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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 42-5

 そんなこんなで日曜日。

 約束の時間近くなって部屋を出るクロエを友人たちが呼び止めた。

 

友人「クロエ、どこ行くの?」

クロエ「ん、おはよう。これからね、メイディとお買い物なの」

友人「ステラは一緒じゃないの?」

 

 メイディアたっての願いで、買い物の内容は秘密なのだ。

 だから幼馴染であるステラにも今回だけはナイショである。

 

友人「メイディアと仲良くするの、やめた方がいいよ?」

クロエ「……どうして、そんなこと……」

友人たち「わかってるでしょ?」

    「そうそう」

    「あんまり仲良くしてると、クロエまで無視されても知らないよ?」

クロエ「皆だって、前はメイディ、メイディって……」

友人「バカね。もう古いのよ。メイディの時代は終ったの。今はシラー様」

クロエ「………………」


▽つづきはこちら

友人「レイ様だって、今は口利かないんだから」

クロエ「………………」

   『そのレイオットが仲直りしたがってるんだけど……』

 

 嫌われたと大騒ぎするレイオットの哀れっぷりはあまり外には知れ渡ってはいないようだ。

 いっそやかましくてうざったいくらいなのに。

 孫を構いすぎて嫌われちゃったおじいちゃんのようなのに。

 

友人「気をつけなさいよね」

クロエ「………………」

 

 気をつけろというのは、もうこれ以上、メイディに関るとアナタも無視するからね。……そういう意味なのだろうか。

 クロエは胃の辺りに重いものを感じた。

 

クロエ「はぁー。どうしてこうなっちゃうのかなぁ」

 

 お出かけ前の高揚した気分が一気に沈みこむ。

 

クロエ「ううん。気にしない、気にしない! メイディは一応友達だし、無視なんてできっこないじゃない。今日はレイオットとの仲直り大作戦でもあるんだから、気合入れなくっちゃ!! よぉーし!!」

 

 頬を両手で叩いて、気持ちを切り替え颯爽と歩き出す。

 待ち合わせ場所は校門近くである。

 女子寮を出るとリクと出くわした。

 

リク「やあ、おはよう」

クロエ「おはよう」

リク「あれ? 外行くの?」

クロエ「街にお買い物~♪」

リク「ふぅん? ……俺もついて行っていい? ヒマなんだけど」

クロエ「うん、もちろんい……あっ!! ダメダメダメダメ!!!」

リク「邪魔?」

クロエ「そ、そうでなくて……さすがにメイディのパンツ買いに行くのに男子連れていけないから……」

リク「……パンツ」

クロエ「あっ!!」 口を押える。

   「ちっ、違うわ!! パンよ!! パンを買いに行くのよ!! さよならっ!!!」

リク「う、うん……」

 

 リクから逃げ去るように走って、校門まで来るとメイディアの姿はなく、代わりにクレス?が立っていた。

 近づいてみると……

 

クロエ「メ、メイディ! どうしたの、クレスの服なんか着ちゃって!?」

 

 クレスに見えたのは、メイディアだった。

何故かクレスの服を着て、頭には怪しげなほっかむり。そわそわ周囲の様子を伺っていて、怪しいことこの上ない。

 

メイディア「大きな声で呼ばないで下さる? ワタクシとバレてしまうではありませんか」

クロエ「何かダメなの?」

メイディア「だっておパンツを購入しに行くんですのよ?」

クロエ「…………いいじゃない……」

メイディア「他の方にバレたらどうしますの?」

クロエ「いいじゃない……別に」

メイディア「嫌ですわ!」

クロエ「………………」

 

 今しがた、うっかりリクにバレてしまっただなんて言い出せない。

 

メイディア「さ、参りますわよ」

 

 ……意気揚々と?出かけた二人の陰で泣く者あり。

 

ダイヤモンド・チェリー「にゃーん」

クレス「……う……」

 

 猫に顔を舐められて、目を覚ましたクレス。

 場所は気を失う前と同じ、宿舎の裏だ。

 痛む頭をさすり、上体を起こすと記憶を探り始める。

 黒猫のチェリーに餌を与え、その食べっぷりに満足して笑顔で見守っていた幸せのひと時。

 背後で草を踏む音が聞こえ、はっと振り返った瞬間、横に置いていたクレスの杖がすばやく取り上げられ……

 

犯人「ごめんあそばせっ!!」

 

ゴキャッ☆

 

クレス「…………メェ~イィ~ディ~アァ~!!!!」

 

 考えるまでもない。

 あの声、あのシルエットはメイディアだ。

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