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レイディ・メイディ 42-29
2008.06.22 |Category …レイメイ 42話
おばちゃん「この時間は夜のための仕込みに決まってんだろ。ギャーギャー騒ぐんじゃないよ」
リク「おばちゃん、何か恵んで下さい」
表情を堅くして、ヨダレを袖でふき取る。
おばちゃん「こんな時間にこっちにいるってことは、サボリだね!?」
クレス「違うよ! 色々あったんだよ。えっと、色々」
おばちゃん「ふん。色々ねぇ」
太く浅黒い腕を組んで、じろり。
リク「おばちゃん、恵んでぇぇ~っ!!」
みっともなく、足にすがりつく。
おばちゃん「ああっ! もぅっ! うっとうしい!!」
そんなリクを短い足で蹴り飛ばして引きはがす。
▽つづきはこちら
おばちゃん「軽いものを作ってあげるから、その辺に座っときな」
リク「女神♪」
おばちゃん「うるさいよ」
クレス「……ハァ。詰め所で朝ご飯もらったクセに」
リク「昼は食べてないからね」 満面の笑み。
二人並んで、遅い昼食。
リク「たぶん……もぐもぐ…、レクが……ぱくぱく……正解だろうなー…」
クレス「なぁーにがぁ?」
リク「メイディの……ぐもぐも……恋の相手」
クレス「はぁ? つーか、食べるかしゃべるかにしろよ」
リク「ん、今終わる」
飲み込んで、食器を置く。
クレス「メイディアの恋の相手なんか決まってるだろ」
リク「あれ? 知ってたの?」
クレス「知ってるさ。ミハイルだ」
リク「それはもう終わったんじゃないの?」
クレス「だってまだ次のダーリンいないじゃん」
リク「ダーリンの中にメイディの本当に好きな人なんていないと思うよ? 好きになれそうではあったんだろうけど」
クレス「なんだ、そりゃ」
リク「そういえば、彼女はクレスとレクもかなり好きだよねぇ?」
クレス「どこがだよ!? 怖いこと言うな!!」
リク「だって、仲良しじゃん」
クレス「どこ見て言ってるんだよ、それ」
リク「…んー…クレスのご飯……かな?」
まだ皿の上に残っている野菜炒めに視線くぎづけ。
クレス「や……やらないからな。そんな目で見るな」
リク「あっ、あそこにチェリーが!!」
窓の外を指さす。
クレス「そんな幼稚な手に乗るか!! ……って、乗ってないのに、食ってんな、目の前でっ!!」
嘘にひっかかってないのに、リクはクレスの皿の上の物を素早く口の中に放ってしまった。
リク「……………酷いや、何も椅子でぶたなくてもいいのに」
次の瞬間には、床に倒れて横たわっているリク。
クレス「ったく」
「どこからその発想が出てきたんだって聞いたんだろ」
リク「んー。よく一緒に猫をかまってるみたいだし」
叩かれた顔をさすって身を起こす。
クレス「そっ、それはあっちが勝手に……」
リク「メイディはレクの言うことはわりかし素直に聞き入れるしね。クレスとはそうだな。流れが一緒っていうか……空気が近いというか……」
クレス「なんだ、そりゃ」
リク「きっと一緒にいて楽なんだよ」
クレス「……嫌われ者同士だと思ってんじゃないのー?」
憎まれ口を叩くクレスだったが、他人から好意を向けられているのだと聞くとほんのりくすぐったい気持ちになっていた。
リク「どうだろうね。でも彼女の男友達の中では、レクとクレスが一番なんじゃないかと思うんだ」
クレス「言われてみれば、アンタよりはマシかもね」
リク「あはは。そうそう。俺は、あんまり好かれてないからね」
クレス「女の子がみんな、アンタに惚れると思ったら大間違いだからな。エライぞ、メイディ~♪」
リク「ははっ、皆に好かれてるなんてことないよ。大げさだなぁ。でもま、少なくともメイディに好かれてないのはよくわかるよ」
クレス「……嫌われても、ないんじゃない?」
ちょっぴり可哀想になって、気休めを言ってみる。
リク「うん……どうかな。嫌いじゃないレベルかも。敵だし」
クレス「敵?」
リク「メイディから宣言されてるんだよ」
クレス「ああ、アレか」
「それで? レクが正解って、……その……レクのことが好きってこと?」
言っていて、何故か自分が照れてしまう。
リク「そうじゃないよ」
クレス「じゃあ…?」
リク「……どう応えるのかなぁ。彼は」
クレス「ここまで話しておいて、そこだけ秘密かよ!?」
リク「だって、興味ないでしょ?」
クレス「う…っ」
正直、ある。
すごく、ある。
いや、なかったけれど、途中まで聞いてしまうと結果だけは気になる。
リク=フリーデルス、なんて嫌な奴なんだ!!
しかし素直になれないクレスは、
クレス「ふんっ。いいけどね、そんなの別に」
リク「いいならいいや。そろそろ帰ろ。話し合いも終わってるよ」
クレス『こっ…この……! いつかブチコロス!!』 ムキャ。