「ったく」
ジャック「やはり話の内容を聞かれていたのはマズかったな。おじさまはどうやらシレネの熱烈な徒だ」
ゼザ「心配ないって。さっきも言ったろ? 5分もすりゃ忘れる」
ジャック「しかし、シレネを嗅ぎ回るなと襲ってきた」
ゼザ「言ってるだけだ。あの男は自分より弱いモノをいたぶって喜ぶのが好きなだけだ。強い奴にはトコトン弱くて、弱い奴にはトコトン強気なのさ。あのクズはな」
吐き捨てるように言う。
ジャック「すると私は弱者に見られていると」
自分を指差す。
ゼザ「まぁ、そんなところだろうな」
ジャック「おじ様、大興奮だ」
ゼザ「今に始まったこっちゃねーや。アイツは弱いくせに……いや、弱いから乱暴すんのが趣味なんだよ。……息子の俺と一緒でな」
ジャック「……ゼザ……そんなふうに自分を卑下するもんじゃない。今はちゃんとこうして一緒に戦ってくれているじゃないか。大丈夫だ。君だってきっと薔薇騎士レンジャーになれるさ!! 正義の星に向かってジャンプだ!!」
バスタブの縁に片足をかけ、熱く拳を振りかざす。
ゼザ「………………」
その姿を足の先からてっぺんまで眺め、深々と息をつく。
ゼザ「……まぁ、アレだ。薔薇騎士レンジャーはいいから、とりあえずおとなしく湯船に浸かっとけ。素っ裸でわめいてないで」
親もフルチン。
客もフルチン。
精神的・被害者1名。
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●Thanks Comments
52ー5読ませてください(T_T)
続きがわからなくなって...とおもったら52ー5なかったよ?
ぎゃあああ!!
超、ゴメンなさいぃ~(T_T)
そ、うだね、抜けてたね。
52-5、入れておきました。
ご報告、ありがとうございます!
おかげさまで
52-5、読めました(・ω・)ノ
ひぃ、ここにも一人!?
ごめんなさいでした(泣)
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