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ゼロのノート

ト書きでカンタン☆ 気楽に気軽に創作物語。

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レイディ・メイディ 42-6

クレス「一体、僕に何の恨みがあるっていうんだ! 捕まえて締め上げてやる!!」

 

 復讐の炎を青い瞳にたぎらせたクレスはイキオイ良く立ち上がって駆け出した。

 

クレス「メイディアはどーこだぁぁーっ!?」

 

 ……取り上げられた服の代わりに自分が何を着ているかに気づくことなく。

 日曜にだけ特別、町行き用の馬車が養成所から行き来する。

 時間に合わせて、町へ用事がある学徒たちが乗り込むのだ。

 メイディアとクロエも揺られて外の風景を楽しむ。

 すると後ろから遠く、メイディアを呼ぶ声。

 振り返って目を細めると、メイディア……の服を着た、いや、着せられて放置されていたクレスが物凄い形相で追ってくるではないか。

 

メイディア「うっ」


▽つづきはこちら

クレス「待てぇぇぇー!! メイディアァー!!」

メイディア「御者さん、早く!! 急いで!! ク、クレスゴン……いえ、メイディアが追ってきます!!」

クロエ「む、無茶言わないの。それにどうせ追いつけないわよ、足じゃ……」

 

 見る見るうちに追っての姿は小さくなっていき、転んだのを最後にしてとうとう視界から消えていった。

 

メイディア「……ふぅ」

クロエ「知らないよ、後で」

 

 馬車に追いつくことなく転んだクレスが顔に服に泥をつけた状態でゆっくりと立ち上がる。

 

クレス「………………」

 

 メイディアの行き先を教えたリクが後から歩いてついてきて、

 

リク「だからね、ホラ、言ったじゃない。今からじゃ間に合わないって。……それにしても愉快なカッコしているね?」

聞いていない、クレス「クッソー!! 次の便で追いかけてやるっ!!」

リク「面白そうだから、俺も参加しようっと♪ 先生のところ遊びに行ったのに留守だしさ」

クレス「よし、今日こそメイディアのヤツを締め上げてやるんだからな!! ついてくるからには協力しろよ!!」

 

 鼻息、フンッ!

 次の馬車の出発時間をイライラして待って、1本遅れで理不尽な犯人を追いかけるクレスをよそに、一足早く着いたメイディアはクロエと楽しく町の商店街を見て回っていた。

 

メイディア「クロエ、早くおパンツを購入してしまいたいのですけど……」

クロエ「待ってよ、そんなにアセらなくても時間はあるんだしさ。この店、寄ってもいい?」

メイディア「……よろしいですけど……こんな小汚い店に何の用ですの?」

クロエ「骨董屋よ。別に用はないけど、ちょっと見たいだけ。結構、面白いものがあったりするから。外国の物とか」

 

 レイオットやレクと裏口あわせした薔薇騎士レンジャーは午後の2時から。

 それまで何とか時間を稼がなくてはいけない。

 

クロエ『下着を買うのなんて、どんなに迷ったって1時間もかからないもんね~。メイディったら、用が済むとすぐもう帰るとか言い出すんだから』

 

メイディアは用が済めば帰って勉強がしたいのである。

特に近頃は魔法が不調でレヴァアスクラスに移動したばかり。

そこで何とか復活して認められたくて仕方がないのである。

遊びに費やしている無駄な時間はないというのが彼女の言い分。

けれど確かに根詰めすぎても逆効果かもしれないと思い始めていたメイディアだったから、今日はおとなしくクロエの言いなりになっている。

 

クロエ『楽しい買い物で気分を良くさせてからって前提なんだから、私の責任は重いのよ~!』

 

 骨董屋に足を運ぶと先客がいた。

 出入り口に背中を向けて、店の主人と話をしている。

 

先客「この飾りは……かんざし……。よくこんなところに……」

主人「ご存知ですか。東の方を行き来している貿易船から雑貨屋が仕入れた物でして。物珍しいから、貴婦人の間で流行ると踏んだみたいですけどねぇ。ただ、見事だけど、質素でしょう? ローゼリッタのご婦人方はもっと派手できらびやかなのが好みだから、いまいち売れなかったようなんですわ」

先客「なるほど、それでそのまま骨董屋行きか」

主人「その通りで。まだ未使用ですし、安くしておきますんで、1本、いかがです?」

先客「…………武器になるな……」

主人「は?」

先客「いや。ではいただいていく。いくらだ?」

主人「お似合いですよ、アンタ、べっぴんさんだから」

先客「……………………どうも……」

 

 温度を感じない、金色の目が細められた。

 

クロエ「見て見てー、ホラ、メイディ!」

 

 クロエの甲高くはしゃぐ声に驚いて先客は身を硬くした。

 

クロエ「キレイな鏡♪」

先客『ぎゃあぁぁあ!? おるっ!! 鬼娘がっ!?』

 

 先客はさぁっと血の気が引く思いがした。

 

先客『お、落ち着け鎮!! バレるハズはない。ヒサメの顔など誰も知らぬのだから』

 

 先客として店にいた、ヒサメ先生は買い物を済ませると、そろ~っと壁沿いに出口へと向かった。

 よく見知った顔2つがアンティーク小物に夢中になっている内に。

 しかしついていないことに、彼女らは店の出入り口付近で止まっている。

 

先客・鎮『大丈夫、大丈夫……それっ!!!!

 

 内心、ドキドキしながら、表面上はそ知らぬ顔で横を通り過ぎる。

 ……脱出、成功。

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